ちょっと、連休前に本業の話を。

 

日本はみなさんの努力もあり、これまで死者数は少なく抑えてきています。それでも、昨年の超過死亡はなんと11万人超。超過死亡というのは、例年の年齢毎死亡率から推計される死亡数から統計的に有意に増加した数を言います。これが11万人というのは尋常な数ではありません。

 

昨年の夏以降の主体はオミクロン株で死亡率はかなり下がったのですが、この数字でした。実は私は一昨年の超過死亡が3-5万人と推計していたので、それより下がるだろうとたかをくくっていたのです。それが11万人って・・・・。正直、仰天しました。

 

みなさんはおそらく医療業界にいらっしゃらないので、御自身が急病にならない限りわからないと思うのですが、昨年秋から今年の正月の第8波でも普通の病気で入院できないという状況がずっと続いていたのです。実際、病棟が満床だったり、スタッフがコロナで出勤できなかったりという様々な状況が影響したのですが、それでも公衆衛生的には非常に危うい状況が続いたのです。

このグラフは、累積感染者数と新規感染者数を両対数グラフにプロットした日本のこれまでの感染状況のグラフです。指数関数的な増加を示す事項は、この形のグラフにすると一直線に並ぶという特徴があります。それは指数関数を積分しても指数関数になるからなのですが、実は、波があるように見える日本の感染者数はこのグラフ上ではそのピークが奇麗に一直線に並ぶのです。最後の波だけが直線からずれていますが、この時は全数把握を止めたので、それを考慮すればおそらく一直線上にあったはずです。

 

だとすると、次の波で欧米並みにほぼ全員が感染しかねないことがわかります。とすると、まだ感染したことがない4-5千万人の感染者が第9波で発生するかも知れないという事です。

 

数学は、神の所業をつまびらかにする事があります。私はこの直線を見るにつけ、次の波は本当にやばいなと恐怖を感じずにはいられないのです。

 

最近の変異株は若年者に余り重篤な肺炎を引き起こすことはなくなっています。ただ、以前、慢性疲労症候群と呼ばれて、原因不明だとされていた病態にうり二つの、いわゆるLong Covidといわれる病態をかなり高率に引き起こします。これは高齢者には衰弱から、死をもたらしますし、若年者には全身倦怠感から学校に行けないなどの症状を引き起こします。場合によっては失業する方もいらっしゃいます。

 

私は人混みではマスクはした方が無難だと思いますし、まだ予防接種をしていない方がいるなら、機会があればした方が良いと思います。また、もし、風邪様の症状があったら、早めに受診して、診断を受け、必要があれば投薬を受けた方が良いと思います。塩野義のゾコーバにはさきほを書いたコロナの後遺症をかなり抑制する効果があることがわかってきています。

 

是非、お気をつけて、楽しいゴールデンウイークをお迎えください。私はゴールデンウイークはずっと仕事です(T-T)