国民民主党の玉木は本気なようだ。補正予算案に賛成するからと岸田にトリガー条項凍結の解除を迫った。岸田も勢いでトリガー条項凍結の解除を「検討する」ことを指示した。

 

  国民民主党 玉木雄一郎

岸田も政治生命を賭けて「トリガー条項凍結解除する!」と決断すれば拍手喝さいを浴びるのに、またまた「検討する」と逃げ道を作って曖昧にした。

 

そもそもガソリン税のトリガー条項(凍結と解除)とは何なのか?

三橋貴明ブログ(11.23)に解説があります。

 

 

「改めて、日本のガソリン価格。
本体価格に、石油・石炭税2.8円。本則税率28.7円。暫定税率(上乗せ分)25.1円。そこに消費税、で構成されています。
【図 日本のガソリン価格】

(中略)

本則税率はともかく、暫定税率とは何か。

暫定税率は、オイルショックの際に、「石油の消費抑制が必要」「ガソリン消費が減ると、道路整備の財源も減る」という矛盾に直面した政府が、「石油消費を抑えながら、道路整備の財源を確保する」ために生み出したのが暫定税率なのです。

というわけで、道路特定財源が特別会計から一般会計に移される際に、
「そもそもオイルショックに対応した暫定税率を、ガソリン税を一般会計化したにも関わらず、取り続けるのはおかしいだろ!」
という話になり
財務省は「ガソリン税を一般会計化する際に、暫定税率を廃止します」と表明していました。

が、もちろん廃止されるはずなどなく、そのまま残りました。
そもそも、「道路建設目的」のガソリン税を、一般会計化する時点でおかしい(予想通り、道路は建設されなくなった)。その上、暫定税率分まで徴収し続けるなど、あまりにもひどすぎるということで、「ガソリン価格が1リットル160円を三か月連続で超えた場合、暫定税率分の徴収を停止する」ことになりました。

これが「トリガー条項」です。
ところが、財務省は東日本大震災の復興増税のどさくさの際に、トリガー条項を凍結してしまったのです。

(中略)

内閣支持率が20%台前半にまで下落して、ようやく「政治」が動き出しました。

自民党の萩生田政調会長も、昨日、緊急の会見を開き、自民、公明、国民民主の三党でガソリン税を引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を含め、検討を始めると明らかにしました。

 財務省としては、ガソリン価格高騰のダメージを抑制する補助金は、まだしも認められる。何しろ「減税」の法律改正ではないから。しかも、いつでもやめられる。

それに対し、トリガー条項凍結解除は、これは明確な恒久減税になります

もちろん、ガソリン価格が1リットル160円を切れば、またしても暫定税率復活になりますが、160円を超えれば徴収停止にせざるを得ない。

 財務省は、「一年限りのトリガー条項凍結解除」等々、意味不明な縛りを入れてこようとしますが、政治家の皆さん、戦ってください。

 そもそも我々ドライバーが未だに暫定税率の形で、1リットル25円を負担させられている状況が異常なのです(徴収、されているのはガソリン製造業者ですが、そのまま価格に転嫁されている)。

 是非とも、トリガー条項凍結解除ではなく、暫定税率(上乗せ分)の廃止の議論をしてください。理不尽な税制を残し続けるからこそ、国民の政治家や政治に対する不信が高まり、我が国の分裂が進み、国民意識(ナショナリズム)が壊れていっているのです。」

(引用終わり)

 

まず確認すべきことは、25円の暫定税率について、当時の財務省は廃止を了解していたのである。それを全く無視して、暫定税率の課税をし続け、それに文句を言われると、やむなく、「1ℓ160円を三か月連続で超えた場合、暫定税率分の徴収を停止する(「トリガー条項」)ことにしたのだが、ところが、東日本大震災の復興増税のどさくさの際に、財務省はトリガー条項を凍結してしまった

つまり、何としても減税になる動きは嘘をついても絶対に排除するという財務省という真の支配者の固い意志の表れだ。

 

 

日本を破壊する悪魔が住む財務省

 

今回、岸田は所得税減税が思ったより人気を取れなかったから、今度はトリガー条項凍結解除の国民民主党の要望に乗って何とか人気を挽回しようとしているように見えるが、そうは問屋が卸さないだろう。

つまり、財務省が岸田の軽率な減税発言に怒り狂っているのだ。

「減税」という言葉自体が財務省にとってタブーなのであり、この動きをする政治家は何としても潰してしまうのである。

 

三橋貴明氏がブログで何度も書いている。

(2023.10.23)

「…「財務省にとって減税は負け」なのです。

「いや、所得税の定額減税って、大した減税じゃないじゃん」と、思われた方が多いでしょう。その通りなのですが、それでも「減税」なのです。
 ちなみに、減税どころか、防衛増税(時期も決まっていまっせんが)の「ショボさ」だけで担当の財務官僚がOB(斎藤次郎や矢野康二ら)に呼び出され、怒鳴りつけられたそうです。増税を何とかねじ込んでも、ショボい増税の場合はOBから途轍もない圧力がかかるのでございます。

 ところが、岸田総理大臣は、寄りにもよって「減税」を指示した。

 さあ、始まりますよ。財務官僚たちによる岸田潰しが。

 今後の流れを言っておきます。

岸田内閣は「ショボい減税」により、国民の怒りを買い、同時に財務官僚から「支持率を引き下げる」様々な工作を受ける。最低の支持率のまま、総選挙に突入する。そこで、自民党の国会議員(特に緊縮派)を落選させる。
財務省にとって、減税は負け。彼らは「負け」まいと、もの凄い政治力を発揮します。」

 

(2023.11.10)

「岸田は10月の所信表明演説で、
「税収の増収分の一部を公正かつ適正に「還元」し、物価高による国民の御負担を緩和いたします」
 と、語ってしまっているのです。

 わたくしは、当時から「税収増の還元」など(物理的に)不可能と主張してまいりましたが、このタイミングで財務大臣(※財務省)や税調会長が指摘し始めるとは。
  いや、知っていたなら、岸田が「税収増の還元」などと言い出した時点で、間違いだと教えてあげろよ。 

 まさかと思いますが、財務官僚自らが、「総理!税収増の還元ですよ」と吹き込み、中途半端で国民の怒りを買う減税路線に走らせ、支持率が下落したタイミングで、鈴木や宮沢に「いや、還元なんてできないから」と言わせ、さらに足を引っ張ろうとしている、なんてことはないですよね。

あの連中の場合、やりかねないんですよ。いや、ホントに。」

(引用終わり)

 

財務省は減税が国民の為になろうと絶対に許さないのである。財務省にとって国民の幸せなんて屁でもないんだから。

日本の最高権力者は総理大臣ではないということを岸田に思い知らせたい。

「岸田よ!調子に乗って減税なんて口にするんじゃねえぜ。どうなるか分かってんだろうな!」

とばかりに、今後岸田の支持率を更に落とすことを財務省は画策するはずだ。

 

今回のトリガー条項凍結解除は必ずしも恒久減税ではない。ガソリン価格が1ℓ160円を切れば、つまりガソリン価格が安く、安定してくれば又もや暫定税率は復活するわけだが、当然元々暫定税率はおかしいという議論が再燃して廃止の方向に行く可能性がある。そんな危険なトリガー条項凍結解除を財務省としては許すわけにはいかないのである。

 

三党でこのトリガー条項凍結解除を検討するそうだが、当然財務省の指示、命令により解除は無し、となるでしょう。岸田は解除なしになっても、「検討する」と言っただけで、検討の結果解除しないと決まったらそれに従う、というだけです。

しかし、それは国民民主党の玉木代表の顔を潰すことになり、自民党との協調路線はもう止めにするだろうし、岸田は国民に調子のいいことを言っても結局は何のリーダーシップも発揮できなかったと更に支持率を下げて、総選挙に突入。そして自民党惨敗!財務省は自民党惨敗を受けて、「おらたちの言うことを聞かなかったからだ」とほくそ笑むことだろう。

そして、岸田に向かって「日本の最高権力者は総理大臣なんかじゃない!財務省なんだ!よく覚えておけ!」と吠えるに違いない。

 

その時落選した自民党議員もかろうじて当選した議員も気が付くはずだ。

国民の自民党への怒り、財務省への怒りはすさまじい、これではだめだ!と初めて目が覚めるのである。

その時は、今日の国民民主党の前原のように、離党、それも大量離党して財務省を敵とした新たな党を作って国民を救わないといけないだろうね。

 

(追伸)FLASH(2023.11.25)記事より。

鈴木財務大臣はトリガー条項凍結解除すると莫大な財源を必要とすると言っているようだが、それへの反論をFLASHが分かりやすい記事を書いている。あの前明石市長の泉房穂氏もその記事の中で財務省を糾弾している。

 

「…税収減になるため、財務省は発動に慎重で、11月24日、鈴木俊一財務相は「国・地方合計で1.5兆円もの巨額の財源が必要」と懸念を表明した。

 一方、政府は2022年1月からガソリン価格の激変緩和措置として、石油元売り会社に補助金を支給することで卸売価格の抑制を図ってきた。2023年9月までに投じられた補助金は6兆2000億円にのぼる。

 鈴木財務相の発言を受け、1.5兆円の減税はできないが、6兆円を支出している状況に納得がいかないという声が「X」(旧Twitter)であふれた。

 

《ガソリン補助金なら6.2兆円出せるが、減税は1.5兆円で済むのに不可。この頭おかしい大臣と財務省の事務次官をクビにしろ。国民を嘗めるな》

《ガソリン補助金6兆円を石油元売り会社にバラマキ、トリガー条項について『財源が1.5兆円足りない』と主張。頭おかしいだろ》

《石油元売りには6兆円以上の補助金を出しておきながら言ってることが支離滅裂でホンマ頭おかしい》

《トリガー1.5兆<補助金6兆で補助金の方が無駄》

 

 社会の不公正を指弾する前明石市長の泉房穂氏は、「財務省が日本を牛耳る構図が露わになった」と語る。

 

  前明石市長の泉房穂氏

「鈴木大臣の発言には、財務省のスタンスがよく現われています。財務省という組織はつねに国民に負担を課そうとしていて、国民から取れるもんは全部搾り取るという発想。だから、消費税も上げるのが使命。トリガー条項のような形で負担軽減なんてしてはいけないという思い込みがある。

 1.5兆円なんて大きな額を減税できないと言いながら、かたや補助金として6兆円を企業にばらまく。金を受け取った企業は一部を政治献金し、その関連団体に官僚が天下るという構図。国民からは金を取り、企業は助けてバックマージンをもらう。消費税を上げたぶん、法人税を下げて、それが政治献金や天下りに消えている。

 財務省を中心に、国民から取ってきた金を企業と取り巻きの政治家と官僚が山分けするという政治を30年やってきたわけです。

 鈴木大臣は、答弁で原稿を読まされとるだけで、実際に書いとるのは財務省主計局を中心とした『ザ・財務官僚』。彼らの言いなりになって政治家が動いて、財務省の言うことを真に受けてマスコミも財務省の意向に沿った話ばかり報道している。

 財務省なんて、放っておくと国民に負担を押しつけるだけなんやから、政治家が止めなあかん。それなのに、財務大臣は財務省を止めるどころか屈服してしまっている。

 岸田総理が(11月22日の衆議院予算委員会で)トリガー条項を検討すると言った以上、トップの判断に従って財務省も動かなあかん。岸田総理は意に反する大臣を交代すべき。事務次官なんて選挙で選ばれていない単なる官僚なんだから、首をすげかえたらいい。

 でも、そんなことをすると財務省の逆鱗に触れ、ネガティブキャンペーンを張られて、麻生(太郎)副総裁や小渕優子選対委員長を筆頭とする財務省にかわいがられている政治家に反旗を翻される。

結局、総理は自分の保身のために財務省に負けてしまう。適切に人事権を行使せず、財務省をのさばらせている総理が悪い」

トリガー条項により1.5兆円の税収が失われれば、財源が不足すると財務省は指摘している。だが、泉氏は「嘘です、そんなもん」と一刀両断する。

「今は税収が増えとるから、消費税をゼロにしても10年前の税収と金額は一緒。何がないねん。税金と社会保障負担あわせて、いまは5割も国民から取りまくっとるのに。1.5兆円ないのに、どうして6兆円出すんよ。1.5兆円と6兆円どっちが大きいかなんて、小学校の算数の問題や。

 繰り返しますが、問題は政治家が財務省の軍門に降ってしまっていること。政治家は財務省を指示すべき立場。内閣の一員なんやから、総理は歯向かう大臣の首をすげかえればいい。安倍総理も内閣法制局長官や法務省トップは変えたのに、財務省には言いなりになってしまっていた。

 だいたいトリガー条項は2010年に制定されて、まだ一度も使われていない。総理が政治決断して、『予定どおり使います』と言えばいいだけの話

(引用終わり)

 

総理が政治決断?岸田にそれが出来れば苦労はない!

しかし、岸田も財務省その他官僚の台本を読むだけで何が嬉しいんだろうか。

総理大臣になりたかっただけ、別に何もする気なんてないんだってか。

小池百合子とおんなじだな!