ナビスコカップ 準々決勝2st  ガンバ大阪 5-2 浦和レッズ



この日の家長には何が見えていたのだろう。そう思わずにはいられない試合だった。


勝ち上がり条件はお互い勝てば文句なし、スコアレスはガンバ、1-1は延長戦、2-2以上ならレッズとなっていた。

ただスコアレスの可能性は極めて低かった。ガンバは引くようなチームではないし、引いたところで守りきれるようなチームではない。レッズも爆発力はないものの、1点は取れるチームだからだ。


そして試合が始まったが、1stと同じような展開となる。

ホームチームが早々に得点を挙げたのだ。


前半9分に倉田のCKからシジクレイがヘッドで合わせるのだが、その倉田のボールの鋭さは遠藤のそれを超えていた。


ただ、どちらにしてもレッズは得点が必要なわけだったので、冷静にセットプレーからチャンスを作る。

そこは藤ヶ谷が防ぐも、17分流れの中から永井につききれずあっさりと同点に追いつかれる.今年の元日決勝のリプレイみたいなゴールだった。


レッズはこれ以上アウェイゴールを気にしなくてもいいという点で、若干有利に立つ。

無理して攻める必要もなくなった。



しかし、この日のレッズの守備陣はあまりにも脆すぎた。家長1人にいいようにやられ、30分に播戸に素晴らしいシュートを打たれてしまうが、ここは都築がファインセーブ。


ここで断ち切ればいいものの、ショートコーナーを簡単に許してしまい、二川のシュートが山口に当たりゴール。

このシーンで注目すべきは2つ。

1つ目は、いつもポストに泣かされてきたガンバが2得点ともポストに当たってのゴールだったこと。完全に運はガンバにあった。

2つ目は、ガンバの選手が意図的にグラウンダーのシュートを打っていたということ。慣れた芝を有効利用したのだ。


雨足は未だ強い。それでもガンバは丁寧に足元でつないでいく。3点目のシーンは、家長がDFを軽くかわしてのもの。後半型のガンバが前半で3点取るのは久しぶりではなかろうか(調べてないので間違ってたらすいません)。


後半に最低2点必要なレッズは、1枚も代えずに後半に臨んだ。ガンバはもちろん交代なし。


後半6分、またもガンバがゴール。家長のヒールも凄いし、そこに信じて走りこみ丁寧にラストパスを出したシジクレイも凄い。


ここでオジェック監督は2枚代えるが、明らかに遅い。

田中達をここで出せるのであれば、後半頭からの方がいい。全てが後手後手になっている。


その直後、交代の甲斐なく5点目を献上。

この日の家長であれば、1点では物足りないくらいだ。


ちなみにレッズが5失点以上を記録したのは4年前だそうだ。



ここからレッズは意地を見せ、18分に細貝が素晴らしいミドルを決める。シュートも打てるようになる。

ガンバは打ち合いに持ち込むことは出来たかもしれないが、流してプレーをしているように見えた。


お互い惜しいシュートはあったが、このまま試合が進んでいき、レッズがポンテを下げたところで実質的に試合は終わっていた。


レッズは完敗を喫してしまったが、これ以上日程が過酷にならずにすんだと、ポジティブに考えるべきだろう。



対してガンバ。


強かった。内容と結果を両立させることが出来るのは、間違いなくこのチームだけだ。

それぐらいこの2試合でガンバはたくさんのものを得た。


①大黒柱遠藤の離脱のバックアップ…これまで遠藤が抜けると湿りがちだった攻撃が、倉田で充分に補える。彼は、遠藤・二川・明神・橋本のどの役割も高いレベルでこなせるはずだ。

②マグノアウベス・バレーの離脱のバックアップ…播戸が調子を上げてきており、残り1枠は家長がサイドに開いてチャンスメイク。

③雨の中の試合の完全克服…これまで苦手苦手と言われてきた雨でも、今年は得意としている。



しかし、この試合は家長で終わろう。

本当に踊っているようで、Jの舞台でここまで感嘆させられたプレーをした選手は久しぶりだ。



タイプは違うが、西野監督が「和製メッシ」というのもあながちウソではないか・・・順調な成長を望むばかりだ。