今回は学歴別死亡率のお話です。

 

 国立がん研究センターは2024年3月28日付で、国勢調査と人口動態統計を基にした学歴別の全死因による死亡率を初めて推計し発表しました。

 

 就学期間が短い集団ほど年齢のばらつきを調整した「年齢調整死亡率」が高く、中卒者の死亡率は大卒者などの約1.4倍にでした。同センターは、教育歴が死亡率に直接影響しているわけではなく、喫煙や塩分過多などリスク要因が教育歴によって異なることが差につながっていると推察しています。

 

 研究グループは、2010年の国勢調査と10年10月~15年9月の人口動態統計を活用。約800万人分の人口データと、約33万人分の死亡票を突き合わせ、学歴と死亡率の関係を調査しました。

 

 その結果、短大・高専を含めた大学以上卒業者と比べ、高卒者の死亡率は約1.2倍高く、男性は約1.16倍、女性は約1.23倍でした。同様に、中卒者の死亡率は約1.4倍高く、男性1.36倍、女性1.46倍と報告されています。

 

 学歴別で死亡率の差が大きい死因は、脳血管疾患、肺がん、虚血性心疾患、胃がんなどです。一方、乳がんは大卒者などで高い傾向が見られました。妊娠・出産歴の少なさといったリスク要因が考えられ、就学期間の長い女性は死亡率が高くなる可能性が想定されました。

 

 また厚生労働省は2023年12月1日、2020年の「都道府県別年齢調整死亡率」を公表しました。男女とも青森県の死亡率が最も高く、次いで男性は秋田県でした。また女性は福島県でした。低い地域については西日本に多く、最も低かったのは男性が長野県、女性が鳥取県でした。東高西低の傾向が見られました。

 

 これらの原因として、生活習慣や食生活の影響、健康に対する意識や保健医療水準の違いなどの要因が影響しているのではないかと考えられます。