何をするにも財源論議が当たり前のように始まる。国債に頼りたくない財務省・政府、マスコミ・多くの国民は、何かの施策をするなら今の施策を止めるか増税かの二者択一を迫られることを当然のように受け入れる。

防衛費論議しかり少子化対策しかり、その他もろもろ。国債は借金であり、後の世代に負担を残すとして、国債を新たな施策の財源とすることに、財務省だけでなく国民も極端に嫌うから、残るは増税しかなくなる。維新の会の身を切る改革なんぞという馬鹿げた施策で財源が出てくるわけはないのだ。

だから、増税。財務省の喜ぶ増税。みんなそれしかないものと諦めている。

 

しかし、国債がそんなに悪いのか。いま60年償還ルールの見直しや償還国債は借換債の発行で繰り返し借り換えしていけば何も問題はないという議論がある。私もそう思うが、一般国民への説明としては不十分だ。つまり借換債が積みあがったら益々借金が膨れ上がり、破裂するときはとんでもないことが起きるんじゃないか、と。

 

MMT派が国債は返さなくていい、と言えば、目を剝いて「借金は返すもんだ。当たり前じゃないか」という答えが返ってくる。しかし、これがすべての躓きの元なのである。

「借金は返すもんだ。国債は借金だ。国債は返さないといけない」というストーリーを言い続ける限り、日本の復活・成長はないのだが、「借金は返すもんだ」という強固な信念というか常識を打ち破らない限り光は見えてこない。

三橋貴明氏は「貨幣観の変換」を説くがあまり成功しているとはいえない。やはり、「借金は返すもんだ」という強固な信念というか常識を覆すに至ってはいないのである。

 

なぜ「借金は返すもんだ」という考えが強固な信念になっているか。(もちろん私も基本的には「借金は返すもんだ」という常識を持っている)

 

湯浅博雄氏の「贈与の系譜学」という本の中で次のように書かれている。

古代思想における正しさの観念、義務・責任の観念

 責任=応答という観念は、恩義=負い目を受けたことを覚えており、それを償う者、返す者としての自己を受け合う意識から生じている面がはっきりと浮き出す。そして、義務の観念(の一部)は、恩=負債を償い、返すことで正しさを実践するように促す感情から生じているように思われる。

義務というのは、根本的に言うと、与えられたもの(借りたもの)を元に戻す義務、与えられた恩=負債を必ず返す義務だと信じられている。それゆえ、<正しい>者であろうとするなら<不正なもの>とみなされる負債=負い目、過ち、罪を、必ず償わなければならない。代償によって返済し、埋め合わせをして、元に戻さなければならない。

このような古代における通念的義務観、正義観から考えれば、過ち、罪によって穢(けが)れている者、負い目に苦しんでいる者たちが、何も返済しないまま「無償」で赦(ゆる)される、といようなことはほとんど考えようのないことである。」

(引用終わり)

 

負債は返すものだという観念は、理屈ではなく湯浅博雄氏の説く如く、古代から我々の意識に強固に定着しているのである。そういう考えが覆ることはほとんどないだろう。

そしてその観念、古代から続く観念「負債=負い目は必ず償わなければならず、何も返済しないまま「無償」で赦(ゆる)される、といようなことはほとんど考えようのないこと」という観念を財務省の官僚は小狡く借用して「国債=借金は返さない」なんてありえないことを都合よく国民に訴え、埋め込んだのである。

 

だから、「借金は返すもんだ」を否定するのは容易なことではない。

それでも「借金は返すもんだ。国債は借金だ。国債は返さないといけない」というストーリーを覆す必要は絶対にあるのである。

そのためには、「借金は返すもんだ」を否定するのではなく、「国債は借金だ」という考え方を否定(国債は借金という形を取っているだけだと)すればいいのである。そうすれば、「国債は返さないといけない」という考えは成り立たなくなり、日本経済ばかりか私たちの生活全般に希望が湧いてくるのである。

 

それには、国債とは何か、をよく知る必要がある。これがわかれば鬼に金棒なのだが、これを理解するのがまた難しい。というのも、多くの経済学者がその理解に失敗しているのであるから、素人の我々がちょっと勉強しただけではなかなか理解が進まないのである。

国債とは何かを説明する理論はMMTという学問なのだが、天動説から地動説への転換を迫るために、どうしても既存の見方で引っかかって先に進まない。貨幣とは何か、とか信用創造とは何か、とか日銀当座預金の仕組みと働きとか…。

 

いま色々な著作やネットでの解説が出ているが、一つの解説として、参議院議員西田昌司氏の国会質疑をテキストにしてみたい。

質疑といっても、西田議員の解説が大部分だ。Youtubeで見ることができるが、じっくり考えるためには文字で読んだ方がいい。そこで国会議事録から引っ張り出して貼り付けておいた。

 

 

文字としては長くなるので、2回に分けたい。Youtubeなら40分もあれば見ることができる。

また、西田議員の国債や財政に関わる国会質疑は過去に何度も行われているので、今後記録として記事にしてみたい。

 

・令和4(2022)年3月15日財政金融委員会

財務省主計局次長 阿久澤孝        

財務省主税局長 住澤整

日本銀行企画局長 清水誠一

 

○西田昌司君 おはようございます。自民党の西田昌司でございます。 今日は、財政がこのままでは破綻するということを現職の事務次官が昨年、衆議院選挙のさなかに月刊誌に発表されまして物議を醸したんですけれども、あの論文を読んでいまして、私は残念ながらこの方は全く財政のことを分かっておられないなと思いました。なぜかというと、つまり国債発行というのは一体何を意味するのかという根本的なところが理解がされていないように思いますので、まず、今日はそのところを皆さん方と一緒にちょっと議論をさせていただきたいと思っています。  
 まず、一番大事なポイントは、信用創造ということなんです。これは、銀行がお金を貸し出すことによって銀行預金が生まれてくると、言わば無から有が生まれてくる、そういう仕組みで、現代の社会の中で当たり前に行われているこれ事実であります。理論ではなくて事実でありますが、まずこの信用創造について日銀さんから説明をしていただきたいと思います。

 

○参考人(日本銀行企画局長清水誠一君) お答え申し上げます。 現実の銀行実務に即して申し上げますと、民間銀行は、家計や企業に資金需要があり、かつ貸出金利が借り手の返済能力や審査費用などに見合った水準にあると判断すれば、貸出しを実行いたします。その際、借り手の預金口座には同額の預金が発生し、ここに信用創造が行われることになるというふうに理解しております。 

 

○西田昌司君 皆さん方には資料を配らせていただいていますが、まず、一番最初に書いてある銀行による貸付ってありますね。これが今、日銀の局長が説明していただいたことです。銀行側は貸付金という資産が生まれるわけですね。そして、反対側に負債として預金というのが生まれると。

で、同じことが、今度は民間のその借りた方の人はどうなるかというと、預金というこの資産が生まれる、そして借入金という負債が生まれる。これは、こういう仕訳で発生するわけですね。

 ここにお金のやり取りというのは一切ないんですよ。ただ単に記帳している、それだけで生まれる。お金のやり取りじゃなくて、記帳して、要するに、これはコンピューターのキー操作で、キーストロークで生まれるとか万年筆で書いて生まれるとか、そういう言い方しますけれども、要するに実物のお金、紙幣が動いたり金が動いたりしているんじゃなくて、こういう情報がお互いにやり取りされることで生まれる、こういうことでいいですね。

 

○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。 先ほど御説明いたしましたとおり、貸出しの際には、借り手の預金口座には同額の預金が発生し、ここに信用創造が行われるというところについては先生御説明のとおりでございます。

 

○西田昌司君 ここが大事なポイントで、ちょっと皆さん方と一緒に確認させていただきたいんですね。そういう、要するに、銀行は、皆さん方がお金を預けた、預けたお金を貸しているというふうに一般的に思われているんですが、現実はそうではないということなんです。預けたお金で貸しているんじゃなくて、何にもないところからお金を貸したら、その貸した人の銀行預金が増える、これが事実だということを今、日銀が言ってくれたわけですね。

 それで、実はこの同じことが、新規国債発行により財政出動すると、そうすると、政府の負債は増えるが同額の民間預金が、預金が民間部門で増えることになるということなんですが、これも事実だと思いますが、日銀の方から説明してください。

 

○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。 こちらも銀行実務に即して申し上げますと、銀行は、国債の金利や償還までの期間といった条件が自らの投資目線に見合うものと判断すれば、国債を購入いたします。その後、政府が国債発行により調達した資金を実際に使いますと、その資金は家計や企業の預金口座に流入し、預金がそれだけ増加いたします。

 このように、銀行の国債購入分だけ民間の預金が増えているという意味で、貸出しの場合と同様、信用創造が行われているということになります。

 

○西田昌司君 今、明確に言ってくれましたね、信用創造と同じことが行われていると。 これをもう少し詳しく説明すると、これ資料がありますが、国債発行による財政出動が事実上の信用創造であると書いていますが、これは、今、日銀が言ったように、まず国債を政府が発行します。そうすると、日銀当座預金、まあ政府預金なんですけれども、日銀にある政府預金がその分増えます。そして政府側は国債という負債を発生させることになります。銀行がこれ新規発行した場合引き受けますから、銀行側では国債を買うと。そして代金として日銀当座預金、まあ準備預金というものですけれども、それを支払うと、こういう仕訳になるわけですね。

 そして、二番目の財政出動。ここは、政府側は財政支出を何かしますと、そのことによって政府預金が出るわけですね、日銀当座預金、政府預金がその分出ていくと。

そして民間側は、例えば財政出動したそれを、工事を例えば民間事業所が公共事業で受けたとしましょう。その場合は、民間の方で自分の銀行預金が増えて売上げというものが立つと、こういうことなんですね。そして、この銀行、民間銀行はどうなるかというと、民間銀行に預金が増えますから、預金が増えた分だけ銀行側は日銀当座預金、準備預金が増えると、こういう仕訳になるわけです。ちょっとこれ複雑ですけれども、これを各部門ごとにまとめたのが次のページなんですよ。  
次のページを見ていただきますと、政府側はどうなるかというと、政府側まとめると、日銀当座預金対国債、それから財政支出対日銀当座預金という仕訳になり、民間側は、先ほど言ったように、預金が増え、売上げが増えると、こういう仕訳になり、そして銀行側はどうなるかというと、国債を購入し、日銀当座預金が出ると。そして民間の企業がお金を預けたことによって、日銀当座預金が増え、銀行預金が貸方に出ると、負債として出ると、こういう形になるんです。

 これをまとめると、要するに相殺するものがありますね、日銀当座預金というのは、それぞれ。これ相殺をしていると、政府部門で行うものは、財政支出、そして国債というこの取引が残るだけであります。それから、民間の方では、預金と売上げという取引が残ると。そして、銀行の方では、国債を購入して銀行預金が増えたと、こういう仕訳になるわけですね。

 これを見ていただきますと分かりますように、要するに、これも全く、銀行の貸付け、銀行から借入れと同じように、政府の負債が増えた分、結局民間側に預金が増えていると、こういうことになるわけです。つまり、財政出動も元手の資金なしにこの預金が発生すると。いわゆる信用創造と全く同じことになっているということであります

 そして、問題は、じゃ、この国債を買うときに、日銀当座預金というので民間銀行買っていますね。だけど、この日銀当座預金というのは一体何なのかということなんですけれども、まず日銀に聞きますのは、新規国債発行を引き受ける銀行の財源、これは日銀当座預金、まあ準備預金とも言いますが、いわゆる預金者から預けられた預金ではないですね。そのことをお聞かせください。

 

○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。 銀行が国債を購入する際には、貸出しの場合とは異なり、即座に預金が発生するわけではないため、一旦何らかの手段で購入資金を用意する必要がございます。すなわち、日銀当座預金などの手元資金を潤沢に保有している場合には、銀行はそれを使って国債を購入するというふうに考えられます。一方、手元資金が不足する場合には、短期金融市場等から必要な資金を調達することになります。

 その後、政府が国債発行により調達した資金を実際に使えば、その資金は家計や企業の預金口座に流入するため、日銀当座預金を復元させたり、市場から調達した資金を返済したりすることが可能になります。その結果、全体のプロセスを通しますと、銀行の国債購入と財政支出による預金増加が見合うことになります。

 

○西田昌司君 今お話しになりましたように、要するに、財政出動することによって民間側に預金が出ると、そしてその購入、国債を購入するための資金は日銀当座預金だと、預金者から預けられているお金でやっているんじゃないということを言ったわけですね。 じゃ、そもそも、その日銀の当座預金、準備預金ということが国債引受けの財源であるということなんですが、それでよろしいですね

 

○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。  銀行が日銀当座預金などから手元資金を、日銀当座預金などの手元資金を潤沢に保有している場合、通常は日銀当座預金を使って国債を購入すると考えられます。その意味では、日銀当座預金が国債購入の財源という言い方も可能かと思います。  一方、銀行の手元資金が不足する場合には、通常、短期金融市場等で資金調達を行い、その資金を使って国債を購入いたします。このケースにおける国債購入の財源は市場経由での借入金になるかというふうに理解できると思います。

 

○西田昌司君 一般論で言っているんですけれどもね。 現実論で聞きますと、今、日銀当座預金は銀行側にもう過剰なほど供給されているんですが、そうじゃないですか。短期金融市場から調達する必要がありますか。

 

○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。日本銀行は、現在、二%の物価安定の目標の実現という金融政策運営上の目的から、イールドカーブコントロールの枠組みの下で、十年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう必要な金額の国債の買入れを行っております。 日本銀行がこうした国債買入れオペレーションを通じまして銀行から国債を買い入れた場合、その分だけ日銀当座預金を供給していることになります。かつ、先生御説明ございましたとおり、現在は潤沢な当座預金が供給されているという状況でございます。

 

○西田昌司君 今言いましたように、潤沢な当座預金が供給されていると、潤沢にね。それで、そもそも日銀が国債を買って準備預金を供給していることを買いオペと言うんですけれども、その買いオペについて、今説明していただいたように、要するに金利調整ですね、日銀が政策目的としている長短金利を今ゼロ%付近にやるために、決済のための口座である日銀当座預金、準備預金口座に潤沢な資金提供をして日銀のそういう政策目的を実行していると、こういうことですね。

 

○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。 先ほど御説明したとおり、日本銀行は、現在、2%の物価安定の目標の実現のため、イールドカーブコントロールという枠組みの下で、短期金利だけではなく、長期金利も低位で安定的に推移するよう必要な金額の国債を行っております。

 そうした下で、2%の物価目標が持続的、安定的に達成された際には、現在の大規模な金融緩和を継続する必要はなくなり、長期金利には上昇圧力が掛かり得るということになります。

 もっとも、現状は物価安定の目標の実現にはなお時間が掛かるというふうに見込まれておりますので、引き続き現在の大規模な金融緩和を継続することは適当であるというふうに判断しております。

 

○西田昌司君 ありがとうございます。 それで、この資料の三ページ目、めくってください。

 三番目に、日銀の買いオペというものをこれまた仕訳で説明しておりますが、日本銀行の方でいうと、国債を買い取ると。ですから、資産としての国債が増える、そして日銀当座預金を供給するという、こういう仕訳になるわけですね。

そして、銀行側は、その国債を売った分、日銀当座預金が増えると、資産としての日銀当座預金が増えると。これが買いオペで、要するに、日銀が政策、要するに金利目標を実行するために、必ずこういう買いオペ、特に今は大胆な異次元な金融緩和でどんどん国債を買い取っていますから、銀行には常に十分な当座預金があるという、この事実を是非皆さん方も御理解いただきたいんです。

 ということで、今までの話をまとめますと、要するに、信用創造、民間の銀行がお金を貸すというのは、無から有をつくる、貸付けをしたらその分のお金が銀行の当座、銀行の預金勘定が増えると、これが事実なんです。

同じく、国債を発行すれば、政府の負債、国債は増えるけれども、その分だけ、財政出動した分だけ民間の企業、家計の預金残高が増えると。ここまでが今私が申し上げてきたことです。そしてさらに、その国債を買い取る資金というのは日銀当座預金なんですけれども、銀行が、その当座預金というのは日銀自体が供給していると、こういうことなんですよ。ですから、まさに無から有をつくる仕組みが、政府と日銀、財政出動、この取引の中でも行われているということです。

ここを理解した上で、先ほど冒頭言いましたように、財務省の事務次官が、このままでは政府が財政破綻すると、この主張をしているわけなんですけれども。私は、財政破綻というのは一体何を意味しているのかよく分からないんですけれども、一般的には、財政破綻というと、いわゆる支払不能、デフォルトですね、デフォルトになると。それから、金利が暴騰してしまってとんでもないことになっちゃうとか、物価が上がって大変なハイパーインフレになる等々言われているんですけれども。何をこの財務次官が言っているのか、具体的なことは書いてないんですけれども、とにかくこのままでは財政破綻が起こると言っているんですけれども、財政破綻起きるんですか。これ、事務方からちょっと説明してください。

 

○政府参考人(財務省主計局次長阿久澤孝君) お答えいたします。 日本の財政につきましては、少子高齢化等を背景として社会保障関係費が大きく増加する中、諸外国と比べて債務残高GDP比が高いなど、厳しい状況にあるということでございます。そうした中で、社会保障制度を持続可能なものとするため、受益と負担のアンバランスという構造的な課題に取り組むなど、歳出歳入両面の改革を進めてきたところでございます。 その上で申し上げれば、年々厳しさを増す財政状況に鑑みますれば、仮に市場等の信認を失うといった事態が発生すれば、金利の上昇などを通じまして、市場からの資金調達が困難となる可能性も否定できないと考えております。このため、政府といたしましては、市場の信認を失うような事態が生じないよう、引き続き財政健全化に取り組んでいくということが重要であると、このように考えております。

 

○西田昌司君 今の意味分かりましたか。まあ財務省の方はそう言うんですね。普通の人は全く分からないんですね。 つまり、市場の信認と言いましたけれども、市場の信認というのは一体どういう意味なの。市場の信認の具体的な意味を教えてください。

 

○政府参考人(阿久澤孝君) 失礼いたします。 ある程度、まさに国債等がちゃんと市場に消化されるということにつきましては、その国債に対する一定の信認というものがなければ消化はなされないということでございます。 従いまして、市場の信認というものが失われますと、市場からの資金調達が困難となるなどの状況が発生すると、このように考えております。

 

○西田昌司君 そこが全くおかしいこと言ったわけですね。要するに、新規国債が消化されますかと、買ってもらえない、市場で買ってもらえなかったら、その市場、要するに国債暴落するとか金利が上がると、こういう話なんですが、今、その前に説明しましたね、日銀が。

新規発行するのは、買うのは誰かといえば銀行が買うんですよ、銀行が。銀行が買うんですが、買うための資金はどこから調達しているかというと、日銀が供給しているんですよ。これ事実なんですよ。

今、阿久澤さんがおっしゃった説明というのはこういうことなんですよ。要するに、市場にお金、まあ預金残高ありますね、あるんだけれども、そのお金から国債は買い支えてもらっていると思っているんですよ。民間預金の残高が今あるからいいけれども、民間預金残高がこれからどんどん高齢化で減ってくるかもしれない、そうなってきたときにそれを買い支えられないんじゃないかと、だからそれが困ると、こういうことでしょう、阿久澤さん、あなたが言いたいのは。

 

○政府参考人(阿久澤孝君) お答え申し上げます。 先ほど来のお話の中で、国債発行による財政支出をすれば、結果として民間預金が増加をするというお話でございました。ただし、個々の銀行などが国債を購入する場合、それは採算性だとか、また金利変動リスクを考慮をする必要がございまして、実際にどれだけの国債を銀行が購入するか、これにつきましては金利の水準などの条件によるものと、このように承知をしています。 したがって、国債発行がある意味無条件に、無制限に行えるということではないと、このように考えております。

 

○西田昌司君 まず、一問一答でいきましょう。 だから、私が言っているのは、国債発行したら新規預金が増えると、これ事実で、これ彼らも認めた、今ね。

国債を買っているのは日銀当座預金の話であって、それは、日銀が金融政策を実行するためにあらかじめ銀行に供給しているお金、それで買っているんですよね。それで、銀行側が新規国債を発行すれば必ず買うんですよ。何で買うか。何で買うかといえば、基本的に準備預金、当座預金というのは、これ金利付いていません、金利ないんですよ、決済用のお金ですから、準備預金というのはね。決済用のお金ですから金利がないんですよ。豚積みしても意味がない。意味がないから、そういう有利子の国債が発行されたら必ずそれを買うんです、そちらの方が得ですからね。そういう仕組みなんですよ、これは。

 ところが、今は、基本的なこと今申しましたけど、今は日銀の金融政策、異次元の金融緩和やっちゃいましたからね。この銀行の方も、国債を取り上げられるばっかりだったら、これはたまりませんから、当座預金にも付利、利息が0・1%でしたかね、付いたりしています。それから、ある一定以上のこの金利、当座預金残高になると、今度はマイナス金利になったりね。 いろいろなこの金融政策上の利息の付き方、マイナス付けたりしていますけれども、原則として、原則として、日銀に聞きますよ、原則として日銀当座預金というのは決済用の、銀行間取引の決済用のお金ですから金利は付かないし、新規国債発行すれば必ず買う。だから日銀の金融政策が有効になるんだから。もし民間銀行が国債買わないとかいう話になっちゃったら日銀の金融政策は全くできなくなっちゃうんで、そこのところ、しっかり答えてください。

(続く)