あの大英帝国の首相が最近小者ばかりになって、国力の衰退はこんなところにも表れているのかと驚く、なんてことはない。今の英国をよく表しているといえるだろう。

 

リズ・トラスもキツイ顔(まさに英国的)で、さもタカ派という困った政治家で女性首相になったが、次のスナク現首相は小柄過ぎて威厳も何もない。ゼレンスキーと一緒に会見しても、この男誰?って言ったところ。

 

教科書で英国首相をみれば、チャーチルは有名すぎるが、古くはディズレーリ、グラッドストン、ロイド・ジョージ、マクミラン、最近ではサッチャー、テリーザ・メイなど政治信条はさておき、皆さんさすが英国の首相という威厳を備えていた。やはり政治家は押し出しがよくないと立派に見えない。

 

おっちょこちょいだがウクライナ戦争のめり込みのボリス・ジョンソンが下らない理由で首相を辞め、それを引き継いだのが外務大臣リズ・トラスだったが、わずか首相在任44日で辞任(2022.10.25)を表明したのは驚きであった。

 

辞任の理由は、ネットの解説を見ると、

「クワーテン財務相がトラスが党首選で公約として掲げていた「法人税率引き上げ凍結」などの減税計画を柱とした「ミニ・バジェット」を発表。しかし、これは政府の借入を前提としたものであったため、政権の財源の不明確な減税策は市場の不信感を招いたことで通貨(ポンド)が下落し、さらに株安やイギリス国債の下落を招くなど経済市場が大混乱に陥った。これを受けて、同月27日にはIMFが「格差を広げる可能性が高い」と警告を発表したほか、同盟関係を組むアメリカのバイデン大統領からも「(イギリス国内の経済混乱は)予測可能なことだ。間違いだと思ったのは私だけではないだろう」と厳しい言葉で批判されるなど、国際的な懸念が広がっていた。」

とか

「減税で歳入を減らすなら歳出も合わせるのが筋なのに「減税するのに歳出増」という矛盾が市場の不信を増幅した。国債の投げ売り、ポンドは対ドル市場最安値、株安など手痛い「市場の洗礼」(エコノミスト誌)を浴びて窮地に陥った。トラス首相は慌てて「盟友」財務相を更迭、目玉となる減税政策の撤回など以後の迷走から辞任に至った」

 

とか言われているのだが、私は、トラスのような戦争大好き首相など嫌いなのだが、これらの経済・財政政策は失敗でもなんでもなく、非常に妥当な経済政策だと思えた。しかし、それがどういうわけか市場の過剰反応により、それを理由に辞めたことは当時から腑に落ちないのであった。

 

特に、政権の財源の不明確な減税策は市場の不信感を招いたなんていうのは、MMTの観点からすれば全く間違いだし、西田参院議員も説明するように、増税とか歳出減といった財源問題などあり得ないし、国債も英国など自国通貨建てで発行すれば、市場の資金など不要なのである。

英国債の金利が急上昇して9/26には英30年債利回りが5%を超えたとのことだが、イングランド銀行(英国の中央銀行)が英国債を無制限に買い取ると発表して国債の金利とポンドの下落が落ち着いたわけで、何ら問題はないはずだった。

 

ネットより。

「イギリスの中央銀行イングランド銀行は、市場からの英国債購入を実施し、いったんは落ち付きを見せました。でも再燃する不安とともにふたたび債券は売られ、足元で10年債利回りは再び4.5%近くまで上がってきましたし、ポンドも売られています。

このようなヤバい状況をうけイングランド銀行は、以下のような声明を発表しました。

「市場の機能不全と、さらなる価格下落を見越して強まる『(国債の)投げ売り』の力学は、英国の金融安定性に重大なリスクをもたらしている」

ちょっと難解な文章ですが、まあ平ったく言えば以下のような感じです。

「英国債はたたき売られているが、市場はもっと英国債が売られると心配してさらに売っている、これが他の金融商品に波及し、金融市場全体(注)が大揺れになる危険性がある」(引用終わり)

 

これはイングランド銀行がでたらめを言っているというしかない。

日本を見よ。日本国債の下落を見込んだ米国のアホな投資家カイル・バスが10年ほど前に日本国債を売り浴びせ(空売り)、日銀が買えばどこまでも買い支えて大損こいたことは有名な話のようなのだ。

つまり、日本銀行と同様、英国イングランド銀行は、国債を投げ売りしてきたらいくらでも国債を買いまくればいいだけの話なのだ。

それなのに、理屈通りにいかず、金融市場の混乱によってリズ・トラスは首相を辞任せざるを得なくなったわけだ。変な話だ。どういうことなんだろう、と当時思った。三橋貴明氏もこの件でブログに改設を書いてくれなかったような気がする。

それではMMTが間違っているのか、といえばそれはありえない。

つまり何かがおかしいのだ。

 

今日、新著、馬渕睦夫×渡辺惣樹「謀略と捏造の二〇〇年戦争」(徳間書店)という本を読み終えた。これはウクライナ戦争や米国の衰退を少し過去から遡って解き明かしたもので、多くの示唆に富んでいるのだが、その中で、リズ・トラスの首相辞任の話が出てきた。(P255~256)馬渕氏による説明である。それは推測ではあるが、衝撃的なものだった。

 

馬渕睦夫 私はトラスの辞任劇、首相就任からたった44日で辞任を表明したことに関して、ノルドストリームの爆破以上に深い闇があるのではないかと推測しています。

辞任した理由はインフレ対策として打った大型減税政策が市場に大混乱を招き、与党内での信用を失ったからだと報じられていますが、そんなことだけで史上最短のイギリス首相の汚名を着せられるはずがない。

 ここで、大胆な仮説を述べると、トラスはロシアの核攻撃という偽旗作戦に関わっていたのではないか―と。

 つまり、こういうことです。実際にイギリスが使用した核をロシアの仕業に仕立て上げる偽旗作戦をトラスに実行せよ、とネオコンが迫り、それを断ったトラスは首相の座から引きずり降ろされたのではないか。

 実際、トラスが辞任を表明したのが10月20日ですが、そのあとすぐにプーチンは米英仏に対して、「ウクライナで核使用が準備されている」という警告を発しているからです。ネオコンは中間選挙の前に本当は実行したかったが、トラスに断られ、米政権ないでも反対意見があったためそれができなかった、と考えられます。

 トラスがまだ外相だった8月に行われた討論会で、「必要とあらば核兵器の発射ボタンを押す用意がある」と表明し、物議をかもしていたことも、彼女に白羽の矢が立つ災いになったのかもしれません。

 もちろん証拠はありませんが、ともかく私が心配しているのは、いずれロシアが核攻撃したという偽旗作戦が実行されるのではないか、ということです。むしろ、英米はプーチンに核を使うよう挑発しているようにみえます。(後略)」

(引用終わり)

 

ネオコンはトラスに核使用の偽旗作戦をさせようとしていたが、さすがにタカ派のトラスも思いとどまったので、ネオコンがトラスに制裁を加えて首相の座を引きずり下ろしたのではないか、というのが馬渕氏の大胆な仮説です。

 

もしこの推測が本当なら広島・長崎に次いで住民に向けての核攻撃が行われたかもしれません。

トラスがタカ派の勢いとロシア打倒という意気込みを持った愚かな政治家であるなら、ロシアに似せて核弾頭(戦術核か)をぶっ放し、何十万人もの犠牲者を出したかもしれません。ロシアがやったことにするわけですから、犠牲者は当然ウクライナ国民です。田舎の中小都市の全滅です。

ゼレンスキーならやるでしょう。しかし、その実行組織、手段(核弾頭を持っていない)を持ち合わせていないからできないが、MI6のような英国諜報機関なら可能となり、すぐさまブチャ虐殺のように「ロシア非難」の大合唱となり、報復としてロシアに核が撃ち込まれるでしょう。それは核戦争という破滅につながる。

 

そういうふうにシミュレーションすれば、トラスが何十万人もの虐殺者になるわけですから、さすがにそれは断った。あくまで推測の話ですが、かなりあり得るはなしではないでしょうか。

というのも、ロシア軍に負け続けるウクライナが起死回生の策としては、この悪魔のような核の偽旗作戦しかもうなくなっているということです。

そして、トラスは報復として首相の座から強制的に引きずり降ろされた。国債暴落などあり得ないにも拘わらず、イングランド銀行らの国債暴落の放置(ネオコン指示)と嘘の説明によりトラスはそれを信じて責任を取った。これが首相辞任の裏事情なのかもしれません。

 

さて、今後ロシア軍の攻勢がさらに続けば、この核使用の偽旗作戦は再び浮上する可能性があります。

ゼレンスキーはポーランドにミサイルを撃ち込み、NATOを直接戦闘に引きずり込もうとしたり、原発にミサイルを撃ち込んで放射能をウクライナ国内ばかりかロシアまで汚染させることを厭わないのです。負け続けるウクライナが偽旗作戦を進んでやる可能性があります。

 

今度の5月のG7はゼレンスキーも参加します。その前にお土産(7千3百億円の支援)を持って岸田はキエフにゼレンスキーに会いに行くでしょう。ウクライナより今はトルコ支援のほうが大事ではないですか。7300億円のうち5000億円ほどはウクライナ政権幹部で山分けすることでしょう。

そんな大金、国会で議論もせずに決まるというのはおかしいのではないだろうか。

 

そして原爆被災国日本で、ロシアとの核戦争のことがひそかに議論されるのでしょうか。とんでもないことです。G7など戦争拡大のための集まりなんですから糞の役にも立たないのです。

このウクライナ戦争が世界大の悲劇にならないようにするためにはトランプに戻ってもらうしかないのではないでしょうか。