昨日の藤島ジュリー景子記者会見はほとんど見なかった。見たくなかった。その後の報道もどうでもいい気がした。最初からなんだかスッキリしない雰囲気だから見てもしようがないかなと。

会見前にジュリー景子が代表取締役社長を退任し、東山紀之が新社長に就任したと発表されていたから、どうせ責任逃れに終始するだけだろうと予想されたからだ。

しかも同席した新社長の東山が多くの質問に答えていたから、ジュリー景子には鋭い質問などほとんどなく気楽な会見で終わってホッとしていたような様子がうかがえる。

 

 

    貧乏くじを引いた東山紀之

  

   嘘泣き?をするジュリー景子

 この会見にみんなが期待していたのは何だったんだろうか。それはジャニー喜多川元社長による何十年にもわたる性加害犯罪に、ジュリー景子や姉のメリー喜多川がどのように認識し、行動し、隠ぺいしてきたのか、そして事務所という組織はどう共犯者として関わってきたのか、またこの間続けられた性加害犯罪を受けたタレントたちにジュリー景子や姉のメリー喜多川がどう対応してきたのか等々を追及する場にしたかったのではないのか。

それをジュリー景子の簡単な謝罪の言葉で過去のことは全く蓋をされておざなりな別方向の話になっていってしまった。マスコミ関係の質問者も過去に触れたくないからジュリー景子の過去の対応を追及しようとしないのが見え見えだった。

 

もう一つスッキリしないのは、東山紀之だ。本当は被害者なのに社長になったばっかりにジャニー喜多川に成り代わって加害者として謝罪をするという滑稽さ。それは自分の立場つまり性加害を受けたことをはっきりさせないから中途半端な立場に立つことになってしまった。だから、ジュリー景子の犯罪共犯行為を責めることが出来なくなった。これはジュリー景子の術策に東山がはまってしまったということだ。なんと狡猾なジュリー景子!

恐らくジュリー景子は東山にこう言ったに違いない。

「あなたのこれまでのタレントとしての成功した人生は誰のおかげだと思っているの。あなたもジャニー喜多川にやられたかもしれないが、その見返りは十分受けたはずでしょ。その受けた恩を仇で返すつもりなの。今後は社長にしてあげるから精いっぱいジャニーズ事務所に恩返しをなさい」

 

もちろんこれはいつもの私の妄想だ。しかし、こう考えるしか東山の煮え切らない態度を説明できないだろう。しかし、性被害にあった人間が少なくとも250人はいるとされ、しかもフォーリーブスの北公次のように強い調子で怒りをもってジャニー喜多川を告発しながらそれが何事もなかったかのように無視され、ついには恨みを持って死んでいった仲間がいるというのに、そういう仲間のつらさ、悔しさ、恨みに全く応えようとせず、これからも社長として事務所を盛り立てようとするなんて誰が見てもおかしいだろう。

 

今回の事件はマスコミも共犯者なので全くスッキリしないのである。通り一遍の反省はNHKその他が行ったが、本気であるわけがない。口先だけだから、何とでも言える。

こういう集団が犯した犯罪は裁かれることがない、責任を個々に問われることがないとよく知っているから逆にジャニー喜多川の犯罪を無視できたのである。下手に告発などしたらジャニーズ事務所のタレントは全部引き上げられ、マスコミの営業サイド、いや社長らから叱られるということを知っているのである。無責任の構造そのもの。

 

当事者の会は謝罪と補償を要求しているが、本当はそれはもっと後になってからでいいのであり、今やるべきことは、ジャニー喜多川の性加害犯罪を許した原因、組織体質等々を徹底的に追及することではなかったか。補償も大事だが、それはジャニー喜多川の性加害犯罪を許してしまうことにつながる。過去はもういい、これからが大事だ、といういい方は、過去に関わった者を許すことにつながってしまう。それは彼らジャニーズ事務所の思う壺ではないのか。

補償を求めたら、過去に性加害を受けたタレントたちはもう申し出ることに躊躇するだろう。今から「私も被害者でした」なんて言い出せば、金が目当てなのか、と後ろ指さされる、というかそういって非難するに決まっている。今は補償よりも勇気をもって、被害者に名乗りあげさせ、何年、何十年の重りを下ろさせることが第一なのだ。

オカモトカウアン氏その他勇気をもって告白した者が何人もいるわけだから、現在活動しているタレントも勇気をもって告白させるべきなのだ。そうしなければいつも色眼鏡で見られてしまうのだ。例えば櫻井翔などはこの件については逃げ回っているので、今後この男の発言(特にキャスターとしての発言)を誰が信用するというのだろうか。当然東山も本当のことを言い、被害者に告白せよと呼びかけるべきなのである。

 

ジャニー喜多川は性加害犯罪者であることが明らかになったわけだが、姉のメリー喜多川については、今回もこれまでも余り登場しなかった。もちろんもう死亡しているから言ってもしようがないということもあろうが、ジャニーズ事務所を実質的に切り盛りしてきたのは姉のメリー喜多川だという。

それならもっと掘り下げていいはずだ。

6月のJBpressに高堀冬彦という放送コラムニストが主に姉のメリー喜多川について告発していることを知った。長いけどそれを引用したい。なかなかこれまでうかがい知れないことが書かれていた。

 

ジャニーズ性被害問題、一部で指摘されつつも放置されてきたのは誰のせいか

マスコミ関係者には周知の事実、それに目をつむり利益共同体を形成したその罪

2023.6.20(火) 高堀冬彦(放送コラムニスト)

 

 創業社長のジャニー喜多川氏(2019年に87歳で死去)による性加害問題をはじめ、ジャニーズ事務所に関する諸問題は『週刊文春』以外ではほとんど報じられてこなかった。

どうしてなのか。その背景で見逃せないのはジャニー氏の実姉で元名誉会長のメリー喜多川氏(2021年に93歳で死去)の強い政治力だ。

        最低・最悪の姉と弟

  

   メリー喜多川     異常性欲犯罪者ジャニー喜多川

 ジャニーズ事務所は各民放と関係が極めて深いが、特に日本テレビと近い。1990年代後半から同局の看板番組『24時間テレビ 愛は地球を救う』に同事務所勢が大挙出演するようになり、ほかにも出演番組が多数あるのはご存じの通りである。

・日テレのドンと蜜月関係を築いたメリー喜多川

 日テレとの蜜月関係を築き上げたのはメリー氏にほかならない。日テレの中興の祖である氏家齊一郎元会長(2011年に86歳で死去)と昵懇の間柄になることに成功した。読売新聞の経済畑の記者から常務になり、日テレに転じた氏家氏は芸能界関係者と深く付き会うことを好まなかったが、メリー氏だけは別だった。

 氏家氏はメリー氏と何度か会ううち、「彼女はたいしたもんだな」と評価するようになり、ほぼ定期的に会うようになる。メリー氏の亡夫は保守派の論客で作家の藤島泰輔氏(1997年に64歳で死去)。メリー氏は藤島氏並みの知識量を誇ったとされるので、氏家氏が感心しても不思議ではなかった。

 2人が会談を重ねた場所は東京・六本木のメリー氏の自宅マンション。そこで食事をするのだが、メリー氏が手料理を振る舞ったわけではなかった。一流レストランのシェフが招かれ、腕を振るった。

ほかの民放の首脳との会合も主にメリー氏の自宅で行われた。高層階にある高級マンションの1室だったので、居心地は一流レストランより良かったようだ。人目も気にしないで済む。この場でメリー氏は芸能界から政治、経済まで幅広く語った。

 氏家氏とメリー氏が健在だったころ、『24時間テレビ』のフィナーレでは2人が会場の東京・日本武道館で並び立つ光景が毎年のように見られた。2004年から嵐の櫻井翔(41)が同局『news zero』のキャスター陣に加わったが、それが決まったのも氏家氏とメリー氏によるトップ会談だった。メリー氏は日テレに深く食い込んだ。

 氏家氏とメリー氏との関係が緊密だから、日テレ内でジャニーズ事務所への問題意識が高まるのは難しかった。他局もほぼ同様の構図である。

・ジャニーズ事務所を退所したタレントがテレビ局から冷遇されるのはなぜか

 一方、SMAP(2016年解散)を育てた功労者でありながら、メリー氏に忌み嫌われて同事務所を追われ、元SMAPの稲垣吾郎(49)、草彅剛(48)、香取慎吾(46)と新芸能プロ・CULENを設立した飯島三智氏(65)は民放から冷遇された。各局がメリー氏の顔色をうかがったのが理由の1つだった。

 メリー氏は現場制作者への目配りも抜かりなかった。ジャニーズ勢の出演番組の担当者には高額の中元・歳暮を贈った。20万円以上のオーダースーツのお仕立て券が贈られたこともある。目を剥くような金額だが、ジャニーズ事務所の資産は不動産だけで1000億円は下らないから、どんなに高額の中元・歳暮も贈ったって困らない。

 また、そんなことがなくてもジャニーズ事務所のタレントが使えなくなると視聴率が獲りにくいから、各民放は同事務所に関するネガティブな報道に及び腰になった。

・「容疑者」ではなく「メンバー」

 象徴的なのは、当時はジャニーズ事務所に所属していた稲垣吾郎が2001年、道路交通法違反(駐車違反)ならびに公務執行妨害罪(のちに不起訴)の容疑で逮捕された時のこと。TBSなど民放は「稲垣メンバー」と呼んだ。平等であるべき報道を不平等にしてしまった。これではジャニー氏の性加害問題が報じられるはずがなかった。

 その流れは新聞界にも波及した。2018年、TOKIOのメンバーだった山口達也(51)が女子高生への強制わいせつを行った容疑で書類送検(のちに不起訴)されると、読売新聞を除いた大半の新聞が「山口メンバー」と書いた。

 ただし、山口が同年にジャニーズ事務所を辞め、2020年にオートバイの酒気帯び事故を起こすと、今度は全ての新聞が「山口容疑者」と表記。特別扱いはなくなった。ジャニーズ事務所は自社のネガティブ報道のコントロールが出来ていた。

・ジャニーズのスキャンダルはマスコミにとってのタブー

 コントロールから解き放たれたのはイギリスのBBCがドキュメンタリー動画『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』を動画配信した3月7日以降。現在、最も厳しくジャニーズ事務所を追及している新聞は朝日新聞に違いない。たとえば同事務所が「再発防止特別チーム」を立ち上げると、朝日は「ジャニー氏性加害、遠い解明 外部専門家、被害掘り起こさない方針」(6月13日朝刊)と酷評した。

 朝日は5月27日付朝刊で「<多事奏論>ジャニーズ性加害問題 新聞に欠けていたものは」という署名入り記事を載せている。朝日が性加害問題を追及できなかった理由を自己分析している、その中にこんな下りがあった。

「ジャニーズがタブーだから報じなかったのではないか。そんな声も聞くが、少なくとも私が知る限り、朝日新聞の取材現場がジャニーズに忖度しなければならない理由はないように思う」(同)

 そうだろうか。朝日に限らず、新聞はジャニーズ勢のインタビューを載せ、連載を掲載している。ともに部数増に役立つ。また、朝日の場合、直系子会社が発行する『週刊朝日』の表紙が毎週のようにジャニーズ勢だった時期がある。これも売上増に効果大である。表紙のみを目的に買うファンがいるからだ。

 新聞にも忖度する理由はあったのではないか。だから性加害問題の追及どころか、ジャニーズ事務所への批判眼すら欠いていたように思う。ちなみに朝日も2018年の山口達也の逮捕時には「山口メンバー」だった。

 出版社も例外ではない。一部出版社は同事務所からジャニーズ勢の刊行物の出版と発売を委託されている。利益になる。これも忖度の要因と思われる。

・「ジャニーは勲章をもらったっていいと思うんだけど」

 メリー氏の娘で現同事務所社長の藤島ジュリー景子氏(56)はジャニー氏の性加害問題について「知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、知りませんでした」(5月14日にアップした同社の公式ウェブ上の説明文より)としている。

 この説明を訝しいとする声が多いが、メリー氏はどうだったのか。メリー氏と親交のあった2人の人物は筆者に対し「メリーさんも知っていた」「見て見ぬ振りをしていた」などと振り返った。弟であるジャニー氏の問題行動を黙認していた疑いが強い。

 知らぬ振りをしていたのはメリー氏や多くのマスコミ関係者だけではないのかも知れない。数年前、ジャニー氏と親しかった元民放局幹部と雑談していたところ「ジャニーは勲章をもらったっていいと思うんだけど、なんとかならないもんかね」と言われた。

 その時点で初めて気づいたのだが、ジャニー氏は「最も多くのチャート1位獲得アーティストを生み出したプロデューサー」などでギネス認定されながら、いかなる勲章も授けられたことがない。国も早くからジャニー氏の性加害問題の当事者であることを認識していたからではないか。

 ジャニー氏は逮捕歴や前科があったわけではないから、叙勲の不適当認定者ではなかった。一方で同事務所を追われた飯島三智氏は2020年に紺綬褒章を受章している。

・3月7日は日本のマスコミの敗戦記念日になった

 一方、BBCのドキュメンタリー後、日本のテレビ・新聞が動いたのは4月12日に元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏(26)が被害を明かす告発会見を外国特派員協会で行ってから。第一報はNHKで、翌13日午後4時のニュースで流した。

 その後もNHKは性加害問題報道をリードした。5月17日には『クローズアップ現代』が「誰も助けてくれなかった 告白・ジャニーズと性加害問題」と題した特集を流した。被害を訴える元所属タレント6人を取材するという力の入った内容で、民放を圧倒した。

 NHKもジャニーズ事務所との関係は深いのに、どうして性加害問題を怯まず報じられたのか。それは芸能界と深く関わる制作部門と報道部門の間に人事交流がほとんどないからだ。別会社のようなものだと考えていい。

「報道部門からドラマ部門へ異動」なんてことは決してない。昨年4月入局組までは制作部門と報道部門では採用枠も別々という徹底ぶりだった。その代わり、制作部門が報道部門に芸能界情報を提供することも一切ない。人事異動が活発で、制作出身の首脳が報道に指示を与えることもある民放とは全く異なる。

 NHKが芸能界内の問題を積極的に報じるのは今に始まったことではない。2017年、清水富美加(28)が宗教団体「幸福の科学」系の芸能プロに移籍し、千眼美子として活動することになり、騒動になった際も『クローズアップ現代』は特集した。

 この姿勢は古くから一緒。1973年、美空ひばりさん(1989年、52歳で死去)の近親者が反社会性力だとして問題化した時も批判の急先鋒だった。制作への気兼ねは見られなかった。

 そんなNHKでもジャニー氏の性加害問題では同じ公共放送のBBCに後れを取った。BBCが性加害問題を世界に問うた3月7日は日本のマスコミの敗戦記念日なのかも知れない。もちろん筆者も戦犯の1人にほかならない。

(引用終わり)

 

最後のところで、高堀冬彦氏は NHKを評価するような口ぶりだが、それはおかしい。紅白歌合戦をみればわかるが、ジャニーズのガキタレばかり使っているし、紅白歌合戦を仕切るプロデューサーの力は絶大に違いない。幸福の科学問題や美空ひばりの反社問題を扱っても、ジャニー喜多川の性加害犯罪はこれまで民放と同様全く扱ってこなかったのは確かだし、民放同様ジャニーズ事務所にコントロールされてきたのは確かだ。

高堀氏も「もちろん筆者も戦犯の1人にほかならない」なんて一片の言葉で免罪されると思ったら大間違いではないか。