・ディッキーズの比較(USA、メキシコ、ホンジュラス)
・みんな大好きディッキーズ!の主力874の比較です。
この874は年代によって生産国が変わり、その度にシルエットや色味などが劇的に変わってきました。
同一モデルの商品でここまで変化があるのも珍しいほど、比較してみるとまぁ全て違う。
ここでは90年代にメインだったUSA製
2000年代から見かけるようになったメキシコ製
現行のホンジュラス製(中国製もありますがここでは除外、80s以前の物も当然除外)
をざっくり比較してみよーと思います。
・左USA、中央メキシコ、右ホンジュラス
まず目に行くのが「股上の深さ」と「ジップの長さ」ですね。
・股上
ディッキーズの最大の特徴です。
年代(生産国)により数センチレベルで上に上昇しているのがわかると思います。それに合わせてジップも短くなっています。
ディッキーズ好きならUSA!USAと言っておけば間違いない、というかUSAと言わなければならない!
という風潮ですが
コレしか無かった当時と比べて今ではメキシコ製、ホンジュラス製と股上の深さを選べる時代です。
USA製は
決して万人におすすめできる股上レベルではありません。
特に現代の人、初めてディッキーズを手に入れようとしている方には。
昔のディッキーズを知っている方も久しぶりに履(穿)いてみると驚かれるはずです。
それだけクセが強いからこそ、全て理解したうえで「USA製じゃなきゃ!」という方の気持ちもとてもわかります。
メキシコ製は
程よい股上とジップ長さをしています。
それでも一般的なズボンと比べると股上は深いです。
USA製の股上は日常生活のあらゆる動作に影響を及ぼすほどですが、メキシコ製はそこまでではなく程よくディッキーズらしさを味わうことができます。
ホンジュラス製は
普通。普通のズボン。違和感無さすぎることが逆に違和感というか。
本当に普通の股上(874シリーズの中では断トツに浅い)のため、普通のズボンと同じところに(ヒゲの部分)普通のシワが入ったりする。
だからこそ万人におすすめできる、とも言えます。本当に履きやすいです。
ただジップに関しては普通のズボンよりもさらに短い部類のため、用が終わったあと挟まないようにご用心。マジで。
・色味
USA製は濃くてシャバシャバしてます。
メキシコは若干明るくなってザラザラしてます。
ホンジュラスはさらに明るくなってツルンとしてます。
このシャバシャバやザラザラは手触りではなく色味の感覚です。繊維に明暗、濃淡の違う色がまばらに混じっていることが理由です。
ホンジュラス製は見事に一色で作られているためツルンとした印象を受けます。
だからなのか、それとも根本的にカラーを変えたのか、ホンジュラス製だけ各色とも過去の874とは明らかに違い、全体的に青っぽくもあり、緑っぽくもある。
コレしか知らない方は当然気にならないと思いますが、過去の874に馴染みのある方にはこの青っぽさや緑っぽさがスゴイ気になると思います。
・ちなみにUSA製は腰の中央部分のところを開放して2サイズほど広げることもできます。
・USA製とメキシコ製の平置き比較
こちらは共にW32です。
下のホワイトがUSA、上のグレーがメキシコ。
ウェストは当然ピッタリにもかかわらず、全体的にUSAのほうが一回り大きいのがわかります。
ただお尻周り(ポッケのとことか)はメキシコ製もゆとりがあるため差はありません。
共に、ディッキーズらしくフワっと広がってから程よくテーパードがきいているのでとてもセクシーな印象です。
セクシーさはかなり重要です、ただでさえ野暮ったいズボンなので。
・メキシコ製とホンジュラス製の平置き比較
こちらは共にW31です。(W30とほぼ同様のシルエットとも言えますね。)
下のブラウンがメキシコ、上のグレーがホンジュラス。
下にある前モデルのメキシコ製のほうが若干大きいシルエットということがわかります。
厳密にいえば膝下あたりでそれは逆転し、ホンジュラス製はそのままストンと落ちていくシルエットです。
ホンジュラス製は股上が浅く、お尻周りも明らかにタイトになったので、実際に履いた姿や履き心地は平置き以上に「細い!」と感じます。
・テーパード
USA製はズドン!ホンジュラス製もズドン!と勘違いされている方もいますが
USA製は案外とテーパードがきいています。
メキシコ製はそれを引き継いでいたのですが、ホンジュラス製が一新したのです。
ざっくり数値化するとすれば、テーパードレベルが10段階あるとして
USAは4、メキシコは5、ホンジュラスが2といった感じです。
各年代低いレベルのテーパードではありますが、その中でもホンジュラス製だけが特にズドンなのです。
・履(穿)き方次第
現代の人がイメージする「ワークパンツ」に最も近い形は間違いなくホンジュラス製です。
股上の深さに特徴はなく腰から一直線に落ちるラインはまさに現代的ワークパンツの形。
タイト目でもゆったり目でも「キレイに履ける」という言葉に魅力を感じる方にはピッタリだと思います。
一方、USAとメキシコは特殊です。今となっては。
USA製はゆったりというかルーズにしか履けません。そーゆうシルエットをしています。
普通体型の人がウエストギリギリのサイズを履いてもゆったり目のシルエットになります、そう作られているのです。
逆に言えば、自然に腰履き感やルーズ感が出るのでそーゆうファッションをしたい時にはうってつけです。
そしてメキシコ製はUSA製の雰囲気を残しつつ履きやすく改良された物のように感じます。
ただ発売されていた時期が悪く(当時の流行ファッションと相容れなかった)さらにUSA製の神格化、バイカースケーターファッションの再流行で見直されたときには既にホンジュラス製が存在した、など様々な要因が重なり
三者の中では最も評価は低いです。
三者を実際に履いて比較した私はメキシコ製が一番好きですけどね。
USA製は履き心地、シルエット、トップスとの相性など全てで最下位です、私個人としては。主張がとんでもなく強い。
・まとめ
ディッキーズは後年に行くほど、股上が浅くなり、全体的に細くなり、色も明るくなっていきます。
(全体的に細く、はメキシコとホンジュラスの比較においては若干語弊があります。股上やお尻周りや履き心地が細くなった、が正しい表現かもしれません。)
本来、時代に合うようにシルエットなどを変更していくのはとても良いことだと思います。
現にUSA製のディッキーズからは90年代の裏原の匂いがプンプンしますし古臭さや履きにくさは否めません。
何でもかんでも「昔の物の方が良い!」って方もいらっしゃいますが、それはただの記憶の美化です。
だからといって変更は必ずしも、改良、改善だとも言い切れません。
ですので
初めての方、久々に手に入れようとしている方はすぐに手に入るホンジュラス製だけでなく
USA製にチャレンジしたり、ひとつ前のメキシコ製も視野に入れられることを強くオススメします。
そして失敗しましょう!
オークション、フリマアプリはもちろん実際に試着しても何故か失敗するのがディッキーズです!
これからどんな変貌を遂げていくのか、ディッキーズ874の今後が楽しみです。