税金は払うときは「現実的」ですが、それが使われるとき、特に無駄に使われたと怒るときは「抽象的」にしか思い浮かべません。それは財務省にとっては思う壺なのでしょう。

税金とは何かを実務的に知られることは財務省は嫌うと思います。というのも騙しのテクニックつまり手品のネタを客に見られるようなものだからです。

なので、ザイム真理教教祖に騙されないためにも面倒でも税や政府支出の仕組みを実務的に知らないといけません。といっても「実務」は常に細かくて面倒なもの。

ネットに税金に関する事柄について分かりやすい記事がありましたので紹介(2回)します。

MMTがなかなか普及しないのは、「実務的な知識」が必要だからではないでしょうか。

この記事によりMMTが少しだけ理解がしやすくなると思います。

 

「税金のムダ遣い!」の間違い|政府の財源は国庫金

        バケツリレー 2022.5.14

 

「我々の血税がドブに捨てられた!」
「税金のムダ遣い!」「税金泥棒!」 
「税金を投入」「税金で補償」

よく聞く言葉です。
このような表現・言葉の裏には、4つの間違った考えがあります。

「使った税金は消える」

「納めた税は「税金」として貯めてある」

「政府支出の財源は税のみ」

「政府支出が増えると増税される」

 

・「使った税金は消える」×

1つ目は「使った税金は消える」という考えです。
買い物や食事でお金を使うと、自分の財布からお金が消える。そのイメージですね。

しかし、少し考えるとわかるように、世の中からお金は消えていません。
お店や食堂の収入になっています。そこから商品の卸業者に支払いをしたり、従業員に給料を払ったりするでしょう。

カネは天下の回りもの。使い使われ、人々の「必要」を満たしていきます。

政府(国)がお金を使うのも同じことです。
最初は道路や堤防建設など、仕事を請けた業者がお金を受け取ります。
しかし、そのお金は順次、世の中を潤していきます。

 

・「納めた税は「税金」として貯めてある」× 

 私たちが国税を納付すると、それは日本銀行、政府の当座預金口座へ入ります
当然ながら、そこは紙幣が唸(うな)る金庫ではなく、デジタルデータの預金口座です。

日本銀行の預金は、直接国民への支払いなどには使えません。我々の世の中、実体経済とは切り離された世界です。
(日本銀行に口座を持てるのは、政府と金融機関のみ。一般国民は口座を持てません。)

ですから、納税した時にこそ「お金が消える」とも言えます。
国民にとって、「使えないデジタルデータ」に変わってしまいます。

しかも、納められた税金は、社会保険料や交通違反の罰金などと一緒くたになります。
お金に区別はなく、一つの政府口座に入れられるので当然です。まるで溶鉱炉に入れられたようなもの。

また、政府の当座預金口座は利息がつきません。
そのため、当面の支払いに必要な額(※)を残して、「指定預金」口座へ移して運用されています。
※1500億円程度が基準とされます。

正当なことではありますが、マネーロンダリングされているようにも思えますね。
ともかく、納めた後には、税金は税金でなくなってしまうのです。

 

 

・「政府支出の財源は税のみ」×

 当座預金、指定預金といった政府の預金は、「国庫金」と言われます。公共事業や給付金といった政府支出のため、政府はこの「国庫金」を使います。

「国庫金」は元・税金や元・社会保険料だけではありません。国債や政府短期証券といった、政府の負債も入ってきます。いわゆる「国の借金」ですが、正確には政府の借金ですね。

政府支出がなされる場合、それが元・税金なのか元・社会保険料なのか、はたまた国債なのか、そんなことはわかりません。使われるのはあくまで「国庫金」です。

「国庫金」は日本銀行にあります。その中でも、政府支出に使われるのは「日銀当座預金」。

もっとも、一般国民や企業は日銀に口座を持てませんので、政府の出すお金を直接受け取ることはできません。

 

政府の仕事を100万円で請け負った企業「甲」の場合で例示しましょう。
「甲」は市中銀行の「乙」銀行に口座を持っています。

まず日本銀行は、国庫金たる「政府の当座預金100万円」を「乙」銀行の当座預金口座に移します。

次いで、「乙」銀行は、企業「甲」の預金を100万円増やします。
この時、「乙」銀行が政府から受け取った日銀当座預金は動きません。
「乙」銀行の日銀当座預金はそのままに、企業「甲」の口座に預金100万円と記帳するだけです。

政府が支出すると、民間にお金が増えます。
「政府の赤字は国民の黒字」は事実です。一律給付金10万円で実感した通りでしょう。

 

・「政府支出が増えると増税される」×

「財源が税だけでないのは知ってる。でも国債は借金だ。借金頼みはダメだろう。政府が借金して支出を増やすと、後で増税される!」 

そういう反論もあるでしょうが、これまた間違い。

国債発行が増えたので,その分を後で増税して償還するという考え方も金属主義に基づく誤った思考です。

日本や米国のように自国通貨建て国債の発行は,負債とはいえ貨幣を発行しているわけで,個人や企業のように返済しなければならない対象ではありません。

我が国において、国債発行は貨幣発行なのです
返済なんてしなくていい。返済すると貨幣消滅、国民が貧しくなります。

というわけで、日本政府の長期債務残高はどんどん増える。それでいいのです。
我が国の供給能力が不足して、インフレ率急騰などが見られない限り。

国債の返済のために、増税する必要などありません。償還期限が来る度、借り換え続ければよいのです。世界が終るまで。アメリカやイギリスもそうしています。

 

・「国債発行で国庫金を増やし、大いに使え」◎

 円安進行による食料・エネルギーを中心とした物価高で、国民生活が苦しくなっています。失われた30年で所得が伸びない家計を直撃です。消費税ゼロ、社会保険料負担減など、五公五民とも言われる国民負担を大幅に減らすことが求められます。

そうすると税収減により国庫金が減ることになりますが、問題ありません。
国債を発行すれば、政府支出に必要な分だけ国庫金は増やせます。

また、防衛力強化、国土強靭化、地方活性化、教育、研究開発などなど、我が国は多くの需要を抱えています。いずれも、国民の命、生活、国家の存続に欠かせないものです。

国民としては、
「国債を大いに発行して国庫を豊かにしろ!」
「国庫金を正しく使って、国民を豊かに、そして国家の発展と安全を図れ!」

と言うべきでしょう。

「我々の血税が~」と言う時にある、「政府は正しくお金を使ってほしい!」という気持ち。
それは正しい言葉で表現する方がよいと思います。

すなわち、「我々の国庫金をちゃんと使え!」です。

(引用終わり)

 

税というか政府のお金についての奥の院が垣間見られた気がしますが、実務は難しいもんですね。

次回は同じバケツリレーさんの「税金のゆくえ|国庫金のしくみと政府短期証券・国債」のコラムを紹介します。