初の女性検事総長が誕生するようだ。畝本直美東京高検検事長(61)。

 

  畝本直美東京高検検事長

検事総長という職位は、あってはならないが政治的に決定されることが多いようだ。

安倍総理のとき、東京高検検事長だった黒川弘務氏の定年を延長したとして、安倍政権が検察人事に介入したと問題になった。

 

  黒川元東京東京高検検事長

文春オンライン

村山治

「…2012年暮れ、民主党から政権を奪還した自民党の安倍政権は、政治主導の名のもとで官僚グリップを強化した。その少し前、検察では大阪と東京の両地検の特捜部で捜査をめぐる不祥事が発覚。国民から厳しい批判を受けていた。郵便不正事件での証拠改ざんと、民主党代表の小沢一郎に対する検察の不起訴を審査する検察審査会に事実と異なる捜査報告書を提出していたことだ。検察は抜本的な改革を迫られていた。

 このとき、関連の法改正や予算折衝などで政界ロビーイングの先頭に立ったのが、法務省官房長の黒川だった。政権は話がわかる検事と受け止め、彼を重宝した。

実際に安倍政権が検察首脳人事に口出しを始めるのは、2016年9月の法務事務次官人事からだ。法務・検察が「3代先の検事総長に」と予定していた、刑事局長の林を事務次官に起用する人事案を政権が拒否。林と検事任官同期で官房長の黒川の起用を求めたのだ。

 そして「1年後には林を次官にする」との感触を政権から得た法務省は、黒川を次官に起用した。だが政権は林を次官にしないまま2018年1月、検察序列ナンバー4の名古屋高検検事長に転出させた。そのうえで黒川を2019年1月、検察ナンバー2で検事総長テンパイポストとされる東京高検検事長に起用した。

 だが検察も、完全に政権の言いなりではなかった。政権は黒川の検事総長起用を強く希望したが、検事総長の稲田伸夫は、黒川が定年を迎える2020年2月までに総長職を禅譲することを拒んだ。

さらにこの間、稲田率いる検察は、2019年7月の参院選をめぐる公選法違反(買収)容疑で、安倍側近の前法相・河井克行と妻の案里を捜査。2020年6月2人を逮捕した。政権はこれを検察の「反逆」と受け取め、苛立った。もっとも、検察側も立件に前のめりになりすぎ、禁じ手の脱法的司法取引を使ったことが後に発覚。批判も受けた。

そして安倍政権が東京高検検事長の黒川の定年を、国家公務員法を根拠に半年間延長する異例の人事を行ったのは2020年1月末のこと。法務事務次官だった辻裕教が、黒川の半年間の定年延長という奇策を編み出したのだった。次期検事総長含みでのウルトラCだった。野党側は「違法な法解釈による違法人事だ」と猛反発。公職選挙法違反の疑いが指摘されていた、首相主催の「桜を見る会」前夜の夕食会での飲食代提供問題などで検察の手心を期待した人事ではないか、と勘繰った。

 政権はさらに、政府が必要と認めた検察幹部については定年延長を可能とする検察庁法改正案を3月に上程する。これに反対する女性が「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグ付きでツイッター(当時)に投稿すると、それが爆発的に拡大。元検事総長の松尾邦弘ら有力検察OBらも「検察への不当な人事介入だ」と反旗を掲げた。

 騒動は意外な結末を迎えて終わる。黒川がコロナによる外出自粛の中、親しい新聞記者たちと賭け麻雀に興じていたことを「週刊文春」に暴露され、5月に引責辞任したのだ。前後して政権は通常国会での検察庁法改正案の成立を見送った。そして検察は名古屋高検検事長の林を急遽、検事総長含みで黒川の後任に起用。林は同年7月、総長に昇任した。(後略)」

 

権力は検察の力が利用できれば鬼に金棒だが、逆に言えば検察の力は権力をも掣肘できるということだ。

安倍は検察のコントロールに失敗した。しかし、岸田は検察を自分の権力闘争のために使って成功した。

しかし、元々検察は岸田の上位権力であるアメリカの指示のもとで動いていたから、岸田の言いなりになったようで、逆に岸田が検察の軍門に下ったのである。

 

さて、そんな中で女性検事総長が誕生した。畝本直美というおばさんが東京高検検事長だとは知らなかった。夫もどこかの高検検事長のようだ。妻の方が偉くなってしまった。

なんで畝本直美というおばさんが検事総長になれたのか。

共同通信は、

「辻裕教元仙台高検検事長(62)が総長候補の本命と目されていたが、辻は「定年延長」を巡る対応で事実上失脚。こうした経緯などから、安定感に定評のあった畝本氏が抜てきされた」

と解説する。なんだ安定感とは、いい加減というか適当な論評だな。知ってるくせに。

 

朝日新聞は畝本の経歴について次のように書く。

「畝本氏は千葉県出身で1988年に任官。東京地検総務部長や高知地検検事正、法務省保護局長、最高検公判部長などを経て、2021年7月に女性初の検事長として広島高検検事長に就任し、23年1月から東京高検検事長を務めていた。自民党派閥の裏金事件や政府の洋上風力発電事業をめぐる汚職事件の捜査を指揮した。

 

ここでのポイントは「自民党派閥の裏金事件…の捜査を指揮した」という点だ。

 

 

アメリカの指示を受けた東京地検特捜部がパー券裏金問題で、安倍派と二階派のみを狙い撃ちした。岸田派は疑惑があろうが何だろうが全くのおとがめなしだ。そういう捜査指揮を統括したのがこの畝本という東京高検検事長なんだ。

つまり、岸田(裏にはエマニュエル総督)から、安倍派潰しのご褒美出世ということだ。

 

 

これも安倍の「検察への不当な人事介入だ」と指摘されたのと同様の「検察への不当な人事介入」と言えないだろうか。いや、「内閣への、検察からの不当な人事介入」かもしれない。

違うのは、野党もマスコミも岸田の安倍派潰しを「良し」としているから、「検察への不当な人事介入」なんて文句を言う気はないのだ。

どういうおばさんか知らないが、言えることは、岸田は絶対にこの女に頭が上がらないということだろう。

 

(注)「donのブログ」を参考にしました。