前から東京都がカスハラ防止条例を作ると言っていたが、まだ出来ていないようだ。

今日は小池知事と公労使が意見交換する会議をやったそうだが、LGBTのような意見対立があるわけじゃないのに何をもたついてんだろうか。

 

 

そもそも「カスハラ」って言葉が気に入らない。最近はなんでも「ハラ」を付ければ新味が出ると勘違いしているようで、一番バカバカしい「ハラ」は「マルハラ」だ。訳が分からんな。

「カスハラ」はクレーマーのことじゃないか。

確かにクレーマーは「カス」(滓)、人間のカス、クズなんだから「カス」といってもいいが、分かりやすく今まで通りクレーマーと言えばいいのに。

 

 

さて、今日のニュースで

「何人もカスタマーハラスメントを行ってはならない」としたうえで、利用者が役所の窓口職員に対してや、国会議員が行政職員に対し、立場を利用して過度な要求をするなどのさまざまな場面でカスハラは起こりうるとして、幅広く対策を求める方針が示された。」

と言っていたが、「何人もカスタマーハラスメントを行ってはならない」って言葉にびっくり。こんな当たり前のことを大げさに書かないといかんのか。まさに、クレーマーという異常者に文句を付けられないような細心の配慮をしたということか。

つまり、クレーマーは必ず根本や法的根拠を持ち出すのだ。

「そんなことどこに書いてある!」「誰が決めた!」「そんな法律があるのか!」等々。

クレーマーにそう言われるともう返す言葉がなくなるのだ。おそらく(まあ無意識かもしれないが)それへの対策になりうる文言をまず決めたんだと思う。

それとこれまで対象でなかった「国会議員」もクレーマーと認定することにしたのは進歩だ。これは北海道庁の職員を呼びつけパワハラをしまくった自民党の長谷川岳議員の功績だな。

 

  

自己満足の為でなく、厚生省のワクチン問題を責めろよ!

東京新聞

 都が示したカスハラの発生しうる当事者は「店舗スタッフと顧客」のほか、「会社員と取引先」「公的サービスの従事者と利用者」「行政職員と議員」「イベントの主催者・スタッフと参加者」など。都は、業界団体が対策を講じる上で参考となる共通マニュアルの作成にも着手する。条例には「何人もカスハラを行ってはならない」と明示し、罰則は設けないとの方針もあらためて提示した。

 会議には東京商工会議所や東京経営者協会、連合東京の代表者らが参加。出席者からは、電話でのトラブルを防ぐため、通話録音機能付きの電話を導入する際の補助や、相談窓口の充実を求める意見が出た。

 小池知事は「さまざまな現場のカスハラに効力を発揮する都独自の条例の検討を、スピード感を持って前に進めていく」と述べた。

(引用終わり)

 

しかし、カスハラ対策マニュアルを作っても罰則は設けないで百戦錬磨のクレーマーに有効な対応など出来るのだろうか。悪質なら弁護士か警察に訴えればいいのだが、そんなことは今でもやっているはずだ。この条例の中身がどうなっているのか知らないが、効果がなければ意味がない。小池の「やってますよ」広報の効果だけになる可能性すらある。

 

少し前のニュース解説で次のように書かれていた。

どういった行為がカスハラに?「グレーゾーン」も

全国初となるカスハラを防ぐ条例の制定に向けて検討を進めている東京都は、どういった行為がカスハラにあたるのか消費者に認識してもらうことで被害を抑止したい考えです。
このため、条例の実効性を確保するために新たに設けるガイドラインでは具体的な行為を例示することを検討しています。
案として例に挙げられているのは、3000円で購入した子どもの誕生日ケーキに記された名前が間違っていた場合です。
カスハラに該当するケースとして
・店員の胸倉をつかみ、1億円を要求すること
・丁寧な口調で1億円を要求すること
・店員の胸倉をつかみ、3000円の返金を要求することを挙げています。
一方、
・丁寧な口調で3000円の返金を要求することは、カスハラに該当しない可能性があるとしています。
ただ、実際の現場では判断が難しい「グレーゾーン」も多いとしています。

セクハラやパワハラ 法律上の定義とは

 セクハラやパワハラは、法律上の定義があるほか、ハラスメントを防ぐために事業主が講じるべき措置が法律で定められています。
このうちセクハラは「職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受けるもの」などと、パワハラは「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されるもの」などと法律で定義されています。
そして労働者からの相談に適切に対応するため、事業主は体制整備や雇用管理の点で必要な措置を講じなければならないなどと法律で義務づけられました。
しかし、カスハラは法律上の定義はなく、事業者が対策を講じる義務はありません。

都の挙げた具体例に 渋谷区では

都がカスハラの例として挙げた子どもの誕生日ケーキの名前が間違っていた場合の対応について、渋谷区で話を聞きました。
60代の女性は「1億円の要求はひどいですが、丁寧な口調で3000円の返金を要求するのがカスハラではない可能性があるというのは納得できます。私たち年配のものはカスタマーハラスメントって何かなと思いますが、具体的に示してもらえればわかりやすくていい」と話していました。
また、40代の女性は「自分がカスハラだと思っていなくても、相手がカスハラだと捉えていることもあると思うので、線引きは難しい」と話していました。

(引用終わり)

 

この解説によると都のカスハラに当たる例と当たらないクレーゾーンの区分が書かれているが、これはクレーマーに「こうすればカスハラになりませんよ」と手ほどきしているみたいだ。馬鹿げている。しかも「ケーキで1億円を要求」する例を挙げるなんて、そんな奴おらんやろ、だ。

 

先日JR東日本もカスハラ対策を示して、カスハラが行われた場合、「お客さまへの対応をいたしません」と方針を決めたという。

「JR東グループは、対応を中止するカスハラとして、身体的・精神的な攻撃や土下座の要求、社員の個人情報のSNS投稿などを例示した。悪質な場合は警察や弁護士などに相談するという。」

対応を中止するとは具体的にはどういうことなのか。

「身体的・精神的な攻撃や土下座の要求」には応えないということだが、現場はそれで持つのだろうか。おそらく、クレーマーの理不尽な要求に毅然とした対応をするのだろうが、クレーマーはいつもと違う対応に余計にいきり立って始末が負えなくなる。そしたら「悪質な場合は警察や弁護士などに相談する」んだが、これも今まで通りじゃないのか。

違いはクレーマーには言われっぱなしにされるのでなく、毅然とした対応をしてもいい、強く出てもいい、ということだろう。しかし、やはり一癖も二癖もあるクレーマー対応としてうまくいくのだろうか。

 

カスハラの禁止を明記したから何か解決できると思っているのだろうか?クレーマーの凄さをわかっていないんじゃないか?

現場的に大事なことは酷いクレームからその場で対処できる武器が与えられるかどうかということだ。

怪我をしたら119、強盗に入られたら110で助けを求めることが出来なければ意味がない。

車に轢かれても119という仕組みがなく、今後は、後で裁判で訴えることが出来るようになりましたよ、なんて言われて嬉しいかということだ。

 

クレーマー解説記事より。

都内のコンビニ店長はこう明かす。

「土下座を強要したり、執拗に苦情電話をかけたり、暴力を振るうなどのモンスターカスタマーは警察沙汰にすればいいわけで、実際にそれで逮捕された例も過去にありますけど、厄介なのは犯罪とは言えないお客さんの方。毎日深夜に買い物に来るたびにきつい嫌みを言って帰るとか。“プチモンスター”って信じられないほどいるんです。それがストレスになって辞めたアルバイトは1人や2人じゃない」

具体的な禁止行為についてはガイドラインを策定するというが、関係者によると、条例ではカスハラから従業員を守る企業側の責務を規定することも検討するらしい。

「これまでだったら〈まあ、我慢してよ〉などと従業員をなだめすかして何とか乗り切っていたのが、もう〈現場でうまく処理して〉とは頼みづらくなる。従業員が〈会社は守ってくれなかった〉と東京都に駆け込むかもしれませんからね」(柏木理佳氏)

前出のコンビニ店長は「ウチみたいなアルバイト中心の職場になると、オーナーとか私が従業員を守るため、24時間対応に追われることになるんですかねえ……」とため息をつく。

従業員を守るのは当然だろうが、中途半端な条例に右往左往……それはそれで面倒くさいか。

(引用終わり)

 

過去に書いた記事で以下のような主張をした。この際だからもう一度書く。私は経験からこれが一番効果的なクレーマー対策だと思っている。

 

 

「クレーマー対応策の提案です。
 クレーム対応コンサルタントの援川聡さん(元大阪府警刑事)と知り合いになったのは、今から12~3年前、会社で開かれたクレーム対応の講演会で講師をされたとき、質問をしてその後も少し話をしたからでした。私は当時、〇〇の地域子会社である〇〇サービス東海の社長をしていたのですが、いくつかのお店を運営しており、クレーム対応は喫緊の課題でした。


 
  援川聡さん

 援川さんの講演の具体的内容は忘れてしまいましたが、強く印象に残ったのは、会場でのロールプレイングでした。「今から私がクレーマーをやりますから、店長さん対応して下さい」とおとなしい声で言った直後、「こらぁ、どうなっとるんじゃぁ」と声も態度も豹変してド迫力で迫ってくるのでした。答えるべき店長はびびりまくりで、一言も発することができません。

そこで援川さん、また急に元に戻って、「怖いでしょう」と言いながら、そういう時どうするのかと話を進めていったのでした。

 援川さんは刑事を辞めてから個人企業のクレーム対応者として、多くのトンデモクレーマーを経験してノウハウを蓄積したようです。いくら脅されても元刑事ですから何とも思わなかったそうですが。
(注)援川さんは今もクレーマー対応コンサルタントとして活躍されています。著作も多くだされています。


 さて、私も仕事柄若いときにクレーマーとか恐喝者、やくざと対応したことがあります。(わずかな経験ですが)そんなときに思ったことは、クレーマーの彼・彼女らは素晴らしい心理学者であることです。今ならメンタリストというのかも。つまり、脅される側の心理をよく見抜いているのですね。
 因みに、クレーマーにも4種類あって、

①「善意のクレーマー」

②「恐喝者としての(利益のための)クレーマー」

③「精神の病としてのクレーマー」

④「正論爺さん、屁理屈・偏屈爺さん」(これもクレーマー)

(最近は酔っぱらって、単に気に入らないから従業員に食って掛かる、乱暴を働く粗暴犯もいますが、それはクレーマーとは一応区別すべきだと思います)

です。

ここで問題にしているのは、「恐喝者としてのクレーマー」です。
 彼らは、サービス提供者の弱みにつけ込んで何か得ようとします。サービス提供者の弱みにもやはりいくつかの種類があって、そもそもクレームの発端である何等かの手違いがあるわけですが、それ以外に、下手に反論すると更にこんがらがる、面倒は早く終わらせたいとか大きな話にしたくない、できればこの場で収めたいとかいろいろです。わずかならお金で解決してもいい等々。そういう気持ちの動きは全てクレーマーにとっては織り込み済みなので、そこを突いてくるわけです。

 しかし、私の経験からすると、クレーマーが脅しに使うある言葉が出ると逆にホッとするのです。それは、「出るところに出よう!」「弁護士に訴えるぞ!」です。昔、「行列のできる相談所」が流行らせた「訴えてやる!」です。

この言葉は恐喝者にとっては効き目のある脅し文句と捉えているようです。恐らくこれで成功したことが多かったのではないかと思われます。
 しかし、実はこの言葉が出れば、初めてお店側は反撃に出ることができるのです。

「そうですか、わかりました。已むを得ませんね。弁護士さんにお願いしましょうか」と。

クレーマーは言いがかりをつけているだけですから、弁護士に訴えたら負けるに決まっているのです。

だから、「訴えるぞ」単なる脅し文句に過ぎない。

しかし、現実面では中小企業等のサービス提供者らは弁護士に関する知識もないので二の足を踏んでしまいます。もし本当に弁護士が出てきたらと(出てくることは100%ないのですが)ビビってしまうのです。

 私のクレーマー対策案とはこのことに関係しています。つまり、ある程度、謝罪すべきは謝罪し、ある一定時間過ぎても何ら進展が見られない場合、クレーマーは解決策として金品を要求するのですが(もちろん自分からは絶対に要求しない)、この問題は埒が開かないから「出るところに出よう」という言葉を逆手にとるのです。つまり、客観的第三者に判断してもらうことをこちらから積極的に提案するのです。
つまり、「出るところに出よう」ということの制度化です。

裁判に訴えるとして、大企業なら顧問弁護士がいますが、中小企業では弁護士にすぐに相談する仕組みを取っているところは少ないでしょう。大企業でも現場の問題を即顧問弁護士に訴えることはなかなか出来そうもありません。

要は、今のままでは弁護士はうまく使えないのです。それでは現場のクレーマー対策になりません。警察も同様です。

 

そこで、簡易にクレーム処理をする仕組みを考えてみます。

紛争解決センター、又は苦情処理センターのような組織の設置提案です。国民生活センター、消費相談窓口のようなもののクレーマー特化型機関ですね。各県に5~6か所設置。

独立性を担保するために、内閣府の管轄とさせ、費用負担はクレーマーに困っている企業やサービス業などを参加企業とし、協賛金を集め、これで組織を運用するのです。委員は弁護士、学者、警察、役人等とし、中立性を保つため、企業の関係者は入れない。

こういう組織が各地にあれば、クレーム問題が起きたらここに持ち込み、審議してもらい、企業に瑕疵があれば潔く服すればよい。そして、審決に不服なら、初めて裁判に持ち込めばいいのです。

 これが円滑に運用されれば、お店等はクレーマーに嫌がらせされたら、「この件は紛争解決センターに持ち込みたい」といえば一発解決です。

現場にとって一番の悩みは、クレーマーに業務を妨害されること、長時間居座られて、精神的に参ってしまうことです。

クレーマーはこのお店側の弱点をよく知っているため、必ず長時間交渉に持ち込みます。何度も小さな瑕疵を責め、言葉尻を捉えてねちねちと責めます。それに負けるとお店としては、金品を支払ってもこの場を逃れたいという気分になってしまうのです。

 

クレーマーのほうに問題があってもお店はそれを指摘することができません。もしそんなことをしたら火に油を注ぐようなもので、上司を出せ、社長を出せと要求をエスカレートし、もしクレーム対応をしたことのない上司が出てくれば、即金品解決しますから、それこそクレーマーの思う壺となります。

お店にとって反撃したくても反撃するきっかけがなかなか見当たらないのです。

 

もし、紛争解決センターというものがあれば、「お客さんのいうことはわかりますが、お店としては納得できません。当事者でない第三者に解決を委ねたいと思います。その措置を取らせていただきます。」と言って反撃に出られるのです。

 

しかし、恐喝クレーマーは金品を得ることが目的なので、紛争解決センターなんぞに行く気があるわけはありません。頭のいいクレーマーなら紛争解決センターに掛けられる前に「今度だけは許してやる。今度やったら承知せんぞ」と捨て台詞を残して去っていくことでしょう。

もし、紛争解決センターに行こうじゃねえか、と言ったとしても、現場にとっては、クレームはここでほぼ99%解決したことになるでしょう。
紛争解決センターは恐喝クレーマーだけでなく、精神の病のクレーマーに対しても適用できます。

 

クレーマーは日本の社会を大きく動かす害虫ですが、社会的対応をしてこないことをいいことにのさばっているのです。個々の企業や個人対応では限界があるので、私の提案のような組織的対応が必要だといつも思っているのですが。

(引用終り)

 

どうでしょうか。「出るところに出る」場所の存在は、現場にとっては強い武器になります。

今日の公労使の会議では「相談窓口の充実を求める意見が出た」とのことです。

この相談窓口、単に「こんなカスハラで困っているんですけど」の相談で「そうですか、困りましたね」のような相談窓口では蛙の面に小便で意味がない。相談ではなく通報窓口が必要なのです。

つまり、今カスハラで困っていることを通報したらすぐ現場に駆け付けてくれる部署又はクレーマー対応の引継ぎをしてくれる部署です。

これが出来ればクレーマーを業としているトンデモ者は徐々に少なくなっていくはずです。

ただ、そのためには大きな組織、人員が必要なので、補助金と企業の出資で元刑事などを大量に雇い入れてカスハラ対策をすれば顧客対応従業員は絶対にハッピーになると思いますよ。