トルコ・シリア大地震は1か月目を迎えた。5万人超という被害者を出して、最近の地震被害としては最大と言えるのではないか。

 

日本は支援にわずか11億円で、募金額(54億円)よりも少ないという情けない支援額なのはどうしたことか。

腐敗国家ウクライナに7400億円という巨額のプレゼント(そのほとんどは腐敗政治家と官僚、マフィアがかすめ取ってしまうのは歴然)、まさにムダ金をポンと出すのに、トルコ・シリア支援にはケチケチなのは恥ずかしい。外務省は小室夫妻への支援(という不正支出)を削って地震支援に回すべきだ。

 

さて、このトルコ・シリア大地震は何度も起きていて、広範囲に被害が広がったわけだが、トルコ南部にいくつかのプレートが押し合いへし合いして活断層を刺激して地震を起こしたといわれているが、この自然地震に疑問を呈する人たちがいるようだ。この地震は地震兵器によって人工的に起こされたものだと。

 

東日本大震災の際にも、地震兵器によって人工的に起こされたという説がネット内では流れていた。

要は地震の規模が大きすぎると、活断層理論等では説明がつかなくなり、その他の社会的政治的条件を勘案して、地震兵器による地震という荒唐無稽な説を持ち出すのである。

 

いつも素晴らしい情報とコメントをしたためる「大手メディアからの洗脳に騙されない為のブログ」が、このトルコ・シリア大地震を地震兵器の仕業とする海外記事を紹介している。

トルコとシリアでの大地震は気象兵器によるもの?2023-03-04

 

なぜ地震兵器の仕業というのか。

それはトルコ大統領エルドアン追い落としが絡んでいるから、というのがその理由だ。

つまり、5月に大統領選挙を控え、その前に大地震によって国内に大惨事を引き起こし、その対応に失敗するエルドアンという構図を描き、国民からの批判を受けて大統領選挙で落選させるという目的、そのために大地震を人工的に起こしたのではないかと、疑うのである。

そんなばかな、それは陰謀論か、と一笑に付されるのが落ちだ。

 

しかし、アメリカにとってエルドアンは邪魔なのである。

エルドアンはNATOの一員でありながら、ロシアに理解を示したりしている。

トルコが最近行ったいくつかの施策は、NATOの同盟国の怒りを買ったかもしれない、として紹介記事がいくつか挙げている。

トルコはロシアと同盟を結んだ
・この同盟の下で、トルコは、NATO加盟国特にトルコのような重要な国にとって望ましいこととして、アメリカのパトリオットシステムの代わりに、ロシアのS-400防空システムを購入することを決定した

・エルドアン大統領は2017年、プーチン大統領との間でS-400の25億米ドルの契約を仲介した。

・米軍艦USSニッツェがトルコの支配するボスポラス海峡から黒海に入ることを禁じられた

トルコのエルドアン大統領がシリアのアサド大統領との和解に関心を示している

・米国がシリアから追い出されたとき、ロシアがシリアに関与した

・トルコはスウェーデンのNATO加盟を拒否した

・スウェーデンは、トルコの条件のいくつかは満たせないと言っている。

等々。

まさに、アメリカにとってエルドアンは邪魔なのである。

だから、大統領選挙を前に地震兵器により、トルコ国内を混乱させたのだと。

 

この説には致命的な難点がある。オレンジ革命やマイダンクーデターなど人の手を使った扇動や転覆ならアメリカは大得意とするが、今回の大地震を人工的に起こすことは可能なのだろうか。しかも見つからずに。ノルドストリームの爆破とはちょっと種類が異なるのだ。

 

しかし、地震兵器を信じているものにはそれは難しい事ではないらしいのだ。

普通に地震兵器を考えるとするなら、地中で核を爆発させて地震を起こすことが考えられるし、これまでの地下核実験では確かに地震は発生している。

ネットを調べるとソ連が1973年9月12日ノヴァヤゼムリャの北島で行われた核出力4.2Mtの地下核実験では、マグニチュード6.97に相当する揺れが発生した、と書かれている。

 

しかし、今回の地震兵器はこれまで言われてきたHAARP(高周波活性オーロラ研究プログラム)という兵器(チンプンカンプンだが)だけでなく、チタン合金の棒による地震兵器まで出てきたのである。

 

ホントかどうか知らないが、トルコ宇宙庁長官セルダル・フセインがロシアのテレビでこのチタン合金の棒による地震兵器について話しているというのだ。

 

「トルコ宇宙庁のセルダル・フセイン・ユルディリム長官が、地震を引き起こすことができる兵器について語った。

街角にある電柱をご存知でしょう。あれはこの柱と同じようなもので、高さは8〜10メートルほどです。金属の棒です。棒の中には何も入っていません。爆発物も何もありませんが、硬いチタン合金素材でできた金属棒なのです。それを人工衛星に入れるんです。ある程度の量を。

そして、それを狙って打ち上げ地球に落とすのです。先が尖った棒のようなものです。例えば、神がかり的にどこかに落ちると、今は災害シナリオの名前は出しませんが、地上に落ちたとたん、地球の深さ5kmまで突き抜けます。これは非常に早く起こり、マグニチュード7〜8の地震を起こします。

衝撃の結果、そこにあるものはすべて破壊されます。いいですか、ここには武器も、爆発物も、爆弾も、何もありません。ただの棒です。しかし、宇宙からやってくるそのような力があり、それを見ることも、止めることも、自分を守ることもできないのです。" 」

(引用終わり)

 

ちょっとSF映画の見過ぎのような荒唐無稽な話だ。

硬いチタン合金素材でできた金属棒を人工衛星から地球に落とす。地上に落ちたとたん、地球の深さ5kmまで突き抜け、マグニチュード7〜8の地震を起こすのだ、と。地球の表面の岩盤をそんなに簡単に突き抜けることなどできないと思うが。また、突き抜けた後、どうやって巨大地震を起こすのかのメカニズムの説明がない。

ちょっとというかほとんど眉唾の非科学的マンガというしかない。

 

紹介記事にはHAARPという地震兵器の説明もなされている。

「HAARPに関する科学報告書は、電離層を変調した高周波加熱によって発生する高出力ELF放射が、地震やサイクロン、局所的な加熱を引き起こす可能性があると説明する。この論文では、科学的知見を次のようにまとめています。
"HAARPは現在[2014年]、電離層に極低周波(ELF)電磁波を発生させるために使用されている最も重要な施設である。このELF放射を発生させるために、HAARP送信機はELFで変調した高周波(HF)の強いビームを放射している。
この高周波加熱により、D領域電離層の電子温度が変調され、導電率や電流が時間変化し、変調周波数で放射される。最近、HAARPの高周波送信機が周波数2.5Hzで変調された3.6GWの実効放射電力で動作した。現在のHAARPヒーターのようなHF電離層ヒーターによって発生する高出力ELF放射は、地震、サイクロン、強い局所的な加熱を引き起こすことが示されている。」

(引用終わり)

 

これもチンプンカンプンな説明だが、チタン合金金属棒を衛星から地球に打ち込んで地震を起こすという兵器より、少しばかり説明は科学的に見える。何言っているかわからないが、要は電子レンジの内部のような状態をある地区に引き起こして地震を発生させるというものか。そんなもので巨大地震は起きるのだろうか。

 

「大手メディアからの洗脳に騙されない為のブログ」のシェリルさんは、この記事引用について次のようにコメントしている。

 

「トルコ南部とシリアで発生した大地震についてですが、ネットでは この大地震を「気象兵器によるもの(人工地震)」だと疑っている人が何人かいました。

私個人的には 気象兵器である可能性も100%否定できるものではないし、人工的に地震を起こす技術もすでにあると思っています。

一方で、トルコーシリアの地震が起こったエリアは 複数のプレートが重なり合っている部分で 元々地震がよく起きる地域であることもたしかです。

ですから、仮にどこかトルコとシリアに敵対する国が地震兵器を使って地震を起こしても、「元々地震が多い地域だから自然に発生したのだろう」というふうに大多数の方が思うので、兵器によるテロであることがバレにくい というのはあると思います。

 

今回、トルコーシリアで起こった地震が「テロ」であるとか、トルコとシリアがそのような気象兵器を使ったテロに狙われたのは政治的な理由がある と言っている記事をご紹介したいと思います。記事を読んでいただいたら、政治的な状況でトルコがNATOの反感を買っているのはたしかなので、米がトルコ南部で人為的に地震を起こしたテロの可能性もあるのかな と思えてくる内容です。」

(引用終わり)

 

そして海外記事紹介した後も次のようにシェリルさんは書きます。

「スウェーデンのNATO加盟を承認できない とトルコが宣言して、その直後、米とNATOのいくつかの国の大使館員が反発して大使館員をトルコから引き揚げて不在になっていた時に地震が起こりました。このタイミングの一致は偶然でしょうか?

人工的に地震を起こす技術はすでに存在していて、政治的に それを使う動機を持っている国も存在している・・・証拠がない以上、あくまで「推測」の域を出ないのですが、アメリカがトルコに対して仕掛けたテロ攻撃だった という可能性も否めないと思います。」

(引用終わり)

 

シェリルさんは「気象兵器である可能性も100%否定できない」と言うが、確かに可能性と言ってしまえば何でも「可能性」というのはあるのだから、そういいたい気持ちはわかりるが、ワクチン陰謀と同様な水準で考えるとまさに「陰謀論(=荒唐無稽)」に突き進んでしまうのではないかと危惧するのである。

 

「人工的に地震を起こす技術はすでに存在していて、政治的にそれを使う動機を持っている国も存在している」

この命題は、後半は今回確かにそれを使う動機を持っている国が存在したわけだが、「人工的に地震を起こす技術はすでに存在」というのが、あまりに曖昧のままなので、「アメリカがトルコに対して仕掛けたテロ攻撃だったいう可能性も否めない」というふうに結びつけるのは、仮定に仮定を重ねすぎて荒唐無稽すぎるのではないか。それを「可能性も否めない」といってあり得ることと印象づけるのは行き過ぎではないかと思うのだ。

 

これが人工地震ではなく、仮に近くに原発があって、これが爆発・炉心溶融を起こしたというなら、人工的なテロの可能性を指摘しても誰も可能性自体を否定しないだろう。しかし、人工地震、地震兵器によるテロとは、少しトンデモすぎ。もう少し地震兵器の情報を提示しないと納得感が出てこない。

 

硬いチタン合金素材の金属棒(こんなものが空から落として地中5キロも刺さることは考えられないだろう)やHAARPという地震兵器というものでなく、核爆弾を地中深く埋めて核爆発を起こし、地震を引き起こしたというなら、それなりにイメージができるが、そうなるとその近辺で縦穴を掘っていたとかの目撃が必要だろうし、3~4回も大地震が起きているので、核爆発させるためにいくつもの深い穴を掘っていたという情報がないと認められないだろう。

 

私は石田昭氏の地震爆発論が地震原因その他をよく説明できる理論だと思っている。

地震は解離水の爆発で起きる、というもので、活断層理論やプレートに起因する地震を否定している。そもそもプレートも断層も爆発によって起きた結果を表現したものであるというのが地震爆発論である。

地震爆発論については、このブログでも過去に記事にしているので、「テーマ:地震爆発論・定説地震学批判」から記事を探して読んでほしい。

 

世の中には地震原因を説明できる理論が活断層理論やプレートに起因する地震の二つしかないので、全ての地震をこの二つで説明しようとするので無理が起きてしまうのである。つまりおとぎ話になってしまい、いつまでも地震の真因を見つける努力がなされないのである。

 

今回のトルコ・シリア地震も当然、活断層とプレートで説明されている。

石田氏のホームページからの引用です。

BBC

地震の原因は? 
地球の地殻はいくつかのプレートに分かれており、互いに寄り添っている。
プレートは動こうとするが、隣り合っているプレートとの摩擦に阻まれる。しかし時に、この圧力が貯まり、片方のプレートが急に動き、地表面が振動する。
今回の地震では、アラビアプレートが北方向に、アナトリアプレートをこすりながら動いた。
 

遠田晋次東北大学教授(災害科学国際研究所)

今回の地震(M7.8)は東アナトリア断層と死海断層帯(Dead Sea fault zone)の境界付近で発生したとみられます.内陸でM7.8はきわめて大きな直下型地震で,震度6強,震度7の地域も予想されます.

震源は,むしろ死海断層北端とみたほうが良いかもしれません.同断層は死海トランスフォーム断層とも呼ばれ,トルコ,シリア,レバノン,イスラエル,ヨルダンを北北東―南南西に貫く1000km以上の左横ずれの大断層です.アフリカプレートとアラビアプレートの境界でもあります.過去にも多くの歴史的な大地震を起こしており,古代遺跡にも地震の痕跡が多数刻まれています.

 

しかしこの説明では、揺れの説明はできても、激しい急速な加速度を持った突き上げる力を説明できない。

 

石田氏は次のように書く。

「BBCの科学担当編集委員でも、「圧力が貯まって突然破壊的に動く」と思っています。「歪が貯まって」でも同じことですが、そんなテクトニクスでこれだけ激しい余震が起きるわけがありません。
地下10~20km付近で突然大混乱が発生し、何時までも収まらない原因が、「圧力が岩盤の耐力を超えたから」などと理解しているような地震学は幼稚すぎます。

「アラビアプレートが北方向に、アナトリアプレートをこすりながら動いた」ことによって数千galの加速度が生まれ、ビルが倒壊するような現象が起きる、と考えているのなら、「バカ!」と言われても仕方がないですね。」

 

「地震学者は、みなさんプレート理論で解釈し解説していますが、USGS発表のCMT解が示している内容は、「押し円錐の軸」が水平の爆発であって、傷痕として水平断層ができるということ(地震爆発論での解釈)です。遠田氏が「内陸でM7.8はきわめて大きな直下型地震」という「直下型」には矛盾があります。「陸域で起きる被害の大きな地震はすべて直下型となってしまいます。地震学会では直下型地震の意味が理解されていません。震源が直下にあっても爆発が水平方向なら直下型地震とはいえません。
また、CMT解を見れば傷痕が東アナトリア断層(と名付けられた傷痕群)に分類されるのは妥当です。死海断層北端に分類されるようなテクトニクスではありません。
地震は地下を流れる(人間で言えば毛細血管のような)マグマのパイプ内部での水素と酸素の爆発的燃焼が原因です。プレートテクトニクス理論に拘束された思考力では地震現象を正しく理解することは不可能です。

 

(注)地震爆発論(石田理論)によれば、地震が起きる本当の仕組みは、地下で起きる水素爆発なのです。マグマにはもともと水から解離した水素と酸素が大量に含まれています。その水素が地表に浮上してくると、元の水に戻るために爆発を起こしているのです。あるいはマグマが上昇して高熱になると地下水は一定の割合で酸素と水素に解離します。こうして発生した水素が爆発を起こすのが地震現象なのです。その爆発が大規模であれば、地皮が破れて傷が出来ますが、これが断層です。 だから小規模な爆発(小さな地震)では断層が出来ません。これが断層が大地震の化石であるという意味です。

 地震時には震源の深さに関係なく地震で動く地盤の初動には「押し」と「引き」がある傾向を持って現れます。これを「初動の押し引き分布」と呼んでいますが。この分布はダイナマイトのような爆発では説明できないのです。


「地表近くの地質構造によって崩壊の規模が局所的に違うのは当然起きることですが、崩壊の原因が、地震時の『揺れ』というものではなく、爆発現象としての第一波つまり、キラーパルスと言われる『衝撃的な力』で崩壊が起きることを理解しないといけないと思います。

…日本でも中越地震ではホールダン金具(家屋をコンクリート基礎に固着する金具)がちぎれてしまいましたが、地震学会も建築学会も問題として取り上げようとはしていません、無視しています。

金属製の留め具を破壊するほどの力は爆発による衝撃波(キラー・パルス)以外には説明できません。

金具の破壊もそうですが、震央から100km以上も離れたアルトゥノジュ地区の崩壊は断層地震論では説明がつきません。」

 

「トルコでの地震発生時に「信じられない轟音」が鳴り響いたという現地の声は、地震が『爆鳴気爆発』(水素爆発)であることを証明していると思います。」

(引用終わり)

 

この巨大地震を地震兵器に結び付けたい人々は、地震が発生したタイミング(選挙が近いので何とかしてエルドアン大統領を追い落としたい。)と地震の巨大エネルギー、多くの建物を倒壊させる爆発的エネルギーに驚いて、これは自然現象ではないかもしれない、核弾頭のようなものを爆発させて、タイミングを見計らって人為的に巨大地震を起こしたのかもしれない、と妄想したのではないだろうか。

 

確かに、衝撃的な力(激しい加速度)、「信じられない轟音」が鳴り響いた等から、この地震は地下での爆発現象によるものと考えられる。

地震爆発論も爆発によって地震が起きると説明するのだが、核爆発も爆発であるので、人工兵器論者はその爆発現象のみを取り上げて「人工兵器」だとするが、両者に違いがあるのである。

違いは、核爆発等地震兵器は「押し」だけ、地震爆発論は爆発(押し)と爆縮(引き)が同時に起きるとしているから、爆縮の現象が認められるなら、それは核爆発つまり人工兵器ではありえないということになる。

「地震時には震源の深さに関係なく地震で動く地盤の初動には「押し」と「引き」がある傾向を持って現れます。これを「初動の押し引き分布」と呼んでいますが。この分布はダイナマイトのような爆発では説明できないのです。」

 

石田氏の解説より。

「トルコで発生したM7.8地震では、ハタイ県アルトゥノジュ地区オリーブ園で大きな陥没が発生しています。地震学者は岩手・宮城内陸地震で起きた荒砥沢ダム上流の斜面崩落のと同じメカニズムだと解説していますが、オリーブ園が広がるこの地区は荒戸沢のような急な斜面とは言えません。もちろん遠田教授の言うように断層の上で起きた地変ではないですから、断層のずれで起きたとは解釈できません。
地震爆発論で解釈すると、この谷ができたのは、この地区が「引き領域」になったために、沈降したのではないかと解釈できます。」

 

今回の地震も押し引きによる断層が結果として表れているので、「押し」の現象しか現れない地震兵器のようなものでは今回のトルコ地震を説明できないということである。

 

私もどちらかというと世界に「陰謀」というものは厳然とあると考えている。コロナ・ワクチン陰謀や脱炭素・地球温暖化CO2説、安倍元首相の暗殺も陰謀と考えている。陰謀とは、疑惑があるのになぜか明らかにしようとしないもの、ファクターXのようなものだ。

しかし、今回の地震兵器説はかなり行き過ぎた陰謀説ではないか。まともな陰謀論と荒唐無稽な陰謀論は分けて考えていかないといけないだろう。