猛暑お見舞い申し上げます。

 今回は慢性腎臓病(CKD)のお話です。

 

 慢性腎臓病(CKD)とは慢性に経過するすべての腎臓病を指します。CKDの患者さんは1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)いると考えられ、新たな国民病ともいわれています。

 

 CKDはかなり進行するまで自覚症状がほとんどないため、発症しても気付かないでいる人が多いです。また腎臓の働きやCKDの危険性をよく知らないため、CKDと診断されても病気を軽く考えてしまい、治療を受けず、そのまま放置している人もいます。CKDが進行しますと、夜間頻尿、浮腫、貧血、全身倦怠感、息切れなどの症状が出てきます。

 

 CKDとは、1つの病気を示すものではなく、慢性的に腎障害があったり、腎機能が60%以下となった状態のいずれかが3ヶ月以上続いた状態をいいます。検査値では蛋白尿陽性やeGFR60(60ml/分/1.73㎡)未満がマーカーとなります。

 

 CKDの危険因子は、生活習慣病(糖尿病、高血圧)、腎臓自体の病気、加齢、脂質異常症、メタボリックシンドローム、高尿酸血症、喫煙などです。

 

 現在、全国的に生活習慣と社会環境の変化に伴う糖尿病患者数の増加が課題となっています。糖尿病が重症化すると、網膜症や腎症などの合併症を引き起こし、患者のQOL(生活の質)を著しく低下させるだけでなく、医療経済的にも大きな負担となり、特に、糖尿病性腎症が重症化し人工透析に至ると、日常生活が大きく制限され、患者の肉体的、精神的負担が大きくなります。

 

 CKDがあると、脳卒中や心筋梗塞など心血管病発症のリスクが高まると言われています。また、CKDが進行して腎不全になると体内から老廃物を除去できなくなり、最終的には透析や腎臓移植が必要になります。このため定期検診による早期発見、早期コントロール、重症化予防が重要となります。