あんたは『客員』だろ? | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

あんたは『客員』だろ?

 産官学連携の仕事をしている関係上、キャンパス内外で企業や役所関係の方とお目にかかる機会が多い。名刺も「知的財産部」という所属が書いてあるものを持っていて、TPOに応じて他のものと使い分けている。


 その名刺を先方に差し出す際には「知的財産部の鈴木でございます」等と言い、先方の名刺をいただくときには「頂戴いたします」等と申し添えるわけだが、普通『純粋培養』で社会人(民間)経験の乏しい他の先生方はなかなかこのフレーズが出てこない。いや、私の承知している範囲で、「名刺入れ」にきちんと名刺を入れて管理していらっしゃる先生すら貴重な存在だ。外部の方で大学とお付き合いの深い方にとっては、「大学の先生は名刺交換のマナーも知らない」と半分諦めている(実際私が民間にいるときもそうだった)だけに、私の名刺交換の作法が非常に奇異に移るらしい。


 名刺交換して私の名刺をしげしげと眺めた後「あ、客員の先生ですか」と率直な感想をおっしゃられる方がこれまた多い。


 そう、「客員」というのは要は「非常勤」ということで、別の言い方をすると「常勤(本業)は別にある」ということだ。実は私の場合は、「本業ではありません。仕事は他に持っています。」と自己紹介をしているのと一緒だ。外部の方にはかなりこれが『怪しい』響きをかもし出すようだ。


 研究者仲間で名刺を交換するときには、「いつ着任したのか」や「前の職場はどこだったか」という話題になることが多いが、外部の方との話になると私の場合は突き詰めると「本業は何か」ということになる。しかもかなり遠まわしに攻めてくる(苦笑)。


 過日、その知的財産部の名刺を持って某商工会議所を訪問した。先方の課長私の名刺を見るなり、


あんた客員だろ、本業の名刺もくれよ。


 本業の用件で来たわけではないし、本業の名刺を出せば「大学の経費で出張し自分の会社の営業をしている」と誤解される。だから頑なに拒否した(苦笑)。しかしそこまでストレートに「客員だろ」って言われると思わず「はい、私が犯人です」と言ってしまいそうになる(爆)。


 客員でいる間はこんなバトルが続きそうな予感。
 ではそういうことで。