今回はサルコペニアのお話です。

 

 サルコペニアという病気をご存知でしょうか。サルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少および筋力が低下した状態です。2016年10月、国際疾病分類に「サルコペニア」が登録されたため、現在では疾患に位置付けられています。サルコペニアになると、歩く、立ち上がるなどの日常生活の基本的な動作に影響が生じ、介護が必要になったり、転倒しやすくなったりします。また、糖尿病や肺炎などを起こしやすくなり、死亡率が上がるといわれています。

 

 65歳以上の高齢者の15%程度がサルコペニアに該当すると考えられています。2019年時点で高齢者人口が3,589万人とされていることから、500万人程度の方がサルコペニアになっていることになります。なお、このサルコペニアの割合は、加齢に伴って増加すること、女性よりも男性で高くなることなどの特徴があります。

 

 成人の骨格筋量は20歳を過ぎると50歳までに約5~10%低下し、その後50~80歳までに30~40%も減少することが報告されています。

 

 ここでサルコペニアの簡単な診断方法をご紹介します。まず下腿の周囲長です。ふくらはぎの一番大きいところを測ってみてください。男性で34cm未満、女性で33cm未満は要注意です。あとは握力です。男性で28kg未満、女性で18kg未満はサルコペニアの可能性があります。

 

 次にサルコペニアの予防対策です。サルコペニアの予防や改善は、筋肉量の維持・増進が中心となります。そのためには、レジスタンス運動や有酸素運動などの適度な運動と適切量のタンパク質やビタミンDなどの補給が大切です。

 

 ふくらはぎの長さや握力などでサルコペニアが疑われる場合は、まずかかりつけ医にご相談ください。