2013年 日本
☆監督・・・猪崎宣昭
☆キャスト・・上川隆也、武田真治、片瀬那奈、平山あや、小池里也、黒谷友香、賀来千賀子、でんでん、高橋恵子、長嶋一茂、戸田恵子、伊武雅刀
☆原作・・・デイヴィット・ゴードン 「二流小説家」
邦画もたまには(^O^)観るんだぜ~♪
推理小説が好きだけど、古今東西あらゆる作品に精通しているわけもなく...。このタイトルの原作の存在も知りませんでした(^_^;)
ただ、このタイトルが何故かすごく魅力的な響きがしたので迷わず鑑賞決定♪
本屋とか図書館でふと目に飛び込んできたタイトルが気に入って衝動的に手に取ることありますよね?
実際に読んでみて、タイトルに感じた面白そう!という直感がばっりち当たった時は満足感もこの上なく、すごく得した気分になってうれしいものです(^-^)
そんな感じでこの映画も見始めたのですが...。
武田真治は、エキセントリックで怪しい雰囲気の犯人役がわざとらしくなくハマってましたねー。かなり昔の深夜ドラマ「ナイトヘッド」の記憶がよみがえりました。見た目の二枚目さの割に正統派な格好よさ、というより沢田研二的(!?)な裏面の妖しさ、みたいなものを醸し出すのがまた目の離せない魅力であります。
主演は上川隆也。意外にも映画初主演、とのこと。
この人も朴訥そうな人柄が顔ににじみ出ていて、売れない小説家、という割をくって本流には乗れない馬鹿正直でまじめな男を演じるのにうってつけな配役に感じました。
ストーリーは、連続殺人鬼の男に告白本の執筆を依頼された主人公の周囲で、その連続殺人の手口とそっくりの新たな殺人が起こり新旧両方の事件の謎が明らかにされていく...というもの。
だいたいにおいて、邦画はテンポがゆったりで、場面のつなぎ方や心理描写にまどろっこしさを感じることが多い、という先入観があるので、自分の中では観たい順位の後方に行きがち。
今回はさほどまどろっこしさはなかったけど、でも中盤ちょっとだれ気味?というか集中力が途切れ眠くなるあたりもありました(^_^;)
一応真犯人を見つけ出し、事件は解決されるのだけど、すべて見終えても真相がものすごく意外、だとか、「あっと言わせるトリック」と感心するほどのインパクトはなかったかな~。ただ、謎解きの課程を丁寧に繰り広げ、殺人犯の過去も少しずつ事件の進展とともに明かしていくのも真犯人を徐々に絞り込む布石になっていて辻褄的には悪くない。
ただ、丁寧は結構だけど、もうちょっとテンポよくしつつミステリアスな印象を与え続けてくれたらよかったのにな。とも思う。
それでも、途中じれったくなりつつも目が離せなかったのは、謎解きだけでなく殺人鬼と小説家、それぞれの心象や妄想で内面の変化にも焦点を当てていたからかな。
売れない二流小説家をなぜカリスマ的人気を得る殺人鬼が呼び寄せたのか。刑務所内の面会でのやりとりがお互いに変化をもたらしあっていく様が主題だったのかもしれないですね。
平凡な小説家は殺人者の記憶と心の葛藤をなぞるうちに否応なくその事件の奥にあるものに感化され徐々にアグレッシブに変容していく。
孤独でいびつな子供時代を送った殺人鬼は小説家を挑発することで内に秘めた叫びを吐き出していく。そしてついには刑に処される。
生い立ちが彼の異常性を呼び起こした、というやりきれなさ。そして、彼の美意識による殺人のエッセンスを一人の作家を呼び立ててその美学を継承させていこうとする意思。異常性の陰に彼の悲しみが見え隠れして、嫌悪感より同情すら感じさせてしまう。それがこの殺人鬼の恐ろしいところだ。
しかし、殺人鬼に否応なく鍛えられた二流小説家も、告白本を出版してすっかりたくましくなるのだ。そして永遠にこの二流小説家の記憶から哀しき殺人鬼が消えることはないので、二人は一蓮托生の仲。孤独・無理解からの解放をお互いに成し遂げたのかもしれない。
ただ、圧倒的なまでにカリスマ性を放つ犯罪者にひかれてしまう普通の人々の描写にはオウム事件を思い出してしまいました。本質を見極めることのむずかしさと善悪の一線を越えたところまで渇望してしまう人の性。そこまで行かないと生きている実感を得られない...っていうことなのでしょうか。
現実にも絶えることなくさまざまな殺人事件が起こっていて...。作り物の話で100%片付けられないところが微妙に恐ろしいですねー((+_+))
