今回は前立腺がんのお話です。

 

 2017年より男性のがんの中で、前立腺がんが罹患数の第1位となりました。第2位は胃がん、第3位は大腸がんです。2019年に前立腺がんと診断された人は94,748人であり、男性の約9人に1人です。年齢別には、50歳以降から罹患率が急激に高くなり、70歳代でピークとなっています。前立腺がんは早期に発見して治療すれば、大変予後の良いことが知られています。

 

 日本で前立腺がんが増えている原因は、人口の高齢化、食生活の欧米化、診断技術の進歩といわれています。前立腺がんの危険因子としては、高齢、動物性脂肪の多い食事、喫煙、肥満、前立腺の炎症、前立腺がんの家族歴などが指摘されています。

 

 前立腺とは男性のみにある臓器で、膀胱の下にあり、尿道を取り囲んでいます。前立腺では精液の一部に含まれる前立腺液を作っています。前立腺液にはPSAという蛋白質が含まれています。このPSAの一部は血液中に取り込まれます。

 

 前立腺がんは、早期はほとんど自覚症状がありません。しかし、進行しますと排尿障害や頻尿、血尿、腰痛などの症状がみられるようになります。

 

 この前立腺がんの早期発見のためにかかせないのがPSA検査です。少量採血のみで前立腺がんの発見に有用です。50歳以上の男性は年に1回PSA検査を受けましょう。尚、前立腺がんの家族歴のある方は40歳からのPSA検査をおすすめします。PSA検査の値が一定以上となりましたら、直腸診や経直腸エコー、CT、MRI、骨シンチ、前立腺生検などの精密検査が必要となります。