日本人は新しいものなら競って飛びつく。それが毒であっても目新しければ試してみたい。

AIについてはかなり前から「シンギュラリティ」(技術的特異点)とか何とかでこれまでと違った時代がもう来ているとか言われた。

人工知能がこのまま進歩が進めば人間の知能を超えると言われ、その転換点が「シンギュラリティ」でもうすぐそこなんだと。そして、当時はプロの棋士がAIのソフトに負けたとかが話題になっていた。しかし、それは身近なものとは感じられていなかったし、技術の未来はいつもこんな大法螺から始まるので、またかという感が強かった。

 

その後はなんだか訳が分からないところで、「AIを使った××」がセールストークとしていろんなところで使われ、新しさを訴える文句になっていた。やってくれることは別に大したことはなかった。

だから、AIという言葉、中身はなんだかわからなくてもAIという言葉に普通の人も慣れてしまっていた。

 

しかし、今回のチャットGPTという対話型AIについては、世の中(といってもある種仕掛け人/黒幕がいるように感じるが)はこれまでと違った賑わいを見せている。危険な臭いのする賑わい!ワクチンがまともな実験も経ないのに強制的に打たされる(つまり人体実験!)ような、それでいて打たされる側に何の危惧も持たないように誘導された嫌な感じが…。

 

というのは、チャットGPTの話題性や導入度合のスピードがいやに早い、早すぎると感じるのだ。

今回チャットGPTが話題になったのは、そして私が嫌な感じだと思ったのは、立憲の議員が国会でチャットGPTを使って質問したことだ。

 

チャットGPTで国会質問 立民議員、首相想定答弁も披露

2023年03月29日17時27分

 新型コロナウイルス対策の特別措置法改正案などを審議した29日の衆院内閣委員会で、立憲民主党の中谷一馬氏が、対話型の人工知能(AI)「チャットGPT」で作成した質問と岸田文雄首相の想定答弁を披露した。これに対し、首相が実際に答弁し、自らの答えの方が「より実態を反映したのではないか」と自信を示した。

 中谷氏は「改正法案に地方自治体や医療現場の意見を十分に反映させているかどうか」と質問を読み上げた。さらに、チャットGPTに「あなたが日本の総理大臣だとしたら、国会で問われた際にどのように返答するか」と尋ねて「関係者の要望を最大限に取り入れることを目指した」などの想定答弁が得られたと紹介した。

 中谷氏は「AIを活用すれば立法・行政府の生産性や透明性を向上させられる可能性がある」と指摘。一方、この質疑を聞いた与党関係者は「自分で質問しないなら、野党もAIに代わってもらえばいい」と皮肉った。

(引用終わり)

 

この中谷という立憲のアホ議員は何重の意味でもアホ・バカというしかない。

まずはチャットGPTが海のものとも山のものともわからないときに、自分のパフォーマンスのためだけに国会を使ってチャットGPTの宣伝をしたことだ。国会をワイドナショーと混同しているのだ。

 

チャットGPTの危険性は外国で指摘されているにも関わらず、国会で使ったことにより、「良きもの」としてのイメージを国民に植え付けてしまった。これはチャットGPTのハードルを大きく下げる効果を持った。つまり新薬の実験もまだ途中なのに患者にこの新薬はすごいよ、と見せびらかしたようなものだ。

そして、この馬鹿げたお笑い質問とチャットGPT利用促進をこのバカ議員が訴えたことにより、政府にチャットGPT利活用に反対がいないと誤認させた。だから、すかさず西村経産大臣は国会答弁に活用する可能性を検討すると言ったり、公務員の負担軽減のため、経産省内で活用することを検討する考えを示したのである。つまり、立憲と政府のデキレースだったに違いない。

 

今回のAI促進は、上からスタートしたといえるのだ。もちろん既にチャットGPTは企業やその他で使われていたのだろうが、国民への露払いとしては非常な効果を発揮したといえるのではないか。

そしてアメリカからチャットGPTを開発したOpenAIの社長がわざわざ岸田首相を訪問して利用促進を訴えている。

 OpenAI サム・アルトマンCEO

立憲議員-日本政府-アメリカが一体となってチャットGPTを日本に植え付けようと画策したのだ。

 

今日横須賀市役所が全国の自治体で初めてチャットGPTの全庁的な活用実証を始めると4月18日に発表したという。
横須賀市の取り組みを市民に周知するための文書や発表文作成、庁内会議の議事録要約のほか、「観光振興策」や「人口減対策」など市の課題に対する新規事業のアイデア創出などで活用する。導入で職員の負担軽減が期待できるという触れ込みだ。

もうチャットGPTを社会に浸透させるという流れはできていたのだ。しかし、なんと愚かであることよ。まさに日本人らしいといえば言える。

まるで金子みすゞの詩ようだ。

 

 

こだまでしょうか

「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。

「馬鹿」っていうと
「馬鹿」っていう。

「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。

そうして、あとで
さみしくなって、

「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。 

こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。

 

替え歌に、

「脱炭素」っていうと
「脱炭素」っていう。

「マスク」っていうと
「マスク」っていう。

「チャットGPT」っていうと
「チャットGPT」っていう。

そうして、あとで
さみしくなって、

「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。 

こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。

 

脱炭素といえば何も考えずに、脱炭素といい、SDGsといえば、何も考えずにSDGsと繰り返す。

この金子みすゞの詩の最後の意味がよく分からない。

こだまのように繰り返すと、あとでさみしくなって「ごめんね」というのだが、なんで「ごめんね」なのか。それは真似しかできないので「ごめんね」と謝っているのか?

「こだまでしょうか、いいえ、誰でも。」とはどういう意味なのか。繰り返すのは「こだまなの?」いやこだまじゃなく、誰でも、つまりみんな同じことをするんだ、という意味なのか。ちょっと違う気もするが、要は日本人の性質、つまり同じことしか言えない日本人の性質を表しているのだろうか。

 

もしそうなら、金子みすゞの詩は今の日本人にピッタリではないか。

「チャットGPT」っていうと
「チャットGPT」っていう。

バカじゃないのか。

 

横須賀市の役人だけではないが、こんなものを導入して恥ずかしくないのだろうか。職員の人間たる独自性を自ら否定して喜んでどうするというのか。

「市の取り組みを市民に周知するための文書や発表文作成、庁内会議の議事録要約のほか、「観光振興策」や「人口減対策」など市の課題に対する新規事業のアイデア創出などで活用する」というが、それらは立派な職員の仕事だろう。全部チャットGPTに任せましたので、今後は職員を削減いたします、と言われたら、職員は喜ぶのか。ラッダイト運動をすべきじゃないのか。

 

日経ビジネスオンラインで木村岳史(日経クロステック編集委員)という男がチャットGPTについて書いている。

 

米国「ChatGPT祭り」に仰天する日本人、それでも生成AIを禁止する企業の愚かさ

2023.4.20

米国に行ってチャットGPTなど生成AI(人工知能)を巡る熱気を肌で感じてきた人は、誰も彼もが「えらいことになった」と口走っている。もちろん単に、質問にそれらしく答えたり、出来の良いソースコードを書けたりするからだけではない。開発元である米OpenAI(オープンAI)の戦略が図に当たり、多数の関連スタートアップが誕生しているのを目の当たりにしてきたからだ。

だが、日本に帰ってくると「生成AIの課題はねぇ……」といった講釈ばかり。「世界から完全に取り残される日本」を実感するのだという。

(中略)

ところが、である。このチャットGPTなどを巡る「大騒動」は、まさに日本のIT活用の愚かさの象徴であると気がついた。いや、単なる象徴ではないな。そうでなくても、デジタル革命に乗り遅れ、米国をはじめとする他の先進国や新興国に後れを取っている日本だが、消費者モードの個人はともかく、生成AIに対する日本企業の熱の低さを目の当たりにすると、これを機に決定的な「デジタル敗戦」を喫しそうな予感がする。まさに冒頭の誰も彼もが実感した「世界から完全に取り残される日本」である。

(中略)

まさかねぇ、インターネットやクラウド、スマートフォンが登場したときのようなインパクトがあろうとは、すぐには気づけなかったな。

 だけど、米国で現地の熱に触れた人は皆「えらいことになった」と言う。その認識の落差に少し戸惑っていたのだが、ようやく事の重大性を理解した。

2023年3月26日にテレビ東京が放送した番組「AI 驚異の進化で一変する世界」は、オープンAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)が初めて日本のメディアのインタビューに登場するとあって、番組を見た読者も多いかと思う。私も、チャットGPTの現地イベントに世界中、特にウクライナからもスタートアップの経営者が訪れているのを見て「本当にえらいことになった」と実感した。

 その一方で、日本では多くの大企業がチャットGPTなどの利用を禁止しているという。その中には「我が社もDX(デジタルトランスフォーメーション)だ」と経営者が騒いでいる企業も含まれると聞く。後ほど書くが、懸念は分かる。だけど、なぜ「とりあえず禁止」で思考停止してしまうのかね。困ったことに、以前からAIに着目していたとする識者も「生成AIはまだ課題だらけ」とか「特定分野でしか使えない」とか言って水をぶっかける側に回っている。日本でも一般消費者は結構盛り上がっているが、企業における日本と世界とのこの落差、ヤバいと思わないか。

(中略)

一方、日本ではITベンダーが逆立ちしたところで、生成AIで米国には追い付けない。せめて、それらを利用して新たなビジネスでもつくらないと、本当にヤバいと思うぞ。

 日本国内に引き籠もっている人が多いからか、最前線のデジタルビジネスの動向に対する感覚がさび付いているのかもしれないな。随分前だが、あるネット証券の経営者に「コマンディングハイツ(管制高地)」という言葉を教えてもらった。合戦で陣取る丘のことで、そこにいれば戦い全体を見渡して適切な指令を出せる。デジタルにおいては米国がコマンディングハイツで、例え東京であっても日本などは穴の底。丘の上に立って風を感じてみないと本当のダイナミズムは分からないとのことだった。今も我々は穴の底にいるわけだ。

 その穴の底の、さらに奥底に巣くう面々と言えるのが、チャットGPTやBingに組み込まれた生成AIの機能を利用禁止しているような日本企業だ。もちろん禁止したくなる理由は分からんでもない。使い方を熟知していない社員が仕事で調べ物をしようとして、うっかり営業機密情報などを入力してしまうと大変だ。AIが学習してしまい、ライバル他社がその生成AIに問い合わせた際に自社の機密情報が流れてしまう恐れなどが生じるからな。でもねぇ、それって「客との電話連絡などで営業機密を話してはいけない」という決まり事と同様に、営業機密などをAIに入力しないよう徹底すれば済む話じゃないのか。

(引用終わり)

 

要するに、チャットGPTを否定していたら日本はまた負けてしまうぞ、という脅しのコラムだ。まあ日経ビジネスの記事だからこういういい方はやむを得ないとは思うが、こんな馬鹿げたコラムを読んだ経営者は、そうかうちの会社でもチャットGPT促進室を作らんといかんな、と思うんじゃないか。

 

因みに、このコラムに寄せたコメントが鋭くて面白い。

なんかアメリカでなにか新しいものがでてくると飛びつくという昭和時代感覚の記事に感じました。日本のAI研究が遅れており、問題なのは確かですが、チャットGPTの話題に乗ってそれを主張してもね。
そもそも私はAIを持ち上げる人達をあまり信用していません。それは前回のAIブームの時に語られたAIの素晴らしい未来がなにも実現していないからです。そして、そのことに対する反省の弁、いや言い訳すら聞いたことがありません。たまたまブレークスルーに成功したディープラーニングの手法があたかもAIそのもののようなことを平気で言っています。

前回のAIブームで語られた知識データーベースが部分的にでも出来ていれば今回の生成AIと組み合わせればチャットGPTが頓珍漢な回答する例を沢山紹介されることもなかったでしょう。

まだメディアを騒がしていないチャットGPTの怖さを一つ紹介しておきます。それはオープンAI社が企業からお金をもらってその企業に都合のよい回答をチャットGPTにさせる脅威です。例えばその企業の賞品を積極的に紹介するということです。

Googleは同じことをしていますね。お金を払った企業が望む情報が検索結果の上位にくるようになっていますね。Google検索はまだ企業のCMとわかるような表示をしていますが、はたしてオープンAI社もそのような回答をチャットGPTにさせるでしょうか。自然な文章としてCMを回答するようになると私は危惧しています。」

(引用終わり)

 

そもそも私はAIを持ち上げる人達をあまり信用していません」という言葉は素晴らしいじゃないか。国から自治体から企業からみんな同じ方向を向いて、チャットGPTの問題を少しも考えることなく、何か新しい先端を行っているような錯覚を起こしているアホ顔ばかりみせているが、少しはこの言葉を噛みしめるといい。

 

因みに、私はなぜチャットGPTを嫌っているかを言っていなかった。

いろいろあって書くのが面倒なのだが、要はブラックボックスたるAI・チャットGPTに、人間は奴隷にされてしまうだろうと思うからである。奴隷つまりAI・チャットGPTが神になることだ。

といっても、このAI・チャットGPTの後ろに操る黒幕がいるはずだ。その黒幕の奴隷になるということである。特にAI・チャットGPTに「判断させる」「評価させる」「決断させる」といった価値評価や決定に関わらせてはいけないのだ。しかし、必ずこの価値評価をAI・チャットGPTはしてくるはずだ。もちろん、AI・チャットGPTは頭がいいから価値評価をしていない素振りを示すはずだが、ウクライナ戦争の英米プロパガンダのように一方的な情報操作をするに決まっているのである。

そして、AI・チャットGPTは神になる。神は啓示する。非難、批判は許されない。人間は奴隷になるしかないのだ。まさにSF映画の世界が現実化する。

そんな恐ろしい世界に突入しようとしているのに、嬉々としてAI・チャットGPTを活用しますなんてよく言えたものだ。

 

AI・チャットGPTのすべてを否定はしない。おもちゃとして遊ぶなら大いに結構だし、判断させることさえなければ使えばいい。これまでなら、おもちゃから徐々に進化したはずなのに、今の流れはおもちゃになる前に国会や市役所で使われようとしている。これはAI・チャットGPTに権威付けする試みであり最も危険なのである。

 

さて、最近方針を変えた国民民主党の玉木氏がまともなことを言っている。このAI・チャットGPTについてもう少し議論が必要だと。当たり前だが、国会議員がこういうことを言うのはとても信頼が持てる。

 

チャットGPTに憲法9条改正を聞いたら…国民・玉木代表 正確性・公平性のため「幅広い規制」議論を FNNプライムオンライン

国民民主党の玉木代表は、20日、衆院憲法審査会で、AI=人工知能を使った対話型ソフト「チャットGPT」について、憲法改正について聞いた場合の回答の正確性、公平性を担保するためにAIの学習環境の整備が必要だとして、「幅広い規制」を議論するよう訴えた。

憲法審査会では、憲法改正の手続きを定めた国民投票法における広告のあり方について議論が行われた。

この中で玉木代表は、「チャットGPTのような生成AIの規制のあり方は現在全く国際的にも手つかずだ」と述べ、「チャットGPT」を議論の俎上に乗せた。

玉木代表は「憲法9条は改正した方がいいかとチャットGPTに聞いた時、その答えの正確性、公平性をどのように担保するのかも考えなければいけない」と指摘した。

そして、「AIに学習させる情報や主張によっても回答が変わっていく」とした上で、「AI自身も、バランスのとれた情報を学習する環境整備が必要なのではないか」と述べた。

さらに玉木代表は、「チャットGPTのような生成AIも含めた幅広い規制のあり方を議論することを提案したい」と述べ、チャットGPTを含めた規制を、憲法審査会で議論するよう求めた。

(引用終わり)

 

チャットGPTを憲法審査会で議論するのは違和感を覚えるが、やらないよりはいい。

チャットGPTの本質論議、危険性論議をぜひやってほしい。

因みに、海外では、規制の声も高まっている。

 

・ニューヨーク市は、2023年1月、学校内のシステムやネットワークでチャットGPTを使うことを禁止した。ニューヨーク市がチャットGPTの使用を禁止した理由は、学校教育においてチャットボットが生徒の学習能力に悪影響を及ぼすと判断したためである。
チャットGPTに論文のテーマを入力すると、その回答を洗練された文章で出力する。生徒は自分で苦労しながらレポートを書き上げるのではなく、チャットGPTがその作業を代行する。

 

・企業内で利用が広がる中、Amazonは社員がチャットGPTを利用することを禁止した。チャットボットが会社の機密情報をリークする危険性が明らかになったためである。

 

・2023年4月4日の報道によると、イタリア当局がチャットGPTの開発元OpenAIに対し、イタリア国内のユーザーに関するデータ処理を一時停止するよう命じた。これにより実質的にイタリア国内のユーザーは、チャットGPTを利用できない状態になっていると報じられている。