先日千葉群発地震についてスロースリップなどとおとぎ話でお茶を濁す地震学者を揶揄した記事を書きましたが、その記事に読者の方からコメントを頂きました。

 

 

ひとつは

「今回、フィリピン海プレートの湧き出し口がわかっていないと言うお話ですが、それは十分に観測が出来ていない結果なのか、そもそもプレートとそれが動くという現象は観測されていないのでしょうか? プレートテクトニクスをマントル対流と重ねて考えていましたが、それは間違っているのでしょうか? 

地震兵器は存在するのでしょうか?これらの点について、トラさんのお考えを聞かせていただければ有難いです。」

もう一つは

「石田昭氏の本のレビューをアマゾンの頁で見ました。そこに、マントル中の水が水素イオンと酸素イオンに分解(解離水と呼ばれる)し、温度と圧の条件が整うと、それらの再結合して水に戻る反応が爆発的に起こるのが、地震のメカニズムであると書かれています。
高温高圧の化学の領域で勉強していないのでお聞きしたいのですが、この場合のイオンとは水素プラスイオン(つまりプロトン)と酸素マイナスイオン(色々あります)だと思います。それらの再結合反応が爆発的に発生するというメカニズム(一連の化学反応式)はどのようなものでしょうか?」

 

前者の質問への回答は以下の通りです。

「私の地震学の勉強は地震爆発論の石田昭博士から学んだものです。

石田氏はそもそもプレートテクトニクスの存在自体を否定しています。

(昔の地震学者や地質学者は自由にプレートの存在を否定していたようですが、いつからかタブーになってしまいました。)

通説のプレートテクトニクス論は当初はマントル対流により移動すると考えていたようですが、今では彼らはその説を捨て、プレート自身の重さで動く「テーブルクロス引きずり説」のようです。

恐らくマントル対流を否定したのは、彼らがマントルを剛体と考えたからではないでしょうか。

そもそもプレートとそれが動くという現象は観測されていないのでしょうか」とのことについて、ハワイがわずかに日本に近づいているとの結果が出ているとのことですが、石田氏はそれは皮膚のたるみのようなもの、といっています。つまりそれが何億年もかかって何千キロも移動することの証明にはならないということでしょうか。

「プレート説によると、海洋底を構成する岩石はすべて、中央海底山脈で湧き上がり、横に移動しながら重くなり、海溝のところで地球内部に沈んでいくとされている。」が、「日本列島周辺をプレートテクトニクスの立場から見ると、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込み、フィリピン海プレートがアジアプレートに沈み込むという一種の三角関係にある。

このうちフイリピンプレートは、他の2つのプレートに比べて小さく、どこにも発散境界がない。すなわちプレートを生産する場所がなく、のみ込まれる一方だというのに存在するという奇妙なプレートである。カリブプレートも、このフィリピン海プレートと同じような地位にある。逆に、南極プレートは周辺を発散境界のみで囲まれている。四方八方から生産されたプレートが押し寄せてくるというのに、なぜ余剰のプレートができないのだろうか。」と新潟大学卯田強教授が言っています。

 

地震兵器はあり得ないと思います。何故なら、地震は浅くて10キロ、深ければ数十キロの地下を震源としますが、世界で最深地下掘削の記録は、何年もかけてロシアがコラ半島で掘削に成功した12.2kmです。世界では3キロより深く掘ったものはわずかだそうです。つまり10キロも20キロも掘ることは不可能なので、そこに原水爆のような地震兵器を設置することはできないのではないでしょうか。また、地震は必ず押し領域と引き領域が地質に出来るそうです。地震兵器では押し領域しかできないので地震が地震兵器によって起こされたということはないといえるのではないでしょうか。」

 

二つ目の質問に対する回答は、私に石田博士の提唱する地震のメカニズムを解説することなどできないので、石田氏のネットにある解説文を紹介しました。コメント欄には字数制限があるので、石田博士の解説を以下に掲げておきます。

 

 

 

新・地震学セミナーからの学び            

21 解離水の爆発による地震の発生機構            

地震の発生機構は水の解離反応による圧力増加によって、マグマ溜りが崩壊し、一種の容器破壊型(平衡破綻型)爆発の可能性を考えておりましたが、衆知を集めた結果(セミナー295)、熱解離によって蓄積された水素ガスと酸素ガスの混合気体(解離水、爆鳴気とも言われる)が爆発している可能性が見えてきました。これを新たに「解離水爆発」と命名することにいたします。解離水爆発による地震の発生を模式図によって説明いたします。なお、説明のために、酸素と水素が解離した状態を解離水結合した状態を結合水と呼ぶことにいたします。               

 

地下内部の水はライブラリー10、12に示したように、熱水状態を過ぎると超臨界状態となりますが、それを超えると、酸素と水素に熱解離し始めます。この限界の層を解離層と呼んでいますが、この層は温度と圧力の変化に応じて、地下内部で上下するはずです。解離層内部では温度や触媒物質の存在と共に解離度が高くなっていきます。

1、通常は解離層内の結合水は安定しています。

 

2、圧力の低下、あるいは周辺温度の上昇によって、解離層の位置が上がり、解離度が増加します。急激な上がり方をすると、マグマ溜りの内部では、解離した水素ガスと酸素ガスの混合気体(解離水、理科の実験では爆鳴気とも呼ばれている)が蓄積されて、圧力が増大します。これが岩盤にマイクロクラックを発生させ、地震の前兆現象を起こす可能性があります。

また、プラズマ状態の解離ガスが高速度で移動すれば、MHD発電が起こり、その地中電流が電磁気的な前兆を起こしている可能性もあると思われます。

前兆には、地電流の発生とか、電磁波による異常、発光現象等が考えられます。

解離反応は熱を奪う反応ですので、マグマ溜りの周辺温度はこの時には局部的に低下していきます。     

                          

3、解離が終了すると、今度は周囲からの熱が移動してきますので、周辺温度は元の温度に戻っていきます。そして、爆鳴気の爆発条件に達した時、着火となり、爆発します。ここまでが地震の第一段階といっていいでしょう。爆発の方向はマグマ溜りの形状によって決まると思います。爆発時には唐山地震での体験談のように「ドカーン」という大音響を発します。

4、爆発後は、混合気体が超臨界状態の結合水に戻りますので、圧力が降下して、マグマ溜りは潰れてしまいます。これが地震の第二段階です。爆発によって熱が放出され、解離層は地震の前の位置まで下がります。

地震現象には押し引き現象という特有の現象がありますが、第一段階の爆発で「押し領域」ができ、第二段階で「引き領域」ができます。その境界に大地震になるほど断層という地震の傷跡が現れるのです。図では逆断層のケースを描いています。断層は地震の後に「ズルズル」と滑るように発生したという観測例があります。断層が動いて地震が起きるのではありません。

以上が解離水爆発(爆鳴気爆発)のメカニズムです。これから推定すると、地震は解離層が上がる時に起きるわけですが、それは、気圧の低下する時、満月、新月時のマグマ上昇が大きい時、地殻の疲労破壊が進行して、岩盤に亀裂という空間ができた時(圧力減)、などなどです。これは経験則にも矛盾していないと思います。

(引用終わり)

 

24 水の三態図と解離水爆発の関係(余震が起きる理由)            

 水は温度と圧力によって、固体とも、液体とも気体ともなる物質であります。水の三態として知られているもので、その関係は図-1のようになります。高温、高圧の地下では、熱水状態を超えると超臨界水となります。さらに温度が上昇すると、酸素と水素に熱解離しますが、その解離度は温度、圧力、触媒物質の存在によって変化します。一般には温度が高いほど、圧力は低いほど解離度が高くなります。珪酸化合物の存在は触媒となるために解離度が高くなるようです。解離度が等しいライン(等解離度線)を引くと図のような斜線で表されるはずです。     

                                       

図-1水の三態図と等解離度線の関係                    

          

図中の円形の部分を取り出して解離水の爆発現象を説明したのが、図-2です。

図ー2 解離水爆発の説明 (模式図) 

高解離度領域への人為的移行は解離水(爆鳴気)を発生させて、地震の原因を作ることになる。

大深度地下の利用工事には注意を要する。 

 

 解離度が低い領域にあった安定した結合水(超臨界状態の普通の水のことです)が、解離度の高い領域に移動または、環境の変化があると解離水が発生します。解離反応は吸熱反応であるために、周囲の温度は低下します。爆鳴気とも言われる解離水ですが、すぐに着火することはありません。しかし次第にその外縁から熱の移動を受けると、低温度領域が減少して、着火・爆発に至ります。これが地震の発生であります。

爆発は結合反応で、熱を放出しますので、再び結合水に戻ると共に、温度を回復します。

しかし完全に元の温度・圧力関係に戻るのではなく、若干のエネルギー損失があるはずです。地震エネルギーとして消費されるためで、その分だけ地球が冷えたことになります。

解離度の変化が激しい時には、大量の解離水が発生しますので大地震となります。

この図のような解離反応と結合反応が繰り返し起こっていることが余震が続く原因です。余震は解離条件が安定するまで終わることはありません。

 火山地帯等での出水を伴う大規模なトンネルエ事や、水蒸気を抜いて、地中圧力を減じてしまう地熱発電を行う場合などは、解離度を増加させることになるので、圧力と熱のバランスを十分に考慮しないと、人為的に爆発させてしまう心配があります。

何年か前にあった安房トンネルエ事での事故や、岩手山山麓の松川地熱発電所近くで起こった地震などは大丈夫であったのだろうかと心配になります。炭坑内で生じる山ハネという現象も同じ理由で生じる解離現象でしょう。

ベテランの炭坑夫は、山ハネの前には、腰から下が見えなくなってしまうほど水蒸気が靄のように立ちこめることを知っているようです。解離水爆発の前にも、少しずつ反応が始まって、震源上部の圧力が高まり、バランスを崩した熱水が上昇しているのだと思われます。

(引用終わり)