G7騒動?の前後で起きた二つの事件で関係者やテレビの報道で気になったことを少し。

 

まずは市川猿之助の一家無理心中事件だ。

これはなかなか理解が困難だ。

事件の動機については直前に「女性セブン」で猿之助のセクハラ・パワハラが報じられたことが引き金になったとする見方が強いというが、Mr.サンデーで宮根誠司が、「猿之助さんは『家族と話し合い、死のうとした』ということなんですけども、あの週刊誌報道だけで家族全員で死のうってなるのか?って、僕素朴な疑問としてあるんですが」と発言したという。

 

全くもっともな疑問だ。

市川猿之助自身についての恥ずかしい記事だから、本人が自殺するのはわかる。といっても、その程度の記事で自殺なんかするのか、そんなに衝撃的な記事だったのかという疑問はいつまでも残る。

 

猿之助がまだ意識がはっきり戻らない中での警察の聴取への回答だから、まだ本当のところは語っていない。衝撃的事件の後の頭が混乱している中で、思わず作り上げたストーリー「家族で話し合い」とか「死んで生まれ変わろうとした」とかのストーリーに真実性が感じられないのである。

 

どんな事情で父母を道連れにしたのかわからないが、この事件はいわば「一家無理心中」であり、ひとりが生き残ってしまった事件であるというしかない。

そのとき、父母が自分から死のうと言ってきたのなら、父母の自殺だが、猿之助が父母に一緒に死のうと誘って猿之助が父母を死に至らしめたなら、これは「殺人」ではないのか。

 

日本では昔から、心中というものに理解があり、芝居にもなっているから事件という扱いにするにはなぜか抵抗感がある。

しかし、普通に子供を道連れにした一家無理心中事件は頻繁に起きている。そしてあいにく生き残った親は殺人犯として逮捕されるのが通常だ。

 

夕刊フジは次のように報じる。

「「捜査関係者によると、両親は向精神薬の過剰摂取による中毒死の疑いが強く、猿之助は警視庁に『前日に死んで生まれ変わろうと家族で話した。両親は睡眠薬を飲んだ』と説明していることから、一家心中を図ったとみられる。 ひとつの謎が浮かぶ。“死の家族会議”に際して、いったい誰が死ぬという選択を口にしたのか、ということだ。猿之助が積極的に一家心中を主導したり、自殺の方法を考えたりした場合には、同意殺人罪(=承諾殺人)が適用される可能性がある。『両親に自殺の意思がどれほどあったかの立証が焦点になる』(捜査関係者)という。(後略)」

 

サンスポ

「元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「何らかの罪に問われる可能性が高い」と解説する。 その場合、罪の重い順に①殺人罪②同意殺人罪③自殺幇助(ほうじょ)罪(②と③の法定刑は同じ6月以上7年以下の懲役または禁錮)が考えられる。両親に死ぬ意思がなく無理やり飲ませた場合は殺人罪になるため、若狭さんは「死に同意した両親のメモや日記、遺書などが入手できるかがカギ」と語る。 両親が死に同意していたとしても、「猿之助さんが積極的に一家心中を主導したり、自殺方法を考えた場合は同意殺人罪と判断される」と解説。」

 

しかし、こんな当たり前なことをマスコミ(フジテレビだけかも知れないが)も、猿之助が歌舞伎界のスターだけに無理心中を引き起こした張本人という扱いをどうしても避けたい素振りが見えるような気がする。

 

今日のフジテレビのイットで平松という解説委員が解説をしていたが、全く不自然というしかない。

猿之助氏は罪に問われるのか、と題して説明するのだが、二つしか挙げていない。

ひとつは、保護責任者遺棄、もう一つは、自殺ほう助、だ。

前者については、容態が悪化した両親を保護せずに放置した場合に問われる罪だとしているが、ここで解説委員は当然の如く、両親に自殺の意図があったと勝手に決めつけてスタートしている。

 

しかし、これはおかしい。

なぜなら、両親に自殺の理由がない(今のところの情報だけからだが)し、当日の朝近所の人が、猿之助の家から女性の声で大声で叫んでいるのを聞いたという証言がある。

これは母親が自ら自殺しようとしているのではなく、自殺を強要されて抗って叫んでいると推定する方が自然だ。つまり、両親の自殺理由があるのかないのかの確認が重要だ。今のところ自殺理由は週刊誌による猿之助パワハラ報道しかないのである。

 

次に自殺ほうじょ。これも最初から両親の自殺意図を前提に話を進めている。

そして、捜査関係者の話として「これまでに刑事事件になるような証拠はない」と説明するが、かなり違和感を覚える解説ではないか。

つまり、夕刊フジやサンスポの若狭勝弁護士のいう①殺人罪②同意殺人罪の可能性を語ろうとしないのである。イットの平松解説委員の解説は、まさに歌舞伎界のスーパースター市川猿之助を忖度しての解説ではないだろうか。

 

この事件は猿之助が主導した一家無理心中は確かなことだ。きっかけは週刊誌報道のようだが、それだけなのか疑問が残る。猿之助が心身ともに回復して真実を述べなければならない。

もし適当な創作話で誤魔化そうとするなら、それは世間はわかってしまい許さないだろう。

 

しかし、生き残った猿之助に両親を死なせてしまった罪の意識が残っていたら、再度自殺するということが考えられる。猿之助は非常に優秀な人物だから、冷静になってこの事件を振り返って、安易な自殺などするべきでない。それは死んだ両親も望んでいないことだろう。

 

次はジャニー喜多川による性加害問題。

これは誰もが言っているように、昔から噂になったり、週刊誌(週刊文春)でも裁判沙汰になったりしているから、いわゆる「タブー」とされてきたことだった。

 

ウクライナ戦争報道では捏造報道ばかりやっている英国BBCがわざわざ日本のジャニー喜多川による性加害問題をドキュメンタリー化して報道したが、日本のほとんどのマスコミはスルーした。

そしてずっと無視もできないから、誰が最初に鈴を着けるかの様子見、あわよくば知らん顔で済ませようとしたマスコミだが、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモトの勇気ある記者会見(先月)でもうみんな知らん顔はできなくなってしまった。

 

テレビ局はジャニーズ事務所のタレントが独占状態だから、ジャニーズ事務所を怒らせたら番組作りは不可能になるので、彼らの不祥事はすべて知らん顔だ。他所の不祥事はしつこく追及するテレビ局だが、いざ自分の利害関係に関わると何にもできない能無しテレビ局なのだ。

そのため、少しずつ報道し始め、ついにはジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長の謝罪(ビデオ)にまで至った。

これでもう怖いものがなくなったのか、今度はジャニーズ事務所所属のタレントの発言だ。

 

そこで問題になったのが、東山紀之と近藤真彦の発言だ。

東山は言う。

「…この件に関しましては、最年長である私が最初に口を開くべきだと思い、後輩たちには極力待ってもらいました。彼らの心遣いに感謝します。

 今回の喜多川氏に対する元Jr.たちの勇気ある告白は、真摯に受け止めなければなりません。実際に被害を訴えられていることは本当に切実で、残念でなりません。未成年に与えた心の傷、人生への影響は計り知れません。

 今回、事務所から再発防止策が出されましたが、われわれもどのような未来を迎えるべきなのか、現在在籍しているタレントはどうすべきなのか、告発された皆さんにどう対処するべきなのか、そもそも、ジャニーズという名前を存続させるべきなのかを含め、外部の方と共に全てを新しくし、透明性をもってこの問題に取り組んでいかなければならないと思っています。

心を痛めた全ての方々、本当に申し訳ありませんでした。今後は今いる皆とともに、安心して応援していただけるよう、一丸となって全力を尽くして参ります。」

 

これは事務所側としての発言だ。しかし過去に取締役をやっていたにしろ、今は単なる所属タレントなんだから、この発言には違和感を覚えるのである。

このジャニー喜多川による性加害問題はまさに不祥事なのだが、事務所の不祥事ではない。強大な権力を有する社長の個人的な不祥事である。事務所としての管理不行き届きはあるものの、事務所が犯罪を犯したわけではないから、東山紀之に謝罪してもらっても困るのである。

 

むしろ、知りたいことは、東山紀之とジャニー喜多川との関係だ。ジャニー喜多川と性的関係を過去に強要されたのかどうか、そして仮にそうであった時、若手がそのジャニー喜多川の魔手に引き込まれたことを知っていたのか、知っていたならなぜ放置したのかということへの回答だ。

藤島ジュリー景子社長は知らなかったというが、それは本当なのか、社内ではどういう風な扱いあるいは問題視されていたのか、いないのかということだ。

「元Jr.たちの勇気ある告白は、真摯に受け止めなければなりません。」というなら、以上の問いにまず答える義務があるのに、きれいごとな謝罪(東山が知っていたなら共犯の可能性)なんぞ要らないのである。

 

同様なことが、旧取締役だった近藤真彦にも言えることだ。東山より無責任な発言をしている。

藤島ジュリー景子社長が「知らなかった」と発言したことを批判して、

「うそはダメだなって。こうなったら正直に全てをしっかり話さないと、世の中の人が許さないんじゃないかと思うんで。知ってた、知らないじゃなくて、知ってるでしょ」

知ってるでしょってジュリー景子社長を責めているのだが、なんでそんなに他人事のように言うのだろう。近藤真彦はまさに当事者ではないのか。東山と同様、近藤もジャニー喜多川と性的関係を強要されたのかどうかをまず答えるべきなのである。そして、その後ジャニー喜多川と性的関係を強要された若手タレントのことを知っていたのか、知っていて放置したのか、ジュリー景子社長を責める前に、自らの事柄を明らかにすべきなのである。

 

さて、おそらく100人を超えるジャニーズタレントにジャニー喜多川が性的関係を強要したのかどうか明らかにすべきなのであるが、少し戸惑うことがある。それは強姦の被害者がなかなか堂々と名乗れない関係に似ている。しかし、加害者はそれをいいことに逃げるまたは犯罪が立証されないということになるのだが、ジャニー喜多川のセックス狂については、被害者が余りに多人数が想定されるので、すべて明らかにすることもいいことなのか判断が難しいのだ。しかも、加害者本人は死亡しているので。

 

事を荒立てずにそっとしておけば、というのが今まで問題だったので、カウアン・オカモトは勇気をもって告発したのだが、告発者はカウアンともう一人だけでいいのかどうか。

第三者委員会を立ち上げたから問題が剔抉されるとは限らないではないか。

加害者死亡でも、被害者は損害賠償を請求できるはずだ。

被害者として名乗りを上げることがいいのかどうか難しいところだ。

しかし、ジャニーズ事務所の役員や幹部となった元タレントだけは最低限、関係があったか無かったかの事実は述べないといけないだろう。幹部にも関わらず、知っていて放置していたのは共犯者なんだから。