花粉症を含め、アレルギーや喘息に困っている人は世界規模で増えているそうです。
アレルギーの増加というと日本国内でのイメージが強く、その原因も、杉の林業を促進した結果である、子ども時代の添加物の多い食生活、運動不足や肥満が引き金になるといった国内の事情で完結させてしまいがちです。しかし世界規模で増えているとしたらこれらが該当しない国もあるわけで、別の更なる要因の可能性も考えられるということになります。
この件について、大気汚染との関係を調査した結果が発表されました。ドイツ、マックス・プランク研究所のUlrich Poschl博士ひきいる研究です。
博士のチームは、Bet v1と呼ばれる花粉アレルゲンに注目し、主に臨床検査とコンピュータ・シミュレーションを使って、いろいろなレベルのオゾン状態、また車の排気ガスに含まれている二酸化窒素との関係を調べ、2つの結果を発表しました。
まずオゾン中に発生するスモッグの主成分が、Bet v1中のアミノ酸のうちのチロシンを酸化させ、より強力なアレルゲンに変化させることを確認しました。そしてもうひとつ、自動車の排気ガスに含まれる二酸化窒素が、Bet v1タンパク質の結合能力に影響を及ぼし、これに反応する身体の免疫反応も増強させている可能性があるとのことです。
ざっくりかつ用語が難しい報告ですが、よりざっくり言うと、大気汚染によるスモッグでアレルゲンの攻撃力が強くなり、排気ガスの成分によってアレルゲンが持つ武器の数が増え、その結果対抗する免疫すなわちアレルギー反応も増えるといったイメージでしょう。
今後は生物医学の研究者と共同し、環境による影響を受け、かつヒトの免疫系へ影響するアレルゲンを、さらに突き止めることを計画しているそうです。
「スモッグの主成分」についての詳細はなかったのでちょっと調べたところ、「スモッグ」とは大気汚染により空気中の見通しが悪くなっている状態を指すとのこと。このうち工場などから排出された煤煙によるものを「黒いスモッグ」と呼び、これに含まれる亜硫酸ガスがいくつかの反応を経ると、肺に到達するほど小さい粒子状物質、いわゆるpm2.5となります。
また自動車の排気ガスに含まれる窒素酸化物と炭化水素が太陽光中の紫外線に反応して発生するものを「白いスモッグ」と呼びます。白いスモッグに関しては、自動車技術の進歩が反映される先進国では、ピークの6分の1程度まで減っているという報告が出されています。
幸い日本国内については、ここ数十年の排気コントロールの技術進歩によって大気の質は著しく向上しています。少しではありますがこの分野の技術情報や製品の詳細を見て、また体での実感をふまえて、個人的には、特殊な場合を除けば都心部であっても「国内での大気汚染」がアレルギーをいっそう増加・増強させる原因になる率は低いだろうと考えています。
しかし空気ばかりは地球全体が共通で使っていますから、近年ではこのケアに手がまわりきっていない地域から、危険性の高い空気が流れてくるようにもなりました。少なくともいましばらくは日本でも、生活地域の空気が花粉症や喘息をひどくしてしまう可能性がないかどうかを、意識したほうがよさそうです。
