肝臓の区域を理解してますか?
肝臓の腫瘍を示して、どこにありますか?とういう問題が国試ではよく出されます。
CTを見た時、次の手順に沿って肝区域を判別しましょう。
① 肝臓の辺縁の形から、肝臓の上の方の断面なのか、下の方の断面なのかを判断しましょう。
上なら肝臓の辺縁は比較的単純な楕円形で、肝静脈が見られます。
下なら肝臓の辺縁は複雑で、胆嚢が見られたり、肝鎌状間膜のくびれがみえることがあります。
② 上の断面で見られる中肝静脈と、下の断面で見られるカントリー線が、それぞれを頭側または尾側に平行移動させると一致することを理解してください。
角度的に同じなのです。
③カントリー線は下大静脈と胆嚢を結びます。
肝臓の下の方の断面で胆嚢が見えないときはどうしましょうか?
その場合は、下大静脈から中肝静脈と同じ角度で斜め右(患者の右 CT写真では左)方向に線をひけば、カントリー線を描くことができます。
④上の断面では、S2、3、4、8、7が
下の断面ではS1、2、3、4、5、6があります。
1から6は、反時計回りになっています。
ちなみにS2とS3は左肝静脈で分けられるのですが、国試でこれを区別する必要はないでしょう。
そして、尾状葉 S1は下のスライスでも必ずみられるわけではありません。
下の図を見てください。
カントリー線と中間静脈がほぼ一致します。
前区域( S5 S8 )と後区域( S6 S7 )の間を右の肝静脈が走っています。
内側区域( S4 )と外側区域( S2 S3 )の間を肝鎌状間膜が走っています。
左の肝静脈はS2とS3を分けています。
ではこの手順を実践してみましょう。
実際のCTの断面です。
この断面は上の方ですか下の方ですか?
辺縁が比較的単純ですね。
肝静脈も見えます。
ですから肝臓の上の方の断面です。
そうすると、この肝臓の上の断面で必然的に見えてくるのは
右肝静脈で分けられる S7 と S8
中肝静脈で分けられる S8 と S4
左肝静脈の更に左側に位置する S2 S3 ですね。
次はこの断面です。
肝臓の辺縁が複雑ですね。
肝鎌状間膜のくびれもあります。
肝臓の下の断面ですね。
下の断面ですからもう肝静脈はありませんね。
その代わり門脈が見えてきました。
胆嚢はありません。この断面ではまだ出ていないようです。
胆嚢がない時のカントリー線の引き方はどうだったでしょうか?
下大静脈から中肝静脈と同じ角度で線を引くのでしたね。
こうして青で示したカントリー線が引けました。
そうすると肝区域は分かってきましたね。
カントリー線で外科的右葉と外科的左葉に別れます。
右葉の前が S5
右葉の後が S6
S4 と S2・3はくびれ( 緑のやじる )で別れます。
そして重要な尾状葉 S1 が出てきました。
門脈と下大静脈に囲まれた区域です。
最後に胆嚢の見えるスライスです。
茶色が胆嚢です。
黄色が下大静脈です。
そうするとカントリー線が引けますね。
そうすると、区域も分かって来ます。
このスライスでは胆嚢が見えているので下大静脈と結んでカントリーを自信を持って引くことができます。
最後に、これまで説明したことを動画にしました。
国試の過去問も解いてます。
是非見てください。
●補足
国試の過去問を3題、提示しました。
それぞれ違う患者さんのCTですが、断面から言うと
頭側より
106I21 左の写真 肝の辺絵が楕円形 肝静脈がみえる
↓
99H15 の写真
↓
106I21 右の写真 辺縁が複雑で断面積が一番広いい
↓
108D5の写真 右葉が見えて、左葉は少ししか見えない
となります。