ウクライナ戦争のことになるとアホになってしまう「農と島のありんくりん」ブログだが、ほんの半月前の記事で、ロシア軍が如何にデタラメであるかを如何にも嬉しそうに書いていた。

 

まずはバフムト戦闘でウクライナ軍の反撃はもうすぐだ。ロシア軍よ、待っていろよという記事から。

 

 

農と島のありんくりんブログ

2023年3月28日 (火)

「バフムトのロシア軍失速」

(略)

ウクライナ軍は、西側の支援物資がそろそろ到着しだしているので一転して反撃に入ろうとしていますが、両軍の前に立ちはだかったのが、ウクライナ東部名物春の大泥濘大会でした。

ウクライナは世界有数の肥沃な土地ですが、それは晴れていればの話です。
いったん雨が続けば、東部の道は黒い泥土に覆われ、あらゆる車両、装軌車は通行することさえ困難になります。かつてのドイツ軍の進撃をはばんだのも、この春の大泥濘でした。

雨が上がり、道がよくなり、そしてNATOとノルウェイから約束の年間100万発の砲弾が届けば、ここからが勝負です。

(引用終わり)

 

この記事へのコメント。

A「あの時、西側からは「バフムトを放棄してもいいのでは」と言う意見が多数でした。けれど、ゼレンスキーは「(バフムトからの)撤退はしない」と頑張った。ここでの被害割合は7(露):1(宇)~10:1だと言います。

ロシア軍が70年前の多連装ロケット砲カチューシャを90年前の牽引トラックで運搬している映像が出ています。攻守が逆転する展開が予想され、ロシア軍の物資枯渇が本格化していそうです。クリミア内陸部でのドローン攻撃や、無人攻撃艇によるロシア海軍基地への攻撃も要注目です。」

 

 記事では、西側の支援物資がそろそろ到着し出しているので反撃はもうすぐで、NATOとノルウェイから約束の年間100万発の砲弾が届けば、ここからが勝負だと、大いに反撃を本気で?期待しています。

コメントも、「ロシア軍の物資枯渇が本格化して攻守が逆転する展開が予想される」と期待し、被害割合も7(露):1(宇)でウクライナ軍が勝っているとのこと。

我々がネットから得られる情報とは真逆なことを言っています。

 

 次は10日前の記事で、ロシア軍が如何に酒で軍隊秩序を乱し、軍の体をなしていないと呆れ且つ笑っています。だからウクライナ軍に勝てないんだと。

 

最近の英国防相の報告を元にしているようですが、なんだか、少し前のソ連兵のことが今のロシア軍にも当てはまるといいたいようです。

しかし、そんな飲んだくれロシア兵に負けるウクライナ軍とは何なんでしょうか。といっても、農と島のありんくりん氏はウクライナ軍は勝っていると言っているんでしたっけ。

 

 

農と島のありんくりんブログ

2023年4月 5日 (水)

ロシアの泥酔兵たち

ロシア軍の死傷者が20万を超えたようですが、その理由が涙を誘います。

(トラ注)死傷者が20万を超えたのは、ロシア軍ではなくウクライナ軍の間違いだと思いますがねえ。


鉄砲の弾に当たるのはまだましなようで、その多くが「戦闘以外の原因」による死傷のようです。つまり、事故や犯罪行為による死傷です。

「英国防省は2日の戦況分析で、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍の死傷者について、最大20万人とする推計のうち、多数の兵士らが戦闘以外の原因で死亡しているとの見方を示した。
同省は、ロシア軍内で、飲酒に関連する偶発的な事故や犯罪行為による死亡がかなりの数に上っているとする、3月27日付のロシア報道を紹介した。さらに、武器の粗末な扱いや交通事故、低体温症も兵士の死傷につながっていると分析した」(朝日4月3日)
 

実は、この事故や犯罪の原因がアルコールです。

「その上で同省は、ロシア軍の指揮官らは過剰な飲酒が戦闘に悪影響を及ぼすことを認識していると指摘した。ロシア社会の飲酒の習慣から、軍内では作戦の遂行中でさえ、飲酒が暗黙の了解として認められているとの見方も示した」(朝日前掲)

 

指揮官クラスがベロベロになってしまい、「オレは酔ってねぇぞ、バカヤロー突撃だぁ」などとやるんですから、部下はたまったもんじゃありませんが、その部下もヘベレケですから、上から下まで泥酔軍隊です。

促成訓練でじゃんじゃん前線に送りこんだ徴集兵士らは、満足に銃の分解もできないうちに、ヘベレケになってしまい、武器をめちゃくちゃに扱ってはぶっ壊すわ、乱射して味方を撃つなどの事故が起きています。大義なき軍特有の現象です。

(トラ注)

促成訓練でじゃんじゃん前線に送りこんでいるのはウクライナ軍のはずですが、農と島のありんくりん氏の頭ではロシア軍と思っているようです。パラレルワールド?

 

ウクライナに侵攻したロシア軍は、恒常的に燃料や武器弾薬の補給が足りないという指摘がでていました。その原因は、長大な補給線をウクライナ軍によって寸断されたためでもありますが、もうひとつの見逃せない原因が兵士による組織的横流しです。
ベラルーシではロシア兵は鼻つまみ者扱いになっていますが、ベラルーシ軍かロシア軍かは遠くからでも判別できるそうです。身ぎれいなベラルーシ軍に対して、ロシア軍の規律はすさみきっており、不潔で、しかも常に酒瓶を離しません。
キーウ侵攻前にベラルーシに駐屯していた頃から、ロシア兵は燃料を売って酒に替えていたそうです。
ロシア兵さん、家に帰って安心して飲んだくれなさい。

(引用終わり)

 

英国防省もいくらプロパガンダとはいえ、ここまでデタラメを言ったら、ウクライナ軍の負けの説明ができなくなることがわからないんでしょうか。それにしても、ここまで言うか、ここまでプロパガンダを信ずるのか、と逆にほほえましくなってしまいます。

 

また、ロシア軍とウクライナ軍の状況をいつも逆にしか捉えていないようなのですが、「ロシア軍は、恒常的に燃料や武器弾薬の補給が足りないという指摘」「燃料や武器弾薬補給の組織的横流し」なんていうのもその典型でしょう。

 

ブログ主仲間のコメント

A「日本陸軍がインパール作戦で1トンのダイナマイトを前線に送り出したけど半分も届かないので調べたら「まず食料すら送られてこないので、腹ペコの兵隊がダイナマイトを少しずつガメて食べていて最前線に着く頃には半分以下」なんてことも。連日酔っ払ってたのは兵士ではなくラングーンにいる司令部のほうでしたけどね。。
ダイナマイト、羊羹みたいで甘くて美味しかったそうです(怖っ)。酒は無くても我慢できますが、食い物が無ければ戦えません!

ロシア兵の場合は元々士気が低い上にマトモに訓練していないアル中軍団!ホント民間ですら工業用メタノール飲んで毎年多くの死者が出るお国柄。(トラ注 いつの話なんじゃい!)そんな所から招集して前線に送ったり、刑務所から重罪犯や病人まで兵を集めていてはねえ。。
プーチンが決めたらウクライナなんぞ一捻りだろうと思ってましたけど、まさかここまでロシア軍が酷いとは···。」

 

B「気持ちはわからなくもないですけどね。大義も無い、退路も無い、武器も無い、ただ死ぬためだけに送り出されるような状況(トラ注 ウクライナ兵士のことでしょうに)で、アルコール飲んで現実を忘れることだけが彼らの救いなのでしょう。
戦場で地獄を見るくらいなら、アルコールで現実を忘れたままあの世に、という気分にもなるというものです。

本来ならば国のトップが雄弁をふるい、兵を労い、指揮を高めることで少しはマシになるかもしれませんが、信用を失ったプーチンがいくら叫んだところで、ヘベレケなロシア兵の心には届かないでしょうね。」

 

デタラメブログ記事をまともに受け止めてのコメントですから、やむを得ないかもしれませんが、少し常識を働かせれば、こんな泥酔ロシア軍になんでウクライナ軍は負けているんだろうと疑問を持ってもよさそうなんですがねえ。

 

さて、こんな英米からのデタラメ情報を信じて書かれたブログですが、そのアメリカのメディアがもう嘘は吐いていられないと本音を語りだしたようです。

 

「大手メディアからの洗脳に騙されない為のブログ」によれば、アメリカ政府のプロパガンダ記事ばかりを流している主流メディアの1つであるワシントン・ポスト紙も最近論調が変わってきて、ウクライナ軍の状態について、悲壮感漂う記事をいくつも流し始めていると書いています。

 

 

ここで紹介されているのはワシントン・ポスト紙の記事の変化を並べて分析した政治アナリストのアンドリュー・コリブコの記事です。

ここにはこれまでの英米の報ずるウクライナ戦争でのウクライナ軍の情勢はほとんど嘘であることを、ワシントン・ポスト紙が認め始めたということを整理しています。

例えば

 

* キエフは、その大げさな反攻が成功するかどうか、静かに疑っている。
- ウクライナの軍事力は、かつてはロシアに対して大きなアドバンテージがあると考えられていたが、1年間の死傷者数によって、経験豊富な戦闘員の多くが戦場を離れ、一部のウクライナ関係者は、待望の春の攻勢をかけるキエフの準備に疑問を呈するようになっている。

* ウクライナの犠牲者はキエフの主張の10倍近くと欧米は推定している。
- 米国と欧州の当局者は、昨年初めのロシアの侵攻開始以来、12万人ものウクライナ兵が死傷したと推定している。"ウクライナのヴァレリー・ザルツィニー司令官は8月に、9000人近い兵士が死亡したと述べた。12月には、ゼレンスキー氏の顧問であるミハイロ・ポドリャク氏が、その数は13,000人に上ると述べている。"
* ウクライナ軍(UAF)はあらゆる点でかつてないほど弱体化している
- "統計はさておき、損失を補うために連れてこられた経験の浅い徴兵者の流入は、現場の軍人によると、砲弾や迫撃砲を含む弾薬の基本的な不足に苦しんでいるウクライナ軍のプロファイルを変えている。"
* すべてのベテランはすでに殺されたか負傷しており、経験の浅い新兵だけが残っている。
- " 「6ヶ月の戦闘を生き延びた兵士と、射撃場から来た兵士は、別の兵士だ。天と地ほどの差がある。そして、戦闘経験のある兵士は(部隊に)数人しかいない」とクポルは付け加えた。残念ながら、彼らは皆、すでに死んでいるか負傷している』"
* キエフは、兵士が虐殺されるという懸念があるにもかかわらず、まだ反攻を開始するだろう。
- "奇跡を信じることは常にある "と[クポル]は言った。虐殺と死体になるか、プロの反撃になるか、どちらかだ』と。選択肢は2つある。いずれにせよ反撃はある』」。
* ウクライナの高官でさえ、今度の反攻は自殺行為だと知っている。
- "人員も武器もない "と高官は付け加えた。'そして、その比率はご存じでしょう: 攻勢に転じると、2倍、3倍の人数を失う。我々はそれだけの人数を失う余裕はない」。
* キエフの最新の新兵は、文字通り戦い方を知らないので、ロシア人から逃げ出す。
- "写真撮影に応じ、率直な評価をすることで個人的な反発を受ける可能性があることを理解していると語ったクポルは、手榴弾を投げたことがなく、銃撃を受けても容易に自分の位置を捨て、銃器の取り扱いに自信がない新兵士と戦場に行ったことを説明している。"
* これまでの1000億ドル以上の援助は、UAF(ウクライナ軍)を適切に訓練し装備するのに十分ではなかった。
- "すべての訓練センターにNATOの教官が必要であり、教官は向こうの塹壕に送られる必要がある。彼らは任務に失敗したのだから」。(クポルは)米国製MK19用の単純な迫撃砲爆弾と手榴弾の不足を含む、深刻な弾薬不足を説明した。"
* ロシアの終わらない砲撃のため、新兵が塹壕の中で冷静さを失っている
- ドミトロは、ウクライナのある兵士がパニック発作を起こすと、他の兵士がそれを引き受けるのだと言う。「砲撃が激しいときがある。ドミトロは、初めて仲間の兵士が非常に動揺しているのを見たとき、危険の現実を説得しようとしたという。しかし、次の瞬間、彼らは「その場から逃げ出した」のだという。彼らを責めるつもりはない。彼らはとても混乱していた」と彼は言った。
* キエフは、西側から、彼らが負けるためにそれを切り捨てることを恐れて、その死傷者数を隠している。
- "ドイツ政府関係者は、率直な意見を述べるために匿名を条件に、ベルリンでは、死傷者を含むウクライナ人犠牲者は12万人に上ると推定していると述べた。彼らは我々を信用していないため、我々と情報を共有しない」と、その関係者は語った。"
* ウクライナの地上軍司令官は、ロシアの新兵が自軍より訓練されていることを認める。
- 訓練を受けていないロシア人戦闘員が戦場に投入されたとの報道にもかかわらず、(ウクライナ地上軍司令官)オレクサンドル・シルスキー大佐は、現在到着している戦闘員は十分に準備されていると述べた。我々はこのような現実の中で生き、戦わなければならない』と彼は言った。もちろん、我々にとっては問題があるのだが』」。
* キエフは米国の忠告を拒否し、アルチョモフスク/「バクムート」の肉挽き機に数千人を投入し続けた。
- "ウクライナが(バフムートで)被っている多くの犠牲者を考えると、ワシントンの当局者はキエフの退却拒否に疑問を抱いている。米国は少なくとも1月からウクライナに撤退を勧告していると、米国政府関係者は述べた。"
* 過去9年間、米国で訓練されたウクライナの将校の多くがすでに殺害されている。
- ウクライナは、過去9年間米国の訓練を受けた下級将校の多くを失い、侵攻開始時にウクライナ人をロシアの敵から区別するのに役立ったリーダー軍団を浸食していると、ウクライナ政府関係者は述べた。今、これらの部隊を入れ替えなければならないと、この関係者は言う。彼らの多くは殺されている」と、その関係者は語った。"
* ウクライナの志願兵は蒸発し、今は強制徴兵された者だけが戦闘を行なっている。
- "侵攻が始まったとき、ウクライナ人は軍隊に志願するために殺到したが、今、全国で志願しなかった男性は、街中で徴兵票を渡されることを恐れ始めている。ウクライナの内部安全保障局は最近、当局が召喚状を配布している場所を避けるためにウクライナ人を助けていたテレグラムのアカウントを停止した。"

(引用終わり)

 

この記事を読んで、農と島のありんくりん氏やその仲間はどう思うのでしょうか。

おそらく一言、嘘だ!とでも。

 

ブラジル移民の太平洋戦争敗戦後の「勝ち組」ことを思い起こします。

1945年の太平洋戦争終結時、南米ブラジルの日本人移民社会で、日本の敗戦を認める「負け組(認識派)」と、信じない「勝ち組(戦勝派、信念派)」の間で「勝ち負け抗争」と呼ばれる事件が起きました。両者は激しく対立し、ついには殺人テロまで起き、死者は23人にのぼり、30人以上が負傷したということです。

 

こんどのウクライナ戦争が終わった時、農と島のありんくりん氏らは当然勝ち組(戦勝派、信念派)として、ウクライナ軍が負けたなんて信じようとしないでしょうね。

 

もう一つ、ウクライナが敗戦するだろうというカール・リヒターの論考を紹介しておきます。

これも「嘘」と言うんでしょうね。農と島のありんくりん氏は。

 

ウクライナの敗戦が見えてきた。

筆者:カール・リヒター(Karl Richter)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2023年3月10日

カール・リヒター氏が断言するところによると、ウクライナの敗北は差し迫っているという。その理由は、現在進行中の戦闘において、ロシアが支配的に勝利を収めていること、西側からの軍事支援や経済支援が脆弱であること、ウクライナ国内で国粋主義がはびこっていることにあるという。そして同氏はその主張の裏付けとして、西側の数名の経済専門家の視点を引用し、西側諸国の政府が自国の対ウクライナ政策が完全な間違いであったことを認めざるを得なくなる日も近いと予見している。

 ウクライナを支援してきた国々が浮かぬ顔になってきた。実際、いま非常に興味深い状況になりつつある。この先数ヶ月で、西側の政治家たちがついてきた嘘の中核が爆発するだろう。そう。ウクライナ戦が終わりを迎えるのだ。
 そうなれば何十億ドルものカネがキエフの沼地に吸い込まれることもなくなるだろう。そして、確実に言えるのは、西側の戦車をいくら投入しても(万が一到着すれば、の話だが)、状況にさほどの変化は与えないだろう。
 ロシアが支配的立場に立っていて、 この戦争を思いのままに激化できる全ての手段を有している。
 いっぽう西側の立場は、経済的にも軍事的にも、追い詰められており、道義的な意味合いでは更に窮地に立たされている。
 その道に詳しい少なくとも4人の西側軍事専門家が、大手報道機関がここ数週間報じてきた内容と相容れない主張を行っていて、この先数週間が、ウクライナが生き残れるかどうかの決定的な時期になると見ている。
 その中の1人がオーストリアのマーカス・ライスナー大佐である。同大佐は、筋金入りの親ウクライナ派だ。最近出した見解のなかで、ライスナー大佐が指摘したのは、ロシアの資源力を考慮し、その力を認めるべきだという点だった。
 ライスナー大佐は「ウクライナは何ラウンドかは勝てるかもしれないが、KOを食らわせたことは今まで一度もない」と語っている。
 同大佐によれば、ロシア側には自由に使える砲弾が少なくとも1000万発残っていて、さらに340万発の新しい砲弾が毎年生産されているという。「だからロシアはまだまだ長く戦争を持ちこたえられる立場に立っていて」、キエフ政権側にとってはますます厳しい状況になっている、と彼は主張している。
 

 元准将でアンゲラ・メルケル前独首相の顧問だったエーリヒ・ヴァッド氏はもっとはっきりとした主張を行っている。ヴァット氏の目には、ロシアが「明らかに優位」であると映っていて、その点では米国のマーク・ミリー統合参謀本部議長(!)と同じ意見だ。ミリー統合参謀本部議長は、「ウクライナが軍事的に勝利を収めることは期待できない」としていた。
 さて、ヴァット氏は以下のことに驚愕していた。それは、「報道機関の同調圧力が非常に強く、このような状況はドイツ連邦軍共和国建国以来のことだ。これでは他論が出なくなってしまう」という点だった。
 ただし同大佐のこの主張については、「(そんなことに今さら気づくなんて)この誇り高き元将軍はこの10年間、どんな世界で暮らしてきたのだろうか?」と訝(いぶか)る声も上がっている。
 

 ウクライナの劣勢を主張している4人目の人物が、元国防総省顧問で元米軍大佐のダグラス・マクレガー氏だ。
 最近行われたいくつかのインタビューにおいて、マクレガー氏は、ウクライナ側の損失の大きさ(もともとの大隊の戦力の7割が失われたこともあった)について言及しただけではなく、ウクライナの国内諜報機関であるSBU(ウクライナ保安庁)に対する国民からの非難の声が蔓延していることについても触れ、これは終末が近いことを示していると語っていた。
 キエフ政権の指導者層がすぐに交渉に応じようとしないのであれば、ウクライナが失わずに済むのは、ドニエプル川西側の小さな州くらいになってしまうだろうとマクレガー氏は語っている。
 同氏はウクライナ国内で、今の軍事政権に対してクーデターの動きが起こる可能性を否定しなかった。 前線で酷い損失が出ている状況にあるからだ。
 もしクーデターが起こらなかったとすれば、モスクワ当局は、「この仕事」を自身の手で終結させ、ゼレンスキー政権を片付けようとせざるを得なくなるだろう。
 その後の新ウクライナ政権は、おそらく慎重な立場をとり、和平交渉に応じようとするだろう。ロシアにとって最も望ましい展開は、そうなることでロシアの開戦理由であったウクライナの「非ナチ化」も達成できることだろう。

 大手報道機関であるドイツの日刊紙ディ・ヴェルト(Die Welt)紙でさえ、先日(1月30日)の記事で認めていたのは、この先予見できる未来として、ロシアが軍事的にも政治的にもこの戦争の勝者となりうることだった

そして一方のウクライナ側は目的を何一つ達成できないまま終わってしまうということだった。つまり、ウクライナは掲げた目標を何ひとつ達成することはないだろう。クリミアの奪還など論外だ。そしてロシアは、今後避けられない交渉による解決策として、ウクライナのNATO加盟は「近い将来排除する」を強く打ち出してくるだろう。この条件こそが、ほぼ1年前にモスクワ当局がこの戦争に踏み切った唯一の理由だったのだ。そして「結果的に、ずたずたにされたウクライナが残る」ということになる。
 西側各国政府が自国の対ウクライナ政策が完全な失策だったことを自国民に対して認める日が近いことを心待ちにしている向きもある。ウクライナが勝つことも、ロシアが「破壊される」こともないだろう。

 そのような見誤った目的を、アンナレーナ・ベアボック独外相が、独政府の政策の目的であると主張している。ウクライナが終わりを迎えることになれば、西側各国政府はキエフ当局に流し込んできた何十億もの大金を、どぶに捨てることになるだけではなく、ロシアとの関係が永久的に悪化したままになってしまうだろう。そうなれば、自国のエネルギー供給が破壊され、自国の軍備もなくなってしまう。こんな失策はこれまでに例を見ないもので、国民に対する明らかな反逆としてしかとってもらえないだろう。
 このような状況は何よりも欧州の人々に被害を与えるものだ。「通常時」においては、各国の責任者には説明責任があるとされてきた。この法則は今でも生きているはずだ。
 ドイツだけではないが、現在の各国指導者層はすべて跡形もなく別の勢力に取って代わられるしかないのだ。そうでもないと、たとえ中途半端な真摯な態度であったとしても、ロシアと交渉できる状態にもどすことはできないだろう。

 私たちが知っているようなウクライナは余命いくばくも無い。遅かれ早かれ、ウクライナは領土を大きく狭められた残りかす国家としてどうでもいい存在に落ちぶれてしまうだろう。
 ウクライナの悲劇は、自国が西側の道具にされるがままになったところにある。その西側の頂点にいるのがワシントン政権であり、ウクライナは自国のためではない目的のために、ほとんど自殺行為と言っていい振る舞いを見せてきた。
 米国政権の言う「ウクライナ国民が最後の一人になるまで」戦うという言い方が、さもありなんと言える状況になってきた。
 最後になるが、ウクライナは自国の国粋主義者の被害者になってしまったということだ。ソ連時代には、この国粋主義は一時的に現れる表面的な勢力に過ぎなかったが、1991年直後に、米国の諸機関により強く煽られた。それは当初から反ロシアの傾向があった。今日、ウクライナは国粋主義に蝕まれた疑似国家であり、現在の政体では持ちこたえられない状況に置かれている。
 歴史上同様の例を見いだそうとするならば、第二次世界大戦前のチェコスロバキアやポーランドの状況に似ていることが思い起こされるだろう。
 両国は、自国内の少数民族との共存を賢明な方法を使って解決することができず、その結果として、自国内の国粋主義と西側勢力による扇動を呼ぶことになってしまったのだ。現在のキエフ当局が自国の政策で苦しんでいる状況は、1938年のチェコスロバキアや1939年のポーランドと似た状況になっているのだ。

 ポーランドに関しては、歴史的に苦い皮肉を味わうことになるかも知れない。それはポーランドが、ウクライナ問題解決に際して、元の領地であるガリシア地区を取り戻すことになれば、の話だ。
 ただしそのような状況に対する備えはもう何ヶ月間も着々と進められている。そして十分興味深いことに、ポーランドは、そのことに対する同意を頭のいかれたキエフ当局と結んでいるのだ。その状況についてはそんなに苦労しなくても調べることができる。
 モスクワ当局がその裏でずっと関わってきた可能性は排除できない。この状況にほくそ笑んでいるのはクレムリンかもしれない。ポーランドとウクライナ両国の国粋主義者たちがこの先のことでぶつかり合っているのが見えるのだから。
 1943年と1944年に起こったヴォルィーニ大虐殺事件の際、ドイツの手引きの下でウクライナ側は30万人のポーランド農夫を虐殺した。その記憶をポーランド側は忘れていない。
 すぐにでもEUは、領内で新たなやっかいごとを抱え、何十億もの金をふいにすることになるかもしれない。ロシアにとってこんなおいしい状況はない。

カール・リヒター。1962年ミュンヘン生まれ。兵役を終えた後、歴史と民話とサンスクリット語をミュンヘンのルートヴィヒ・マクシミリアン大学で学ぶ。2014年から2019年まで欧州議会議員の事務局長。

(引用終わり)

 

農と島のありんくりん氏も英国国防省や米国戦争研究所の情報ばかりに頼ることなく、もう少し別の情報にも当たってほしいものだ。