今回も飲酒ガイドラインの続きです。

 

 アルコールは血液を通じて全身を巡り、全身の臓器に影響を与えるため、飲みすぎた場合には、いろいろな臓器に病気が起こる可能性があります。飲酒による影響には個人差があり、例えば年齢、性別、体質等の違いによって、それぞれ受ける影響が異なります。

 

 高齢者は若い時と比べて、体内の水分量の減少等で同じ量のアルコールでも酔いやすくなり、飲酒量が一定量を超えると認知症の発症の可能性が高まります。あわせて、飲酒による転倒・骨折、筋肉の減少の危険性が高まります。

 

 女性は、一般的に、男性と比較して体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も男性に比べて少ないことや、エストロゲン等のはたらきにより、アルコールの影響を受けやすいことが知られています。このため、女性は、男性に比べて少ない量かつ短い期間での飲酒でアルコール関連肝硬変になる場合があるなど、アルコールによる身体への影響が大きく現れる可能性もあります。

 

 アルコール関連で発症リスクのあがる疾患としては、脳卒中、心筋梗塞、高血圧、胃がん、肺がん、大腸がん、食道がん、乳がん、前立腺がんなどが報告されています。 

 

 最後に避けるべき飲酒行動についてお話します。まず短時間での多量飲酒は、いろいろな病気の発症や急性アルコール中毒を引き起こす可能性があり危険とされています。1回の飲酒機会で純アルコール60g以上はハイリスクとされています。次に他人への飲酒の強要です。さらに不安や不眠を解消するための飲酒です。この場合はアルコール依存症になったり、飲酒により睡眠リズムが乱れるなどの可能性がありますのでご注意ください。また病気療養中の飲酒や服薬後の飲酒はおひかえください。

 

 飲酒の正しい知識を持ち、それぞれの適切な飲酒量や飲み方を意識することにより、楽しくヘルシーにアルコールを楽しみましょう。