環境破壊の「お茶」 | ドクター鈴木・あめぶろ研究室

環境破壊の「お茶」

最近お茶の効用が注目されている。
お茶といえば静岡、静岡県庁のホムペでもその効用について説明している。

抗がん成分などが含まれているらしいので、どんどんお茶を飲んで健康になりたい、という気持ちになる。

 

さて、その静岡に、「不気味なほど生気のない緑色(艶消しコバルトブルー?)」の水をたたえた農業用水のため池があるのをご存知だろうか。実は2002年のワールドカップサッカーの際に、日本代表がキャンプをしていた静岡県内の施設に行った時にたまたま見つけた丹野池は、周りを茶畑に囲まれたくぼ地に位置している。茶畑からの廃水(余剰表層水や地下水等)がこの池に流入している。私は出かける際にいつも簡単な水環境計測キットを持参しているので測定してみた。自然のため池とは思えない異常な数値だった。インスタントな測定だけでも水素イオン濃度と窒素イオン濃度の値が環境基準値を大きく突出していた。

 

早速この水を持ち帰り大学の測定器で計測したところ、硫酸イオン硝酸イオンの他にアルミニウムイオン等も高濃度で検出された。池の色が緑色なのは、このアルミニウムが原因なのであった。

地元の方のお話ではこの池には魚などの生物は全くいない、ということだった。自然に囲まれた(この場所は静岡県立の自然公園の一部)場所で、生物のいない環境が何ヘクタールも存在しているのは全くの異常である。池のほとりには東屋が建っていて市民の憩いの場になっている。家族連れの姿もあった。しかし子供がこの池に落ちたらどうなってしまうのか、考えただけで恐ろしい。この原因は、周囲の茶畑に施される各種の肥料が溶け出して池に注いでいるからに他ならない。

 

地元の農協に問い合わせても「企業秘密」とやらで畑に撒く飼料肥料の種類や量は教えていただくことが出来なかった。ただし、「最近はお茶の風味を変えない程度に肥料の使用を総量規制している。丹野池は徐々に綺麗になっている筈」というコメントをいただいている。近くの園芸店で調べてもらったらお茶には「硫酸アンモニウム(硫安)」系の肥料が必要不可欠らしい。これがお茶の風味をつけているということだ。

 

静岡のこの池の周辺だけが特異なのではないと思う。全世界の茶畑の周りの水質を測定したわけではないので確率論的にはナンセンスな話ではあるが、程度の大小はあれ、どこの茶畑でも同じような「行為」が行なわれているのではないだろうか。一般の企業が企業活動をしていく上で環境基準値を大幅に越えるような汚染物質を環境に排出すれば、その企業の生命は終わる。茶農業はどんな環境破壊をしても許されるのか。

 

私は思う。お茶の飲用(あるいは食用?)は体に良いのは認める。しかし、そのお茶を栽培するために地球環境が粉々にされている。お茶を飲むということはその分地球を壊していることになる。茶畑の人工的な緑はもう不要である。地球に優しい農作物を栽培していただきたい。

 

以来私はお茶を口にしない。わずかばかりの抵抗である。ではそういうことで。