宝塚歌劇団の後輩いじめについて、その後どうなったのだろうか。もう大きな地震災害が発生したので忘れてしまったのだろうか。

イスラエルのガザ・ジェノサイドで疑問なのは、ユダヤ人はナチスに恐るべき迫害・虐殺にあったのではなかったか。

 

先日ネットを見ていたら、旧日本軍内務班の初年兵イジメ・体罰について、次のような文に目が留まった。

「私的制裁というのは、指導/教育という名目のもと新兵・下級兵に対して行われるイビリやイジメ、体罰のことです。内務班においては、主に入営2年目の兵士(二年兵とか古年兵と言います)が、入営1年目の兵士(初年兵)に対して振るっていました。

 

    内務班点呼風景

毎年一月一〇日、不安を胸に入営してきた青年たちをむかえた全国の兵営で、これら整列した新兵たちを前に、中隊長は判で押したようにおなじ第一声をはりあげる。

「中隊長はお前たちの父である。班長はお前たちの母である。古年兵はお前たちの兄である。困ったことがあったらいつでも相談せい。」

だが、新兵たちの多くは村の先輩たちから聞かされている。かれらが新兵にとって「一夜明ければ鬼になる」ことを。

(中略)

なお、前述した記事にも見られるとおり、殴られてばかりいた初年兵も次の兵士が入ってくれば、古年兵として殴る立場になります。

旧日本軍のある戦友会会誌「我等の軍隊生活」より

「あとから兵隊が入ってこなかったので、最後まで初年兵だった事が一番残念であった。

つまり、殴られてばかりいた初年兵も次の兵士が入ってくれば、古年兵として殴る立場になるのだが、それができなくて残念だったと。」

(引用終わり)

 

このような旧陸軍内務班の初年兵イジメ・体罰は、学校の体育会系や宝塚歌劇団の後輩イジメも同じことで伝統的に受け継がれ、それに疑問を呈し止めようと言い出す者がいなかった。

それは単に同調圧力とか同調文化といって逃げるわけにはいかない。

虐められた人間にやり返したいという加虐意識が芽生え且つ育ったということだろう。

 

ナチスの迫害にあったイスラエル・ユダヤ人のパレスチナ迫害も同様な説明ができるのではないか。

歴史学者として有名なアーノルド・トインビーが次のように書いている。

 

「人類の歴史の陰湿な皮肉の中で、これ以上に人間性の邪悪さと救いがたさを明らかにしたものはないだろう。つまり、ユダヤ人は恐るべき迫害の憂き目に遭った直後に、ナチスから塗炭の苦しみを受けた教訓を生かそうとはしないで自分たちがユダヤ人として被害者になったのと同じような犯罪を、加害者として再び犯さないようにするのではなくて、今度は自ら新たな民族主義者になって、自分たちの父祖が住んでいた郷土に今アラブ人がいるという理由から、自分よりも弱い民族を犠牲にして迫害したことである。

(アーノルド・トインビー『歴史の研究』)