情けないやら悲しいやらの最近の日本のお話。
「値引きシールが貼られるのを待つなんて卑しくないですか?」スーパー店員の投稿が物議
とネットが伝えている。今のところそんなに物議をかもしているとは思えないが、どこかのテレビ局がニュースとして扱うだろう。
どこかのスーパー店員が以下のようにネットに投稿したらしい。
「最近スーパーで働き始めたのですが、夕方の値引きシール貼りに合わせて来店する親子がいます。その親子は私がシールを貼り終えるのを待っていて精神的に苦痛です。パンコーナーに居座り、母親は「あんぱんが半額だからクリームパンはダメ、シール貼ってるやつを選びなさい」と子供に指示し、子供は何々がいいーってダダをこねてます。私にシール貼りを早くしろとは言わないけど、私の横でずーっとケチくさい会話をされるのもストレスです。こんなに卑しいお客さんがいて気分が悪いです。この親子以外にも値引きシール付きの商品を漁るお客さんが多くて残念です。」
お客を堂々と「卑しい」と卑下する店員も店員だと思う。別に万引きした訳でもなく、商品を傷つけたわけでもなく、クレームをつけた訳でもなく、シールに貼られた値段で購入しているのに、店員から「卑しい客」と罵倒されているのだ。(といっても店員の心の中だけど)もちろん値引きシールの不正貼替は問題外だ。これは犯罪だから。
この店員にとって、お客様は神様ではなく、貧乏神らしい。日本人なら卑しいことはするな、恥ずかし行為はするな、武士は食わねど高楊枝ではないのか、と言いたいらしい。
私もたまにはシール付きなら安いと思って買うことはあるが、店の人間がそういう目で見ているなら結構ムカつく。
まあ、このスーパーの店員の意見も分らないではない。大筋では賛成するが、結論を言うなら「それを言っちゃぁお終いだ」ってことだ。
別の客がシールを貼り終えるのを待って買おうとする客を「卑しい客」と非難するならまだわからないでもない。しかし、スーパーの店員はそれを言う立場にないだろうに。
スーパーは何で値引きシールを貼るのか。賞味期限間近になると売れ行きが鈍るから少しでも購買意欲をそそり、売れ残りを防ぐという意味での売り手の行動だろう。フードロス防止なんて後付けで本気ではないよ。
それを待っている客に向かって「卑しい客」とは、スーパーの販促活動をどう思っているのだろうか。
客に卑しい行為を起こさせるのは、スーパーの側の値引きシール貼りをするからではないか。
つまり、客の卑しい行為はスーパー側の誘因で起きているのではないのか。
自分でそうしておいて卑しいなんて非難するなんて、ミニスカートをはいてこれ見よがしにして、「見るな」というのと同じではないのか。卑しいのは見るほうか、見せるほうか?
DJSODAの行為でDJSODAがファンに文句を付けているようなものか。
このスーパーの店員は「最近スーパーで働き始めた」と書いているから、店員としてはプロではないのだ。客というか普通の人間として値引きシールが貼られるのを待つ客を見ているから、「卑しい」なんて簡単に非難できるのではないか。もし卑しいという思いがずっとつのるならスーパーを辞めるべき。この店員も客も不幸だから。
この投稿に多くのコメントが寄せられていて、よかったのは「地元のスーパーの店員さんは「お待たせしました!」って貼ってくれるよ」とか「「お待たせしましたー!」って明るく言ってくれたら、周りの雰囲気も明るくなるよね。」や「いつも行くスーパーは、値引きシールに「食品ロスの削減にご協力ありがとうございます」って書いてあるよ。企業姿勢に好感が持てるから、家族みんなそのスーパーのファン。」など。
クレームや商品を傷つける客でない限りお客さまなんだから、コメントにあるようにおおらかな気持ちでやればいいじゃないのか。
かなり昔(50年前)電話局に勤めていて、日曜イベントで無料電話コーナーを開設したことがあった。当時の長距離電話の料金はバカ高かったから、無料電話コーナーに人が集まった。ところが何度もこの無料電話を利用する人が来た時、電話局の先輩が「無料電話を片付けよう。何度も同じ人が掛けにくるから」といって、電話機を仕舞ってしまった。私はこれを見ていて、「使ってもらうための無料電話でしょ。長話をして利用したい別の人に迷惑を掛けないかぎり使わせたらどうですか」と文句を言った。
このスーパーの店員にならって言うなら、この無料電話を利用する客を「卑しい客」と卑下したに違いない。この先輩、電話料金を自腹で負担しているわけでもないのに、人に使わせるのがもったいなかったのだ。それなら無料電話コーナーなど作らなければいいのに。お前の方が卑しいよ。
まあ、値引きシールを貼るのを待つ客の発生は確かに、日本の不景気が一番の原因だろう。つまり卑しい客は日本政府(特に財務省)が作ったことになる。このスーパーの店員も、日本の不景気、給料がいつまでも安いことが原因だ、と膨らませて考える度量があってもよかった。しかし、卑しいという感情を同じ庶民に向けてしまった。日本政府の喜ぶ顔が見える。
もちろん、不景気でも安月給でも日本人としての矜恃(きょうじ)は持つべきであり、これはこれで正論だ。だが、スーパーの店員が言ってはいけないのである。
だから私の結論は「それを言っちゃぁお終いだ」なんである。
この卑しい行為は、スーパーでなくとも多くのことで見られるものだ。
お正月の福袋に群がる客。お中元・お歳暮で売れ残ったセット商品の安売り。(個人的には別に卑しくないと思うが、スーパーの店員からすれば卑しい行為かも。)
河野太郎のやった2万ポイントくれるからマイナカード登録せよという政府の施策。
これこそ国民も卑しいし、その卑しい心を当てにしてマイナカード登録させようとする政府こそ卑しいではないか。
また、ふるさと納税。これなんかも卑しい行為だ。
少しお得な商品をゲットするためにふるさと納税なんぞという制度を作った。自治体も卑しいし、利用する納税者も卑しい。一番卑しいのは、政府が貧しい自治体をないがしろにして、自治体同士を競わせて税金の分捕り合戦をやらせて、政府がやるべきことをやらないで知らん顔する財務省・総務省が一番卑しい。
孟子曰く「恒産なくして恒心なし」
卑しさの根源は財務省の緊縮財政、健全財政にあり。