科研費 | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

科研費

 研究者業界の秋の風物詩「科研費(科学研究費補助金・Grant-in-Aid for Scientific Reserch)」の申請の時期になった。今の勤務先には今春着任してきたばかりだから、年に一度のこれは、今の職場ではもちろん初めての体験だ。


 科研費とは、文部科学省(業務は独立行政法人日本学術振興会に移管)が学術研究を発展させることを目的として事業化している競争的研究資金。独創的・先駆的な研究に対して助成をしようとするもの。詳細はここ


 博士課程の大学院生になった8年前から毎年のようにこの申請をしていて、今まで2回合計6000万円の研究費が付いた実績がある。今の勤務先に移籍する際もこの実績が非常にものを言った(と、人事担当副学長の弁)。母校恩師の教授は何かにつけ「なかには毎年途切れることなくこれが交付されている先生もいる。研究の評価が高ければあたる可能性が上がるから、毎年ゲットできるぐらい活躍することを目標にしろ」とおっしゃっていた。だから当然今年も申請だ。


 残念なことにここ何年か、科研費に関する不正というか不祥事が発生している。だから申請の手引き書の冒頭に「不正の実態例」という項目がある。


預け金(架空の取引により大学に代金を支払わせ、業者に預け金として管理させること)」
カラ出張(実体を伴わない出張の旅費を大学に支払わせること)」
カラ謝金(実体を伴わない作業の謝金を大学に支払わせること)」


 こういうインチキは、もともとはへっぽこ公務員とかの世界ではよく行われていた悪しき慣習だったわけだが、悲しいことに大学の中でもこういうことが過去あったのは事実。結局、「税金を使わしていただいている」という認識の欠如なんだろうなあ・・・。科研費の場合、不正が発覚したら刑事罰の他に次年度以降相当期間応募資格が停止されることになったので、抑止力にはなる。ただ、「相当の期間」は1年から5年という「相当に短い」期間であるので、要は「研究者生命」の終了を意味することにはならない(しかも、その停止期間も研究代表者になれないだけで他の研究プロジェクトには参加できる)。インチキがばれたら、我々の統一背番号である「研究者番号(個人に割り当てられた8桁の数字)」が剥奪されたりするぐらいの強い姿勢が必要だ。


 さて18年度応募分(今回分)から、「電子申請システム」が本格稼動した。研究者番号のほかに学術振興会が発行するID/パスワード(研究者が所属する研究機関、私の例で言えば某大学工学部、が事前に「電子証明書発行依頼」を振興会に提出しゲットする必要がある)が無いと申請できなくなった。これは横行していた「重複申請」をシステム上から排除するために良い方法であるし、申請をきちんと所属研究機関が把握するのに重要である。


 文部科学省(日本学術振興会)の締め切りは11月中旬だが、「申請内容を添削するから10月中に大学の外部資金担当に書類を持って来い」といわれている。私の場合仕事が遅いので今月中はこれにかかりきりかも。


 毎日毎日ブログを書き続けるため、の補助金ください


 という申請じゃあ当選しないよなあ(っていうか学内チェックではじかれる)。読者の方は喜ぶかもしれないが納税者全体の同意は無理だし・・・。いささか残念。
 ではそういうことで。