これまでに院内感染について述べてきたところをまとめると、医療機関としては、まずは院内感染防止対策を充実させる必要があります。
院内感染防止対策については、現実問題としては、医療機関の規模によって、どこまで行う必要があるのか、どこまで行うことができるのかは異なると思われますが、いずれにしても、その医療機関全体で組織的に行う必要があります。
また、いくら委員会を設置したり、マニュアルを策定しても実行しなければ意味のないことは言うまでもありません。
この点、厚生労働省からも、院内感染対策に関する各種通達(「医療施設における院内感染の防止について」、「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の一部の施行について」、「薬剤耐性菌による院内感染対策の徹底及び発生後の対応について」、「医療機関等における院内感染対策について」等)が出ていますので、これらも院内感染防止対策の充実を図るうえで参考にしていただければと思います。
また、当該医療機関の関係者が各自、院内感染防止につとめ、担当医師と検査担当者など関係者間のコミュニケーションを取ることも重要です。
そして、担当医師には、感染症が疑われる場合には、速やかに起炎菌を同定するための検査、作業を行って必要な予防措置をとり、感染後は起炎菌に最も有効な抗生物質を選択して、これを速やかに投与するなどして早期の治療を行うことが求められます。
執筆責任者 弁護士 赤井勝治(京都弁護士会所属)