潔癖症(ごっこ) | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

潔癖症(ごっこ)

 昨日は終了後に酒宴がある会議に出席しなければならなかったため、久しぶりに電車通勤になった。実は田舎(電車とはいえ「ローカル鉄道」でそんなにスピードが出せないらしい)なので、自動車通勤をしたほうが速くキャンパス往復ができるのだが、流石に帰り道が酒気帯び運転ではまずいし(人間として常識!)、遠距離通勤のため代行で帰るとなると一体全体いくらの出費になるか考えただけで意識が遠のくので、こういうときは問答無用で「公共交通機関」を使うに限る。


 地元の人は、鉄道のことを総じて「汽車」という。当地の鉄道は電化されており実際は電車を利用するのだが、鉄道で通勤通学する人をそれぞれ「汽車通勤」「汽車通学」という。私もそんなわけで「汽車通勤」をした。


 #貴社の記者が汽車で帰社した・・・・


 ローカル線とはいえ、「汽車通勤・汽車通学」の人たちで車内は結構こんでいた。その中に結構面白い情景を発見した。


 つり革や手すりを持っている人の多くが、ダイレクトにそれを持って(握って)いないのだ。


 ハンカチやタオルを捲いてその上から握る人、使い捨ての手袋や軍手をしている人もいる。何か汚いものでも付いているかのごとく。素手で握っている私が何かばい菌とかウイルスとかに見えてくるのだ。


 #ま、子供のころばい菌扱いされていじめられた経験があるのでトラウマ的(?)に慣れている。しかも大学では「窒素を食べる細菌」とかを扱ったりすることもあるので菌類には親しみもある。若い頃は「白癬菌(水虫)」を飼っていたこともあるし・・・。


 たまではあるが首都圏に出張することがあるので都内の「汽車」事情は知ってはいるが、首都圏の多くの人が利用する電車の中でそんな風につり革を握っている人を見た経験が無い。私が知らないだけで実際は皆さんそうなのかな・・>>首都圏の電車利用の皆さん。


 確かに当地は田舎。「汽車」の車窓からは農地しか見えない区間もある。時折「田舎の香水」が車窓から飛び込んでくることがあるのは事実だ。だからといって肥溜めの収容物がつり革や手すりについているとは考えられない。いや、仮にそんなものが「汽車」の車内に飛び散っていたとしても、下車後手を洗えば済む話、だと私は思うが・・・。


 なんてことを、昨夜の酒宴で隣にいた本学の別の研究室の助手の先生に話しをした。彼も汽車通勤で、ハンカチ使いの一人だった。なぜにそんなことをするのか聞いてみた。


 みんなやってるから。


 なんだ、理由はいたって簡単だ。ていうか、理由なんか無いのだ。誰かが始めたのをみんながみんな真似をした、というわけだ。車内に蔓延していたのは「ばい菌」ではなく「仲間はずれになりたくない」という変な潔癖症のウイルスだったわけだ。


 この「ブーム」、全国展開できるだろうか。もっとワクワクするようなネタなら私も一肌脱ぐが、潔癖症ごっこじゃあなあ。そもそも私自身「不潔が服着て歩いている」ようなものだし・・・。
 ではそういうことで。