新「なるほどメモ」その16(陰謀論とレッテル張りする者たちは…)

 

「「陰謀論」を広めたことで非難され、それゆえに「陰謀論者」であると非難されることは、真の陰謀論者が真実を求める者に対して使う、並外れた賢い戦術である。それは、多くの場合、90%以上の人に効果がある。

体制側が、体制側にとって「不都合な」人々、すなわち実際に何が起こっているのかを一般の人々に知らせようとしている人々をバッシングするのに都合が良い時には、陰謀論やフェイクニュースという用語は簡単にすぐに手の届くところにある使い回しやすい言葉だ。

 誰かを陰謀論にリンクさせることは、言葉を武器化することである。それは「陰謀論者」(Conspiracy Theorist)と覚しきひとを黙らせることにある。すると、そのひとは言葉を失うことになる。

 告発者(つまり体制側)が何ひとつ証拠をもたずに、「フェイクニュース」と「陰謀論」という根拠のない言葉だけを使っているにもかかわらず、それに対する即時の反論は起きない。それは自動的に被告発者(つまり真実追求者)を「気が狂っている」とか、もっと悪いことに「嘘つき」と決めつけてしまう。

「やつらは、気が狂っている、何を言っているのかわからない、情緒不安定な人で、噂を追いかけ噂に基づいて不真実を広めている。だから、非常な危険人物である」と。」

(ピーター・ケーニッヒ「「陰謀論」とは何か」より)

 

もう誰かを「陰謀論」とか「陰謀論者」と決めつけるのは、何の根拠も示さず、議論もしようとせずに相手の意見を封じ込める手段であることは明らかになっている。

 

 

といっても、「陰謀論」というレッテル張りが効果を失っているわけではない。ある主張が「陰謀論」と決めつけられると、その主張なぜかもう議論に値しないと受け取られるような風潮は根強く残っている。別に体制派でもなんでもない人間がだ。

実際、「陰謀論」という言葉は、さまざまなテーマについて議論を封じ、意見を検閲するために作られたプロパガンダの構成要素にすぎないというのに。

 

この陰謀論がまともに論じられた試しがない。

例えば、秦正樹「陰謀論」(中公新書)という本がある。

ある書評には

「社会に蔓延する陰謀論や虚偽情報が民主主義を脅かしている。真理が見えない時代を科学や哲学はどう照らすのか。秦正樹『陰謀論』(中公新書)は、人間が陰謀論を受容するメカニズムを科学的に解明する。人間は自分の信念や認識の正しさを肯定してくれる説に惹かれ、疎外感から陰謀論がもたらす肯定感に癒やしを求めてしまう。陰謀論が人間の性質に深く根ざしたものである以上、その根絶は不可能だ。著者は、自分が信じる「正しさ」に固執しすぎない「ほどほど」の姿勢が、陰謀論に対する防波堤になるとする。」(三牧聖子同志社大学准教授)

と書かれている。

 

この准教授はアホである。この秦正樹「陰謀論」は私もじっくり読んだが、はっきり言ってクソである。最初から偏見に満ちていて、公式見解(つまり体制側)から外れたものは全て陰謀論として切って捨てている。こんなスタンスで陰謀論を科学的に解明できるわけがない。というよりそもそも体制擁護のためのクソ本、プロパガンダ本なのだ。

もちろん陰謀論もクソの陰謀論がある。しかし、秦は味噌もクソも一緒に陰謀論を論ずるのだから、そもそも現代社会における陰謀論の意味を抉り出すことを最初から放棄している。だからクソ本なのだ。

 

また中央公論2023年12月号に「陰謀論」(「陰謀論が破壊する日常」)が特集されたらしい。知らなかったが。

 

 

副島隆彦の学問道場の中で、副島の弟子が次のようにコメントしている。

「9人の論者が雁首揃えて上から目線で一般国民の大衆に対して偉そうに正邪善悪の判断は自分たちにあって、お前ら無知蒙昧で下賤な奴らにはその資格がないから、「どれ、俺たちが諄々と説教をしてやる。」という傲慢で恐るべき態度だ。
①陰謀論に取りつかれている人々がSNSやネット上で急増している。
②その人たちがコロナワクチン接種の強要に反対している
③だから親子断絶などの分断を作り、日常生活を破壊しているのだ
④ということで反政府、反権力側のけしからん連中だから・・・・
⑤よってこいつら反抗的なけしからん連中を退治しなければならない。大政翼賛会に逆らうとは何事か。
という、三段論法ならぬ、五段論法だ。本当にしつこい。こいつらワクチンどうしても打ちたいんだろ?それならお国の為に本物のワクチン打って苦しんで死ね。と私は言いたい。コロナだからワクチンではない。逆だ。前もって初めから計画的にワクチンを売るために米軍軍事強硬派が中国の武漢にコロナ菌をばらまいたのだ。現職のトランプと習近平を叩きのめすために。(後略)」

 

最近の中央公論社も従米体制派に成り下がったからまともな「陰謀論」諭なんて特集できないのだ。

 

陰謀論と一蹴できる時代はまだ終わってないんだな

 

ピーター・ケーニッヒはこのコラムの中で次のように書いている。

「確かに本当の「フェイクニュース」は、主流のプロパガンダ・メディア、つまり恐怖心を煽る人々から発信されている。それが「フェイクニュース」すなわち「陰謀論」なのである。
兵器化された用語「陰謀論」(CT)が対象にしているのは、真実を求める人々である。政府とその代弁人であるプロパガンダ・メディアが発する、誰もが日常的に聞かされる見え透いた嘘に対抗する真実を。

つまり真実を求める人々がいる限り、「陰謀論」攻撃はより激しくなり、終わらないんだなあと。