いいブログを見つけた。蚊居肢(トラ注:カイエ ノートブック、練習帳といった意味か)というブログ。

最近のG7を褒める国際政治学者篠田英朗を叩いていた。その他の記事の範囲は広くて、高度で哲学的なものもありなかなか理解できないけど。

 

幾つかの記事の中で、「理想的兵卒」という記事があった。

 

 

 

兵卒 

理想的兵卒は苟(いやし)くも上官の命令には絶対に服従しなければならぬ。絶対に服従することは絶対に批判を加へぬことである。即ち理想的兵卒はまづ理性を、失はなければならぬ。

理想的兵卒は苟くも上官の命令には絶対に服従しなければならぬ。絶対に服従することは絶対に責任を負はぬことである。即ち理想的兵卒はまづ無責任を好まなければならぬ。

 

この言葉は、芥川龍之介の『侏儒の言葉』よりの引用である。

理想的兵卒は上官の命令には絶対に服従し、絶対に批判を加えてはならない。そのためには理性を失はなければならない。また、絶対に服従することは絶対に責任を負わぬことであるから、無責任を好まなければならない、と。

 

なるほど、なるほど。理屈から言ってそうだよな。

上官の命令に絶対に服従するなら、批判なんてしちゃいけないし、でも批判しないということはなかなかできるもんじゃないから、批判しないためには理性なんて捨てないといけないよね。

でも理性を捨てて悪いことばかりじゃない。絶対服従なんだし、理性は捨ててるんだから、自由もないんだ。だけど、自由のないところに責任はない、なんだから絶対に責任を負わなくていい、つまり無責任でいていい、ということなんだね。そう、そういう人間は上官にとって、まさに「理想的兵卒」なんだな。まあ兵卒にとってもいったんその境遇に味を占めれば捨てたもんじゃないんだな。

 

ところで、蚊居肢(カイエ)のブログ主はこの「理想的兵卒」、誰を想定しているんだろう?

そう、ウクライナ戦争を英米という上官に絶対服従して、英米のやることに批判なぞ絶対に加えず、理性を捨てて、無責任な言説をまき散らす篠田英朗らアホの国際政治学者達のことを言っているんだな。

 

で、こんなコメントを書いているんだ。

「いやあほんとにな、政治家だけじゃなく主流メディアやら国際政治学者やらには、米ネオコンの理想的兵卒みたいなヤツしかいなくてさ、海外住まいの身としてはことさら恥ずかしくて死にそうになるよ」

 

なんで蚊居肢氏が篠田英朗に文句を言っているのか。

G7に関するバカコラムを篠田英朗が書いているからなんだ。

篠田記事より

「議長国・日本が掲げた広島サミットの一番のテーマは、「法の支配に基づく国際秩序の堅持」であった。「G7広島首脳宣言」の冒頭で「われわれの取り組みは、国際連合憲章の尊重及び国際的なパートナーシップに根ざしている」と記されたように、「法の支配に基づく国際秩序」とは、より具体的には国連憲章の諸原則を指す。「国連憲章を含む国際法の深刻な違反を構成する」ロシアのウクライナ侵攻が、とりわけ重要な議題となったのもそのためだ。

広島とは何か、という問題は、このサミットのテーマに深く関わる。G7がウクライナへの支援を約束するのは、国際法の深刻な違反を是正し、「公正かつ永続的な平和(just and lasting peace)」を達成することを目標としているからである。日本語の宣言文では「公正」と訳されているが(日本国憲法前文でも英文で「Justice」と日本文「公正」が対応している)、つまりは「正義 justice」を伴った平和を目指す、ということである。

ウクライナに「停戦」を叫ぶ人々が求めているもの

この「公正で永続的な平和」を追求するG7の立場に真っ向から挑戦しているのが、現在も進行中のウクライナ侵攻について、即時かつ無条件の停戦を叫んでいる方々である。

ロシアの侵略行動が止まらないうちにウクライナが一方的に停戦を宣言することは、ほとんど降伏に近く、失われた領土の回復や保障も果たされることはない。仮に一時的にロシアが停戦に応じたとしても、抑止が効かなければ侵略が再開されることは確実であり、停戦はまやかしの平和でしかない――。

こうした批判を受けても、「即時無条件停戦」派は上記の「公正」や「永続性」にこだわらず、事実上の「非武装中立」を突然一方的に宣言することが大切だと主張している、そしてその論理を基に、日本政府をはじめとするG7を糾弾している。

ゼレンスキー大統領の記者会見で地元のテレビ局の記者が行った、「兵器などの支援を要請することも大事なのかもしれないが、せっかく被爆地広島を訪れているんだから、もっと戦争を終わらせるための和平に向けて話し合いをしたほうがいいのではないか、広島で行われるサミットで違和感がある、という声もあります。その声にどう答えますか」という質問も、同様の文脈に属するものだろう。

果たして「平和都市」として知られる広島は、「公正で永続的な平和」と「即時無条件停戦」のどちらを象徴するのか。

一つの都市の存在と、このような大きな問いを結びつけることは、通常は起こりえない。しかし世界に知られる平和都市であるがゆえに、広島は、これらの問いをめぐる葛藤と、深く結びつけられて語られてしまうのだろう。

サミットは失敗だと結論づける人々は、「即時無条件停戦」に大きくなびいている。広島は非武装・無抵抗の平和の象徴であり、たとえ自衛権の行使などの「国連憲章の諸原則」に従ったものであっても、この場所で軍事に関わる話をすることは許されない、というわけである。

一方G7の首脳は、明快に「公正で永続的な平和」を選択している。そして、広島という場所においてその立場を隠すことなく、むしろ一致団結した姿を見せることで、その立場を世界に示した。広島こそが「公正で永続的な平和」への決意を表明するには最もふさわしい場所だと言わんばかりの態度を、G7は示したのだ。

おそらくはそのことが、「サミットは失敗」派を激怒させたのだろう。だが、広島が象徴する平和は「即時無条件停戦」の平和であり「公正で永続的な」平和のことではない、と断言できるような根拠はない。むしろ被爆者の苦難を知り、「過ちを繰り返さない」と誓う行為は、「公正で永続的な平和」と親和性が高いと言っても過言ではない。

今回のG7サミットで、広島/日本が象徴する平和が、「即時無条件停戦」の平和ではなく、「公正で永続的な平和」のことであるという理解を、日本の首相が、同盟国・友好国の首脳とともに世界に示した。そのことの意味は、決して小さくない。

「復興の象徴」としての広島

ゼレンスキー大統領は、「破壊された広島の写真がバフムトに似ている」と述べたうえで、「いまの広島は再建した。ウクライナの街並みも早く再建できることを夢見ている」と述べた。これはいわば「復興の象徴」としての広島についての語りである。

(後略)

(引用終わり)

 

篠田の論理は、ことの半分について全く無視している。

過去に私は「半側空間無視」ということをブログに書いたことがある。

 

「卒中が右の頭頂葉に起こると、患者は時々左側にある対象や出来事に無関心になる左側が見えていないわけではない。見えていても全く関心を示さなくなるのだ。これを、半側無視という。…半側無視の患者は、視覚や側頭葉には異常がないのだから、ものは見えているのである。しかし、頭頂葉の空間的配置の識別に関与している領域が損傷すると、見えているものに注意を払わなくなるのだという。」(池田清彦「生物にとって時間とは何か」より)

 

篠田もまた「半側無視」という病気であり、ウクライナ戦争の背景や歴史的経緯、ロシアとの交渉経緯など全く無視して、恥ずかしげもなく、「法の支配に基づく国際秩序の堅持」とかG7の首脳は、明快に「公正で永続的な平和」を選択している」などとほざく。

 

蚊居肢氏は、中共の解放軍報を引用する。

お前が言うなの中共を引用するところが面白いが、正鵠を得ているのだからしようがない。

 

 

 

解放軍報「アメリカの二重基準「ルール」は世界が乱れる源」2022年7月4日

骨の髄まで染み渡った「アメリカ的二重基準」の症状がまた発作を始めた。ブリンケンの最近の演説は、中国が世界秩序の「もっとも深刻な長期的挑戦」であると公言した。

しかし、まともな眼力のある人であるならば、国内法を国際法に優先させ、国際ルールに関しては自分の都合に合えば使い、合わなければ捨てるアメリカこそが国際秩序を乱す最大の原因であることを見て取ることだろう。

アメリカの政治屋にとって、「国際ルール」というモノサシは他人を計るもので自分を規制するものではない。「ルールに基づく国際秩序」なるものも、アメリカ以下の少数の国々が勝手に決めたものに過ぎず、守ろうとするのはアメリカ主導の「秩序」であって、私利をむさぼることこそが真の目的である。長期にわたるアメリカのこのような行動は、世界の政治経済秩序を深刻に破壊し、グローバルな安全と安定を脅かすに至っている。〔・・・〕

アメリカがかくも厚顔無恥で、平然と二重基準に訴えるのは、本を正せば、「アメリカだけは特別・例外」という覇権思想が脳みそに巣くっているためだ。その本質は自己優越論であり、アメリカは他の国々とは違い、「偉大であることが運命づけられ」、「世界を導かなければならない」ということにある。しかし、歴史が証明しているとおり、このイデオロギーは虚妄であるだけに留まらず、極めて有害でさえある。

アメリカの著名な経済学者ジェフリー・ザックスは著書『新しい外交政策:アメリカの例外主義を超えて』の中で次のように指摘している。すなわち、各国の利益は密接に関わり合い、運命を共にしており、歴史上のいかなる時にも増して国際協力を強め、人類社会が直面するリスクと挑戦に共同で対処するべき時に、アメリカ政府は独り我が道を行き、勝手に国際ルールを破壊している。これは「アメリカ例外主義」の表れであり、自らを深刻に害し、世界にとっては非常に危険なことである。

事実が証明しているとおり、二重基準を奉じ、「アメリカは特別・例外」を行うアメリカは「ならず者国家」になるだけである。真のスタンダードに対しては、世人の胸の内には一定のはかりがある。アメリカには以下のことを勧告する。「二重基準」をやめ、国際的に公認されたルール及びスタンダードを遵守する正しい軌道に戻ることだ。さもなければ、国家のイメージを台無しにし、国際的信用が完全に失われるだけである。

(引用終わり)

 

別の引用より。

「ルールに基づく国際秩序」にルールと秩序の居場所はない 

国際問題コメンテーター シン・ピン

米国が喧伝する「ルールに基づく国際秩序」は、暴力と弱肉強食を礼賛する秩序である。米国は自国の強さを語り続け、柔軟な筋肉に喜びを感じている。240年以上の歴史の中で、224年以上戦争をしており、残りの16年は戦争を仕掛けることに忙しかった。ほとんどすべてのホットスポット問題で、米国は軍事的圧力をかけ、戦争を煽り、外交交渉を妨害することに熱心である。イェール大学のデビッド・ブロムウィッチ教授は、「規範は、米国が或る瞬間に望むものから生まれる...」と率直に述べている。「私たちは最も軍国主義的な国である。自国を武装化するために使えるエネルギーをすべて使って、他国民が互いに殺し合うのを助けるために武器を売っている」。

(引用終わり)

 

ジャック・ボーを引用。

「「世界の他の国々」は、「法に基づく国際秩序」から、欧米が決定する「ルールに基づく国際秩序」に移行したことを理解したのである。」

 

これらの引用から分かるように篠田よどこ見て言ってんだということだ。どこに英米に「「法の支配に基づく国際秩序の堅持」なんてあるのかということだ。

 

そして、蚊居肢氏は篠田を次のように突き放す。

 

「つまり篠田の論理はせいぜい次の程度だよ。

①侵略行為としての戦争は違法である

②ロシアはウクライナに侵略した

③ゆえにロシアは絶対悪である

で、ここにこうつけ加えねばならない。

すなわち①②③のように、侵略戦争常習犯の米国の属国集団G7の御用学者は言った、と

G7はNATOに置き換えてもよろしい。」

 

 

「法の支配に基づく国際秩序の堅持」とかG7の首脳は、明快に「公正で永続的な平和」を選択している」など笑止なのであり、「侵略戦争常習犯の米国」の御用学者らが何を言っても説得力はゼロなのである。

蚊居肢氏はクレタ人の嘘の如く、G7批判者への御用学者の言い分は、

「G7は代理戦争をあおる悪魔」とは嘘である、とG7信者は言った

に過ぎないんだ、と蚊居肢氏。

 

そう篠田は、理想的兵卒そのものじゃないか。理想的兵卒篠田は、アメリカ上官の命令には絶対に服従して、理性を捨てて無責任な言説をまき散らすだけなのである。それは、篠田だけでなく、東野篤子、小泉悠、岩田温らにも言えることだ。

 

こんなどうしようもない国際政治学者篠田英朗に対して、素人ですら辛辣に言い放つ。

ipatorioticmomによるツイート

何を言ってるんだ 。「侵略行為としての戦争は違法とする」という規範があるなら米国とイスラエルにも適用しろという話だよ。ベトナムとイラクとアフガニスタンとシリアはまるっとスルーして恥ずかしくないのか。呆れてものが言えないね。

 

よく公正だの正義だの言えるな。もうこんな欧米無謬論は世界では通用しないんだよ。もちろんG7は代理戦争を煽る悪魔、あんたら戦争御用は手先。

 

そんな篠田が再度プレジデント・オンラインに更に馬鹿げたコラムを投稿して、アホをさらけ出している。それについては別途。