福島原発のたまる処理水はタンクも1000基に上り限界に近づいている。今年の夏には海洋に放出することを決めているが、問題は安全であるにも関わらず、安心できないという風評被害だ。

 

  福島原発にたまる処理水タンク群

 

そもそもこの貯まる処理水は、ALPS処理水といって福島原発の建屋内にある放射性物質を含む水について、トリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化した水のことで、またALPSとは、トリチウムを除く62種類の放射性物質を国の規制基準以下まで浄化処理する多核種除去設備のことだ。

 

 ALPSで処理しても取り除けないトリチウムは水素の仲間(三重水素)で、日々自然に発生しているもの。そのため、水道水や雨水、私たちの体の中にも含まれており、「自然界にも広く存在する放射性物質」であり、トリチウムが出す放射線のエネルギーは非常に弱く、紙1枚でさえぎることができる。そして、トリチウムについても安全基準を十分に満たすよう、処分する前に海水で大幅に薄め、薄めた後のトリチウムの濃度は、国の定めた安全基準の40分の1(WHO飲料水基準の約7分の1)未満になり、それを海洋放出しようとするわけだ。(経産省ホームページより)

 

 そして、原子力施設で発生したトリチウムを含む排水の海洋放出は、日本に限らず、欧米や中国、韓国などでも恒常的に行われており、何ら特別な処置ではないし、一番いちゃもんをつける韓国は重水炉を持っているために、アジア最大のトリチウム放出国となっているのだ。要は自分のところのことは棚に上げて、政治的に日本の邪魔をしようとするのだ。

日本政府もいつも韓国に弱腰で今回も韓国政府の視察団を受け入れるという馬鹿げたことをさせている。主権侵害も甚だしいが、それは日本がさせているのだから、何をかいわんや、だ。

 

要するに世界の原発で普通に処理水を海洋放出しているので、日本も世界標準に従いやるだけの話だし、国の定めた安全基準の40分の1にして放出するなど科学的には何ら問題がない処理水なのだ。

 

 しかし、風評被害、風評被害と騒ぐ。安全であるにも関わらず、安心できないという風評被害。

どこかで聞いた言葉ではないか。豊洲?小池百合子?

そう6年ばかり前に、「豊洲は安全だが、安心ではない」という馬鹿げた論拠で、築地市場の豊洲への移転を棚上げにした悪名高き小池百合子の迷言だ。豊洲移転を政治的イシューに無理やり作り上げた時の酷い恣意的な理由だ。

 

   

豊洲は安全という説明が気に入らない小池百合子(目が怒っている)

 

岡本純子という人が東洋経済オンラインに次のように書いている。

「…ここでいう安全とは科学的、法的な安全性のことだが、「安心」とは何か。小池知事はこう述べている。「法律が求める安全性の確保、それに加えて、都民、そして国民が安心できる市場を実現するということ。法的な問題については法令を上回る措置を講じるということが東京都の意志」「消費者の理解と納得を得たとき、安心は確保されるもの」。つまり、安全が「客観的なデータやファクト」であるのに対し、安心とは都民や国民の感じる「主観的な感情」ということになるだろう。」

 

「安心」とは「主観的な感情」、つまりどうにでもなるが、どうにもできないという曖昧且つ狡い政治的概念だ。常識としては、「安心」は大事だし、特に問題にすべきことはないが、これが政治的な問題に持ち出されると、もうどうしようもない暴走が待っている。つまり決着の見通しがつかないのだ。

科学的、法的に「安全」なものをいとも簡単に否定できるのだから強力な武器となる。

因みにワクチンの危険性には適用できない。ワクチンは「安全だが、安心ではない」のではなく、「危険であり、安心できない」なのだ。一緒にしないように。

 

要するに、風評被害とは、安全であるにも関わらず、安心できないという心理的概念であり、政治的武器なのである。だから、この土俵に乗ったら勝てるわけないのだから、そもそも乗ってはいけないのである。あくまで、「安全」を強調し、安心できない理由が科学的な点に疑義があるなら、まさに科学的に対応していかないといけない。

 

そういう点で、少し前の漁業組合の処理水放出に反対表明は、風評被害を問題にしながら、自ら風評被害をまき散らすという馬鹿げたことをしているのだ。そしてそれに全く気が付いていないバカバカしさ。

 

「全漁連の坂本会長が22日午後、経済産業省を訪れて西村経済産業大臣に対して放出に反対する要望書を手渡したうえで、国の責任に基づいて風評対策を徹底することや漁業への支援を行うことを改めて求めました。」

 

しっかりしろよ全漁連の会長

 

つまり、全漁連の会長は「われわれとしては海洋放出に賛成できないのは変わらない」というが、それは処理水が安全でないということ、つまり経産省のいうことが信用できないということを言っている。

きれいにして流してもそこからとれる魚は放射能で汚染していると認めているわけだ。

それは左翼の反対派と同じ論理であり、風評被害をそもそもまき散らしているのである。

全漁連こそが、この処理水は安全でそこから取れる魚は安心して食べられると言わないといけないのだ。というか、全漁連の会長は「安全だが、安心ではない」といっているのか、「安全でないから、安心ではない」といっているのかよくわからない。海洋放出したら全漁連はどうするつもりなのか。

それこそ「安全でないものを消費者に売るのか」と非難されても返す言葉がないではないか。

だから、全面的に補償しろってか。金くれか、ゼレンスキーじゃあるまいし。それは漁業の否定だ。生活保護を永久に要求するだけの団体になってしまうよ。

 

そして、今日政治家がわざわざ風評被害をまき散らしていた。

公明党の山口那津男代表だ。バカなことを言ったものだ。

 

  

 

「公明党の山口那津男代表は2日、東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出する時期に関し「直近に迫った海水浴シーズンは避けた方が良い」と述べた。

 山口氏は福島市で記者団の取材に応じ、漁業関係者による懸念に言及して「風評を招かないよう、慌てずに説明を尽くしてもらいたい」と政府に要望した。」

 

アホじゃないだろうか。なぜ処理水の海洋放出を「海水浴シーズンは避けた方が良い」のか。

これを聞いた一般市民は、「ああ、やっぱり安全な処理水じゃないんだ。自信がないんだなあ」と思うじゃないか。安全な処理水と自信を持って言えるなら、夏であろうが何だろうが海洋放出すればいいだけの話だ。

それを余計なことを言えば更に混乱を招く。まさに山口代表による風評被害をまき散らし、だ。

 

私は提案したい。

みんなで処理水を飲もう、と。ペットボトルに詰めて無料で配布すればいい。

特に東電の社員が率先して飲み、次に内閣の全大臣が飲み、国会議員が飲み、経産省職員が飲み…としていけばまさに風評被害をなくすことが出来るのではないか。

 

昔、悪名高き菅直人大臣がかいわれ大根をむしゃむしゃ食べた。

「1996年、病原性大腸菌「O157」の食中毒が流行し、一時原因とされた大阪のカイワレ大根の製造業者が風評被害で打撃を受けた当時、厚生大臣だった菅氏はカイワレ大根を“一気食い”して安全性をアピールしたこともあった。」

 

 菅直人厚生大臣 あの時は若かった

このとき、風評被害を発生させたのは、厚生大臣だった菅直人大臣自身だった。

感染源は不明の中菅直人大臣が勝手に記者会見を開き、 0157の感染源はカイワレ大根と発表。「羽曳野市の業者が出荷したカイワレ大根が原因となった可能性は否定できない」と言ってしまった。
そして全国に「0157の原因はカイワレ大根」という報道がされ、その結果スーパーの食品売り場からはカイワレ大根は撤去され、出荷も停止。これにより多くのカイワレ農家が大打撃を受けることになったのである。

その結果自ら撒いた風評被害を収拾するために、テレビでカイワレ大根を3パックも食べて見せたのであった。

 

まあ、パフォーマンスでしかなかったが、今考えればよくやった、と褒めてあげたい。

だから、公明党の山口氏も全漁連の会長も(西村経産大臣と東電社長も同席して)処理水の海洋放出が開始した日にテレビの前で、処理水ボトルを2本ほどぐぃと飲んで見せるべきなのである。

 

    

そのぐらいやっても風評被害が収まることはないだろうが、ここでは「安心」よりも「安全」を自信をもって国民に示すことが大事なのではないか。