医師国家試験、絶対落ちたくない! 現役予備校講師が書く、国浪・留年の一次予防ブログ

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卒後10数年目の医師です。医師国家試験合格を目指す人に役立つ内容をまとめていきます。特に国試浪人生、現役生でも勉強が遅れている人の助けになるように書いています。
1点でも多く得点し、ギリギリでもいいので合格しましょう。

今回は感染症です。

みんなが大嫌いな範囲です。

学生も医者もみんな嫌いです。

でも国試でも出ますし、研修医になって働き出すと真っ先に直面します。

では始めましょう。

感染症の考え方は、まず患者の特徴を元にして起炎菌・抗生剤を考えます。

同じ臓器の感染症でも患者の特徴によって、起炎菌は変わります。

起炎菌が変われば必然的に抗生剤も変わります。


患者(元気な人 or 入院患者 etc )

臓器(病名)

起炎菌

抗生剤

の4つの軸で考えましょう。

以下に出来るだけ一対一対応に近い形で覚えられるもので、救急外来でよく出会う感染症について処方例を含めて書きました。

(処方例についてはあくまで一例です。もっと良い処方例もあるかもしれませんし、実際にこの通り処方した場合に起こる責任は負いかねますのでご了承ください。あくまで私用の備忘録程度です。学生の方は処方例は省いてください。)


⚫︎梅毒 
(抗生剤)
ペニシリン or アモキシシリン

(例)
商品名 サワシリン錠250mg
1回2錠 1日3回 4週間内服



⚫︎A群β溶連菌感染の咽頭炎
(抗生剤)
ペニシリン
マクロライド

(例)
商品名 バイシリンG
80万単位 1日4回 10日間点滴

商品名クラリシッド200mg
2錠 分2 10日間内服

咽頭炎はほとんどがウイルス性でありますが、Centor’s score と迅速検査にてA群β溶連菌を判断して抗生剤治療を行います。

リウマチ熱を予防するために10日間治療を行います。

EBウイルスによる伝染性単核球症の場合、アンピシリンやアモキシシリンを投与すると、薬疹が出るので注意が必要です。



市中肺炎
⚫︎細菌性肺炎
(起炎菌)
肺炎球菌 
インフルエンザ菌 
モラキセラ
(抗生剤)
セフトリアキソン 
スルバクタム・アンピシリン

(例)
商品名 ロセフィン
1〜2g 1日1回点滴

商品名 ユナシン
1.5〜3g 1日3回点滴



⚫︎非定型肺炎
(起炎菌)
マイコプラズマ 
クラミジア 
レジオネラ
(抗生剤)
マクロライド
ニューキノロン

(例)
マイコプラズマ肺炎・レジオネラ肺炎を外来で治療する場合
商品名ジスロマック成人用ドライシロップ
1回2g単回内服

レジオネラ肺炎を含めた非定型肺炎を外来で治療する場合
商品名ジスロマック 500mg
1回 1錠 1日 1回内服


ちなみに市中肺炎をみて、もし細菌性や非定型肺炎のどちらかがわからない場合ならば、
βラクタム系+マクロライドの併用や
ニューキノロン単剤で治療を行います。

(ニューキノロンは単剤で、肺炎球菌などの細菌性肺炎の代表的起炎菌と非定型肺炎の起炎菌の両方をカバーします。)

(例)
商品名 オーグメンチン配合錠 250mg
6錠 分3
商品名 ジスロマック成人用ドライシロップ
1回2g単回内服
or
商品名 クラリス 200mg
2錠 分2


クラビット 500mg
1錠 分1
 


⚫︎尿路感染症
(起炎菌)
大腸菌 
Proteus mirabilis 
クレブシエラ
(抗生剤)
セフトリアキソン

カルバペネム(ESBL というβラクタマーゼ産生する大腸菌やクレブシエラを疑う場合ですが、覚えなくていいでしょう。)

(例)
商品名 ロセフィン
1〜2g 1日1回点滴
商品名 メロペン
1g 1日3回点滴



皮膚感染
⚫︎丹毒
(起炎菌)
A群溶連菌(発赤 光沢 ねっ感があり、浮腫状です。 境界も明瞭です。)
一部ブドウ球菌の場合もあります。
(抗生剤)
ペニシリン
セファゾリン(第1世代セフェム)

(例)
商品名 サワシリン250mg
6錠分3内服

商品名 セファメジン
1g 1日3回点滴

商品名 ケフレックス(経口用の第1世代セフェム)
1000〜2000mg分4内服



⚫︎蜂窩織炎なら
(起炎菌)
ブドウ球菌
(抗生剤)
セファゾリン

(例)
商品名 セファメジン
2g 1日 3回点滴



●軟部組織感染症
(起炎菌)
Clostridium perfringens(狭義のガス壊疽)
A群β溶連菌(劇症型A群β溶連菌感染症  )
Vibrio vulnificus(劇症型の壊死性筋膜炎 肝硬変患者の海水暴露に多い)
MSSA MRSA(トキシック・ショック症候群)
嫌気性菌  大腸菌 (広義のガス壊疽)
(抗生剤)
ペニシリン
ダラシン
バンコマイシン
カルバペネムなどを併用します。

(例)
商品名 メロペン
1g 1日 3日 点滴
商品名 ダラシン 
600mg 1日3回 点滴
商品名 バンコマイシン
Ccr × 15mgを1日2回点滴



⚫︎中耳炎
(起炎菌)
肺炎球菌 
モラキセラ
インフルエンザ菌
(抗生剤)
肺炎球菌をターゲットにしてアモキシシリンで始めることが多いです。
中等度以上の症例で抗生剤を使います。


⚫︎淋菌感染
(抗生剤)
セフトリアキソン

(例)
商品名ロセフィン
1g 単回点滴



⚫︎クラミジア感染
(抗生剤)
マクロライド  
テトラサイクリン 
ニューキノロン

(例)
商品名 ジスロマック成人用ドライシロップ
2g 1日 単回内服

商品名 クラビット500mg
1錠 1日 1回内服 7日



嫌かもしれませんが、少しずつ覚えてください。



今回は高張性低ナトリウム血症について。

某大学の卒業試験で実際に出題されたものです。



高張性低ナトリウム血症になるのはどれか?

1 腎不全
2 高血糖
3 SIADH
4 副腎皮質不全
5 ネフローゼ症候群




選択肢から、まず低ナトリウムになりそうな疾患を選んで、それから高張になるのは・・・・と考えた生徒が多かったのではないでしょうか。

でも、そう解くのではないのです。

そもそも、

低ナトリウムなのに、高張って変じゃないですか。

そう思いません?

血漿浸透圧の式を思い出してくださいよ。

Na × 2  + BUN / 2.8 + BS / 18でしたね。

ナトリウムが低いのにトータルとしての血漿浸透圧が高いということは、

BUNまたはBSがものすごく高いということになりますね。

ナトリウムの低さを、補って余りあるほどBUNやBSが高いということです。

そうすると

高血糖や腎不全が当てはまりそうです。

高血糖ではまさにBSが、腎不全ではBUNが上がりますから。

では答えはどちらでしょう。

答えは高血糖です。

なぜ腎不全がダメなのか?

それは、BUNが上がったとしても、

せいぜい5倍くらいだからです。

例えば BUN 14m g / dl が腎不全で 56 mg / dl になったとしましょう。

この場合、BUNは4倍の上昇です。

そうすると、BUN / 2.8 は、5から20に上がります。

15の上昇ですね。

でも Na は2倍になるので

トータルとしては血漿浸透圧は下がり安いですね。

(もしNaが8以上に下がれば、BUNの上昇の分を相殺してしましますから。)

一方、高血糖はどうでしょう。

血糖値は10倍くらい上昇するっことはあり得ます。

糖尿病性ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧症候群では、血糖値が90 mg / dl が900 mg / dl になることはあり得ますから。

そうすると BS /18 は、5から50になりますね。

45の上昇です。

BUNに比べて上昇幅が大きいのです。

そうすると、ナトリウムがある程度低下したとしてもトータルとしての血漿浸透圧は上昇することがありえるのです。

だから高血糖では、

高張性低ナトリウム血症とういう状態が起こり得るのです。


以上、血漿浸透圧の式から少し(?)数学的に説明しました。




ですが、この高張性低ナトリウム血症を出題した先生は、低ナトリウム血症の鑑別という観点で考えさせようとしたと思います。


低ナトリウム血症の患者を見た時、まず偽性低ナトリウム血症を鑑別しないといけないというルールがあるからです。

この偽性低ナトリウム血症とは、

検査値の上でだけ低ナトリウムになっている状態のことを言います。

この偽性低ナトリウム血症の中に、

高張性低ナトリウム血症が含まれるのです。


ではなぜ見かけ上、ナトリウムが下がっているのでしょうか。

それは浸透圧を作り出す物質(浸透圧物質)が血中に異常に含まれているからです。

浸透圧物質の一例には、もちろん糖があります。


高血糖になると、浸透圧が上がり周りから血管内に水を引っ張ります。

そうすると血管内のボリュームが増えて、ナトリウムが相対的に薄まります。

つまりナトリウムが下がっているのが、ナトリウムの喪失ではなく、他の浸透圧物質のせいだというので、偽性という名前が付いています。

高血糖のために浸透圧が上がり、見かけ上ナトリウムが下がって見えるという状態という訳です。



この状態のことを問うているのが、この卒試の問題なのです。

低ナトリウム血症だけど、血漿浸透圧を計算すると決しって低くなっていない場合(むしろ浸透圧が上昇している場合もあり)が、偽性低ナトリウム血症ですね。

そもそもナトリウムが低いのに血漿浸透圧が高いって変だなという感覚が大事です。

この感覚からの解離しているのが、偽性低ナトリウム血症だとも言えます。

ちなみに他の選択肢の疾患は、低ナトリウムになり、浸透圧も低下します。


以上です。




今回は急性肺塞栓症の治療についてです。

これまで急性肺塞栓症については検査が中心に問われてきました。

みなさん、検査についてはもう大丈夫ですか?


● 心エコーで右室拡大  

右室が大きくなって、左室がDの形に圧排されます。 


● 採血でDダイマーの上昇


● 胸部造影CTで肺動脈内の血栓像

ですね。


下肢の血栓をみるために下肢のエコーも行われます。



検査はもう出尽くされた感じですね。


意外にあまり出ていないのが肺塞栓症の治療です。


肺動脈の治療と言えば、抗凝固療法でしょ!と言う人がいると思います。

もちろん正解です。


では、それ以外の治療法とその適応はどうでしょうか?

抗凝固療法以外には、

血栓溶解療法(t-PA)や
カテーテルによる血栓吸引除去や
外科的な血栓摘除療法

があります。


そしてこれらの適応 / 優先順位はどうでしょう。

答えられますか?

この辺りがあやふやな人がいます。


今回はこの辺りをまとめました。


まず


● 循環が落ち着いているなら抗凝固療法です。

ひどいショックや心停止になっていなければ抗凝固療法を行います。

抗凝固療法と言えば、ヘパリンです。

そしてヘパリンの投与法は?

静脈投与です。(皮下注もできます。)

ヘパリンをまず5000単位くらい静注して、その後持続的に投与します。


ちなみにヘパリンの作用は?

ぺパリンはアンチトロンビンと結合して、トロンビンや第Ⅹ因子を阻害し凝固系を阻害します。




では、血栓溶解療法やカテーテルによる血栓吸引 外科的な血栓摘除を行う場合は?と聞かれればもう答えはわかりますね。

簡単に言えば、循環が保たれない時です。


ショックが続く場合や、循環が保たれずに
PCPS(経皮的心配補助装置)を使わなといけないような場合に、これらを行います。


t-PAは強力な血栓溶解作用で、重篤な肺塞栓症の循環を改善してくれますが、出血の副作用もありますので、手術後などでは使いにくい面が多々あります。

血栓を直接溶かすt-PAは、一番理にかなった治療法であるのですが、その適応についてはリスクとベネフィットを考えて慎重に使わないといけないのです。


(例えば、整形外科手術の翌日に歩き出した時の起きた急性肺塞栓症などではt-PAは使いにくいです。この場合はヘパリンを使用します。)



◼︎◼︎まとめです。

● 急性肺塞栓症の治療は症状の重さで治療法を考える。

● 循環が保たれる場合 → 抗凝固療法 (ヘパリン)

● 循環が保たれない場合 → 血栓溶解療法 カテーテル治療 外科的治療です。

さらに

● t-PAは出血のリスクが高い時は使いにくい。

● 循環が保てない場合、PCPSを使用できる施設であれば、使用する。




ではワルファリンはどうでしょう?

ワルファリンも抗凝固療法です。

良さそうですが…。


もちろん使います。

ですが、ワルファリンは経口投与の薬で患者さんの状態が悪いと内服できません。

そして何より効き出すのに数日かかります。

速効性がないのです。

今起こっている急性肺塞栓症の治療には使えません。

ここが重要です。

ですから先ずはすぐに効くヘパリンを投与します。

そして内服可能ならワルファリンも飲ませ始めます。

数日後にPT-INRが2前後に伸びて、ワルファリンが効き出したのを確認してからヘパリンを中止します。

ヘパリンからワルファリンにスイッチするのです。


● ヘパリン静注からワルファリンの内服にスイッチする。




この辺りは、10月に行われました6年生対象の関西7大学合同試験でも出ましたね。


以上です。