今回はマイコプラズマ肺炎のお話です。

 

  子どもに多くみられ、咳が長引くことが特徴のマイコプラズマ肺炎の全国の患者数が6週連続で増え、8年ぶりに、1医療機関あたりの患者数が1人を超えました。これは昨年同時期の20倍以上と報告されています。

 

  国立感染症研究所によりますと、全国およそ500の医療機関に8月11日までの1週間に報告されたマイコプラズマ肺炎の患者は6週連続で増加しています。

 

  マイコプラズマ肺炎は、細菌の一種であるマイコプラズマによる感染症で、患者の多くは、小・中学生など14歳以下の子どもが占めています。主な感染経路としては、飛沫感染や接触感染があげられます。

 

  主な症状は発熱や全身の倦怠感、頭痛、咳などの症状がみられます。せきは熱が下がった後も長期にわたって続くのが特徴です。マイコプラズマ菌に感染した人の多くは気管支炎で済み、軽い症状が続きますが、一部の人は肺炎となったり、重症化することもあります。

 

  感染から発症までは2週間~3週間程度と、潜伏期間が長いのが特徴です。そのため、出歩いて人にうつしてしまうことも多く、歩く肺炎とも言われています。

 

  通常使用される抗菌薬マクロライド系が効かない耐性菌が今年は60%に上っています。耐性菌の場合は治りが悪く肺炎がひどくなる傾向にあるため早期治療で重症化を防ぐ必要があります。最近ではマクロライド系以外でも効果的な抗生物質がありますのでご安心ください。合併症としましては胃腸炎、中耳炎、髄膜炎などが知られています。

 

  予防と対策ですが、普段からの手洗いや換気が大切です。潜伏期間が長かったり、軽い風邪程度の人も多かったりするため気付かないうちに感染を広げている可能性があります。発熱があり咳が続く場合は、マスクを着用し早期診断のために新型コロナ検査と共にマイコプラズマ検査を同時に受けられることをおすすめします。