医師国家試験対策予備校講師のブログ

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卒後15数年目の医師です。医師国家試験合格を目指す人に役立つ内容をまとめていきます。特に国試浪人生、現役生でも勉強が遅れている人の助けになるようにまとめを書いています。
一緒に勉強しながら、頑張っていきましょう。

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前回の続きです。

 

『急がない頻脈』についてです。

 

急がない頻脈とは、意識レベル低下や血圧低下などがない循環動態の安定した頻脈です。

 

血圧がいくら以上なら大丈夫とか、心拍数がいくら以下なら循環動体が安定していて安心できるなど

 

一概には言えません。

 

ざっくり言うなら、血圧は90以上、心拍数は150、160以下位でしょうか。

 

血圧は普段の血圧にも寄りますが、血圧が90あれば安心できます。

 

心拍数も200近くなると、循環が不安定になりやすいので、心拍数150、160ならまだ焦らず対処できます。

 

心拍数が200近くになると心臓は、空打ちになってしまい血圧低下が著しくなります。

 

空打ちとは、頻脈のせいで拡張期が極端に短くなり、心室に静脈灌流を溜め切らずに、

 

収縮するので一回拍出量が低下し、血圧が下がることです。

 

 

ここで注意してほしいのが、

 

急がなくていい頻脈は、『今の所』急がなくていい頻脈です。

 

決して明日まで放置という訳にはいけません。

 

『急ぐ頻脈』程ではないにしても、止める必要があります。

 

今は『急がなくていい頻脈』でも、循環が不安定になる可能性もありますし、

 

VTやVFといった心室性の不整脈になる可能性もあります。

 

(心室性の不整脈は、上室性の不整脈より怖いです。)

 

心拍数が高いままだと心不全、肺水腫になる可能性もあります。

 

いますぐ電気ショックは必要ではなく、薬剤で治療するという意味で

 

『急がない頻脈』なのです。

 

 

個別の治療は、頻脈波形というもう一つの軸で考えていきます。

 

・narrow QRS でリズム整なら

 発作性上室性頻脈を考えて、

 頚動脈洞マッサージや

 ATP(アデホス®︎)10mg静注 効果がなければ、さらに20mg静注

 生食の後押しを忘れずに。

 

・narrow QRS でリズム不整なら

 心房細動を考えて

 レートコントロール目的でジキタリス、Ca拮抗薬、ベータ遮断薬の投与を行います。

 ただし、心機能低下症例ではジキタリス以外は血圧低下を招くので注意が必要である。

 

 ジゴシン®︎0.25mg ゆっくり静注

 ワソラン®︎5mg ゆっくり静注

 オノアクト®︎

 

 リズムコントロールは、抗凝固療法を行って心エコーで血栓の有無を調べてから。

 なぜなら、心臓内に血栓があると洞調律に戻った時に血栓が飛んで行く可能性があるためです。

 

・wide QRS でリズム整なら心室頻拍を考えて

 リドカインやアミオダロン

 

 リドカイン®︎50mg

 アンカロン®︎150mg

 

・wide QRS でリズム不整なら

 WPW症候群に生じた発作性心房細動(pseudo VT)を考えて

 プロカインアミドやジソピラミドなどのⅠ群

 効果がなければ、電気ショックを行います。

 

 アミサリン®︎100mg ゆっくり静注

 

 以上です。

 

 

 

 

 

こんにちは。

 

救急外来に頻脈発作の患者さんが来院しました。

 

と言っても、患者さんは『頻脈です。』と言って受診したわけではありません。

 

『動悸がする』『胸が苦しい』と言ってくれるならまだしも、

 

場合によっては『しんどい。』や『なんか調子悪い。』といった、とらえ所のない主訴で受診することも多いです。

 

今回は、『朝から食欲がない。』でした。

 

胃腸の問題?と思ってしまいますよね。

 

そこで、頻脈発作に気がつけるかが重要です。

 

少ししんどそうだったので、脈とってみたのがきっかけで頻脈が分かりました。

 

 

やっぱりバイタルサインの確認が基本中の基本だなと思いました。

 

バイタルサインがおかしければ、林寛之先生の『猿も聴診器』です。

 

順に

 

さ・・・酸素投与

 

る・・・外液でのルートキープ つまり点滴確保

 

も・・・モニター

 

ちょう・・・超音波 (慣れないと難しいが)

 

しん・・・12誘導心電図

 

き・・・胸部レントゲン 

 

心電図をとって頻脈が洞性頻脈(P波がちゃんとある頻脈)の場合は、頻脈の原因を探します。

 

例えば、消化管出血による貧血・肺炎による低酸状態・感染症による発熱など

 

場合によっては、無治療の甲状腺機能亢進症・低血糖発作・不安などの精神的緊張などもあり得ます。

 

これらを治せば、洞性頻脈も治ります。

 

一方、頻脈性不整脈の場合は、

 

不整脈に対する薬剤や電気ショックが必要です。

 

 

今回は、頻脈性不整脈の話です。

 

治療は、緊急性と頻脈波形の2軸で考えましょう。

 

緊急性とは、『急ぐ頻脈』か『急がない頻脈』かです。

 

意識低下、ショック状態(血圧80未満)など循環動態が不安定な場合は『急ぐ頻脈』です。

 

『急がない頻脈』は、心拍数以外は安定しているものです。

 

『急ぐ頻脈』の場合は、

 

鎮静して電気ショックです。

 

鎮静は、ミタゾラムやプロポフォールを使用します。

 

電気ショックを行う上で、大事なのは同期することです。

 

除細動器の同期ボタンを押さないと、R on Tを作ってしまい、心室細動になることがあるからです。

 

R on Tとは、

 

T波のタイミングに、電気ショックを与えることです。

 

このタイミングは心臓の細胞が不安定で、一番怖い心室細動を引き起こしてしまうのです。

 

これを避けるために、患者さんのQRS波のタイミングにショックが行えるように、同期させる必要があります。

 

心室頻拍なら100J

 

発作性上室頻拍なら50J

 

心房細動なら100J

 

のエネルギーでショックを与えます。

 

 

精神科の分野で出題される、検査にリバーミード行動記憶検査というものがあります。

 

その名の通り、記憶の検査なのですが、その特徴は日常生活場面を想定した記憶を検査します。

 

例えば、

 

写真を見せて人名を覚える

 

とか

 

複数の人の顔を覚える

 

検者が被検者と簡単な約束を検査の最初にして、検査の終わりに思い出してもらう

 

道順を覚える

 

など、日常生活で必要な記憶を検査します。

 

点数によって、

 

日常生活で指示や監視が必要かどうか、

 

一人で迷子にならずに外出できるか、

 

一人で買い物ができるかなどが、ある程度推測できます。

 

 

例えば脳出血や頭部外傷後のリハビリテーションで検査されることが多いです。

 

もちろん、

 

統合失調症などの精神疾患では、記憶障害がないので

 

検査する必要は高くないです。

 

107E57参照