デリケートゾーンの臭いの実態


デリケートゾーンの臭いというのは、

女性にとっては、あえて大っぴらに

カミングアオウトできる話ではないので、
臭いの質や程度が、
実際にどれくらいのものかもわからないですし、
客観的な具体的な視標も見当たりません。

 

臭いを持っている女性がどれだけいて、

どれくらい悩んでいるのか、

それすら把握できていません。

つまり誰一人、

実態というものがわかっていないのです。

 

医者としても、医学的に、
エビデンス(証明)を得ることが出来ていません。
このように、実態がブラックボックスな症状ですから、
第1話にも書いたように、医者側も

患者の気持ちを医学として汲み取れずに、
真剣に病気として見てあげられないことが多いのです。

 

本人も自分のことではありながら、
デリケートゾーンの臭いを判断する基準が無いために、
ニオイの程度がわからなくて、
どれくらいなら臭くて、どれくらいなら問題なのか、
そんな判断もできないんです。

 

そのため、気になる人たちは、
自分は臭いんじゃないだろうか、
彼は臭いと思っているんじゃないだろうか、と、
どんどん疑心暗鬼になっていきます。
  

 

デリケートゾーンの臭いの診察

 

私の外来にも、時々、
自分はデリケートゾーンが臭うんじゃないかと心配して
受診される患者さんがいます。

 

でもそんな時に、いくら女性同士だからと言っても、
診察時に陰部の臭いを嗅ぐわけにはいきません。

 

診察としては、まず脇のニオイだけは
鼻を近づけて嗅ぐようにしています。
脇を嗅ぐと、確かに患者さんの半数程度は
実際にニオイがきつい人がいます。
でも、残りの半数は、私としては苦になりません。

 

もちろん、それは脇のことであって、
脇とデリケートゾーンが

完全に関連しているかどうかわかりませんが、
同じアポクリン腺ですから、

まあ大きな間違いはないでしょう。


患者さんには、
脇や陰部にはアポクリン腺があること
そこからの汗自体は無臭であるが、
その汗に含まれる成分が
悪玉菌によって分解されるとニオイが出ること、
等々を説明します。
そして、マイクロバイオームの話も、
ごく簡単に説明します。

 

お風呂にはゆっくり浸かってください。
あまり洗いすぎないようにしてください。
常に適度な汗をかく習慣をつけてください。

 

そして一次的局所の雑菌、悪玉菌を退治するための

消毒液を出します。

 

あまり強い消毒液ではなく、

皮膚のマイクロバイオームを傷めないような

弱い消毒液です。
 

とりあえず、これでしばらく様子を

みてもらうようにしています。