「なのはな」 (萩尾望都著) というマンガを読みました。
もともとこの方の作品は「ポーの一族」 「トーマの心臓」あたりから入ったような記憶があります。
美しき少年とバンパイアのお話。お耽美な雰囲気もありつつ恐ろしい情念のようなものを描くのが得意な作家です。
でも、猫を擬人化して主人公にした愉快なマンガもありましたっけ。どうしてもねこだから、ほかの人と同じことができなかったり。失敗してしょんぼりしたり、果敢にいろんなことに挑戦したりする姿がいじましくて可愛らしいいです(^-^)
*ええと、調べたら「レオくん」という題名でした。
ジャンルは様々で、SF的なものから心霊もの心理学的なものといろんな世界を見せてくれます。でも、うっかり気分が低めの時に読んでちょっとキツくなったり、なかなか人間の深層心理を突いてくる鋭い怖さだったりするので、読むときはご注意を。(^_^;)
この「なのはな」はまさに1周年を迎えたばかりの3.11を題材にしています。
げんぱつ事故で日本は世界中に災いをふりまいたけど、とくに周辺に住むひとの翻弄され方はひどいものでしょうね。
津波で亡くしたおばあちゃんがチェルノブイリの少女と福島の自分をシンクロして、「あの少女はチェルノブイリの私なのか」と気づかせるところは、まさに過酷な現実を物語っています。かの国での事故も過去の出来事ではなく、まさしく今の日本で再現されてしまった。その悲劇は他人事ではない。
いくつかの短編をまとめた形の本書ですが、放射性物質を擬人化して、いかに人々に夢を見せ期待をいだかせたか、を寓話として見せてくれます。疑いもなく受け入れる人、最初は警戒してもその便利さに魅了され受け入れてしまう人、最後まで反対する人が登場します。これはまさに現実の原子力に対する歴史と今の姿です。
やがて放射性物質たちは捕われ隔離され、闇に封印されていくのですが...。
現実でも、ちゃんとその利便性と危険性がまっとうに判断されんことを祈るのみ。
人間は手につかめるはずのない太陽に触れてしまったのだ。
善も悪もひっくるめて、この罪深きこの人間というものはやがて平等に「死」という末路を迎える。
それが宇宙の法則。
地球ごと心中できる威力を手に入れてもまだ人間は満足できないのか?
いや。
いつ爆発するともしれない死のボールをパスし続ける罰ゲームなのかも。
途中でやめることのできない死のゲーム。