イェール大学助教授・成田悠輔のどこがすごいのかサッパリわからない。弁舌は爽やかだが、中身は奇を衒うばかり。最近は経済音痴がネットでバカにされている。

東大で大内兵衛賞を取ったらしく経済学者らしいが、経済の初歩もわかっていないようなのだ。

例えばMMT関連。

あるネットテレビ番組での成田の発言

「欧米はここ数年GDPは落ちていて、インフレ率は10%にもなっているのに、日本はここ数年のインフレ率も横ばい、経済成長の横ばいでよくも悪しくも安定している。この横ばい力が日本の魅力として表れてきている。」(成田)

⇒欧米のGDPが落ちているのはここ1~2年でそれまではずっと成長してきたことを知らないのか言わない。ひどいのは日本のGDPの横ばいを「安定」と恥ずかしげもなくいうことだ。日本はここ1~2年横ばいじゃなく、30年横ばいなのであり、ふつうこういうのを「安定」とは言わないし、資本主義経済が30年も横ばいなんて異常と思わないといけない。それを言うことに事欠いて「日本の魅力」だってよ。つまり、成田はこの30年間の日本経済の動きの大もとを全く分析できていないのである。日本だけでなく欧米も。この成田の見解に司会もバカにして笑っていたが。これは奇を衒ってバカを装ったのでなく、正真正銘、経済のことをわかっていないのである。

 

「政府支出したら経済成長すると断言する意味が全くわからない。」(成田)

⇒成田は小学生なのか。こんなことは今どきの中学生もわかる理屈じゃないのか。これで東大大内兵衛賞をほんとに取ったんだろうか。大内兵衛って昔の経済学の大御所でスミスの国富論を翻訳したマルクス経済学者だけど。経済成長ってのは需要がけん引するんじゃなかったのか。政府支出は一番大事な需要だろうに。成田は政府支出を金の分配とのみ考えている節がある。金くばったってインフレになるだけだと。

そこが成田の浅はかなところなのだ。政府支出とは給付金のようなものもあるが、一番大きなものは公共投資だ。それは確実に需要につながる。そういう発想がないから成田は小学生の解ける問題も解けないのである。

 

「仮に日本人全員が100万円国からもらって全員働かなくなっても経済成長したといえるのか。」(成田)

⇒例が荒唐無稽なのが成田らしいが、こいつ本当に経済をわかっているのだろうか。働かなくなるということは供給がゼロになることで全員100万円持っていても買うものがないじゃないか。デフレとは供給が有り余って需要が過少だから起きる現象だ。供給が極端に無ければまさにハイパーインフレだし、経済成長などあるわけがない。供給と需要のバランスで経済が営まれ、成長もし、不況も起きるということ。成田はわざと変な例を挙げているが、そもそも経済がわかっていないからそういう馬鹿げた例を挙げるのだ。しかも自分が経済に疎(うと)いことがバレないと思って。

 

「みんなに100万円配ってハイパーインフレになったらどうするのか」(成田)

⇒たった100万円の支給で日本はハイパーインフレになると思っているらしい成田!インフレのことがわかっていないようだ。経済学者は名ばかりなんだろう。

 

「コロナになって世界は全世帯に数十万円配ったら10%のインフレという大変なことになってしまった。お金を配るとそういうことになる。」(成田)

⇒成田はインフレの区別がつかないらしい。インフレにはデマンドプルインフレとコストプッシュインフレの二種類があることは誰でも知っている。そして、欧米のインフレは資源・エネルギー政策の失敗(特に米国)とウクライナ戦争に原因がある。つまり、コストプッシュインフレといえる。それを成田は欧米のインフレをコストプッシュインフレと捉えず、金を配ったからだと頓珍漢な認識でいるのだ。コロナで金を配ったからインフレになったわけではない。その前から特に米国は財政支出を拡大して景気を上向きにしていた。それで緩やかなインフレ基調となった。これはデマンドプルインフレといわれて望ましいインフレなのだ。

つまり、成田は日本経済も世界経済も全く正しく分析できず、目先の新聞記事程度の解釈しかできていないことがよくわかる。

 

これが天才成田悠輔の正体だ。勝手にテレビ業界その他が作り上げた虚像エセ天才としての成田悠輔。

 

経済も素人、口だけ達者な成田悠輔は2年近く前の発言で物議をかもしていた。これも遠因は経済音痴ゆえのことであるらしい。

「高齢者は集団自決すれば良い」という発言だ。

 

ネットではかなり前から問題になっていたようだが、テレビは特に取り上げず(スター扱いし始めたばかりだからか)に済んでいたが、先日ニューヨーク・タイムズがこの発言を取り上げた。

といってもやはり日本の情報番組は扱わないと思うけど。

 

ニューヨーク・タイムズ

イェール大学の経済学教授は、日本の急速に高齢化社会の負担に対処する方法についていくつかのアイデアを持っている。「唯一の解決策」は、儀式的な腹痛(切腹のこと)を含む高齢者の集団自殺であると彼は言った。

 

これを受けてブライト・バート(オンライン ニュースサイト)は記事を書いている。

「…昨年、集団自殺のアイデアについて詳しく説明するように求められた後、成田は、スウェーデンのカルトがコミュニティの高齢者に崖から飛び降りて自殺させる2019年のホラー映画「ミッドサマー」に描かれているような「社会を作るために一生懸命働く」ことは「良いこと」かもしれないと示唆しました。

「それが良いことであろうとなかろうと、それは答えるのがより難しい質問です」とアイビーリーグの教授成田は言いました。「それで、それが良いと思うなら、そのような社会を作るために一生懸命働くことができるかもしれません。」

安楽死に関しては、成田は「将来的に義務化する可能性」を示唆している。

いくつかの反発に直面した後、37歳の教授成田悠輔は、彼のコメントは「文脈から外された」と述べ、主に若い世代のための場所を作るために高齢者をビジネスと政治のリーダーシップから追い出すための増大する努力に対処していると述べた。

高齢者の集団自殺に関する成田氏の発言に誰もが同意するわけではないが、日本のソーシャルメディアで数十万人のフォロワーを獲得しており、その多くは社会の高齢者によって経済的成功が妨げられていると考える欲求不満の若者であるとNYTは指摘した。

イェール大学の教授の人気が高まるにつれ、彼は雑誌の表紙、コメディショー、エナジードリンクの広告に出演し、中国が所有するTikTokアプリで「模倣者を生み出した」と報告書は付け加えた。

反発に対し、成田は「集団自殺」や「集団切腹」という言葉を「抽象的な比喩」として使っていると主張した。

「私は彼らの潜在的な否定的な意味合いにもっと注意するべきでした」とイェール大学の教授は言いました。「少し内省した後、昨年は言葉を使うのをやめました。」

しかし、コラムニストの藤崎正人はニューズウィーク・ジャパンで、成田氏の発言は「簡単に『比喩』として受け取られるべきではない」と主張し、教授のファンは「老人はもう死んで社会福祉は削減されるべきだと考える人々」であると付け加えた。」

(引用終わり)

 

この件について、1月にノンフィクションライターの窪田順生氏がダイヤモンドオンラインで「成田悠輔氏「高齢者は集団自決」発言を“例え話”と笑っていられない理由」と題してコラムを書いている。

「…イェール大学アシスタント・プロフェッサーの成田悠輔氏の「高齢者は集団自決すれば良い」という発言が批判を浴びている。これに理解を示している人もかなりおり、「尊厳死解禁」へ向けた議論が一気に進んでいく可能性もあるからだ。

 ご存じのない方のために事の経緯を説明しよう。成田氏はさまざまなメディアや講演などで、高齢化社会への対応策として高齢者の「集団自決」「集団切腹」を繰り返し主張してきた。

例えば、21年12月の『ABEMA Prime』ではこんな持論を展開している。

「僕はもう唯一の解決策ははっきりしていると思っていて、結局高齢者の集団自決、集団切腹みたいなものではないかと……」

 その具体的な方法のひとつとして成田氏が挙げているのが「尊厳死」だ。22年1月にNewsPicksで配信された動画でも同様の主張を繰り返して、こんな近未来を予想している。

「安楽死の解禁とか、将来的にあり得る話としては安楽死の強制みたいな話も議論に出てくると思う」

 これを受けて、「発言内容の全体を聞くと、納得できる部分はある」「表現は乱暴だが、見解はまとも」など成田氏の考えを支持する声も少なくないのだ。

 高齢化が急速に進んで、現役世代の社会保障負担が重くなっている日本では今、「老害」への風当たりが非常に強くなっている。若者世代が貧しいのは、高齢者が社会の第一線に居座り続けているからだ、という「世代交代」を望む声も多い。

 そんな高齢者への「ヘイト」が高まっている中で、「米有名大学の経済学者」という極めて権威的なインテリが、「高齢者は集団自決せよ」と主張すれば一気に「尊厳死解禁」議論が進んで、あれよあれよという間に関連法案が通過なんて事態も起こり得る。

「人の命に関わる法律の議論がそんな簡単にホイホイ進むわけないだろ」とあきれる人もいるかもしれない。

あるいは、「成田氏は世代交代のメタファーとして集団自決って言っているだけなんだから、そんなに目クジラを立てなくてもいいのでは」と冷笑する人もいるだろう。

 ただ、歴史を振り返れば、そうも笑っていられない。(中略)」

(引用終わり)

 

問題が大きくなりそうになったので、成田は「集団自殺」や「集団切腹」という言葉を「抽象的な比喩」として使っている、といって誤魔化しているが、「抽象的な比喩」とは何のことなのか。

要するに、高齢者は日本社会に役立っていないから、早く消えてくれ、いなくなってくれ、と言うことを「集団自殺」や「集団切腹」という刺激的な言葉で表したのだろう。

しかしだ。

いくら高齢者の「集団自殺」や「集団切腹」は言い過ぎたと反省しても、成田の頭の中には「高齢者は日本社会に役立っていないから、早く消えてくれ」という思想は厳然としてあるのである。

それがどういう意味を持つのかが問われなければならない。なぜなら、成田悠輔は一応「天才」として売り出して、それで金儲けをしておそらく三浦瑠璃のように日本政府の審議会かなんかに呼ばれて社会に影響力を与える人物(古市憲寿のような空っぽな男ですら政府に重宝がられているのだ)になっていくのだから、こわい思想は問い詰めていかないといけない。

 

成田の言う高齢者の「集団自殺」や「集団切腹」は、若者との世代交代や社会保障費増大の元凶だといっても、その背景には「優生思想」があると私は直感的にそう思った。

成田は極端な物言いをするが、本音がよく表れている。極端な物言いの例として、「究極的にコスパを求めるのなら今すぐ死ぬべきだ」と。まさにどっきりさせて、どう俺って天才だろう、って思わせるわけだ。嫌らしい野郎というしかない。しかし、この言葉、実は養老孟司が使っていたらしい。

 

「役立たずは排除」というのは「優生思想」のことだろう。

先に窪田順生氏のコラムを引用したが、その最後に「ただ、歴史を振り返れば、そうも笑っていられない。」と書かれているが、それは「優生思想」のことなのだ。

 

「…それがどんなに過激であっても、どんなに非人道的なものであっても、知識人から「日本の未来のためだ」と説明されると、「そうだ、そうだ」と国民も納得して、法律もサクサクと成立する。

 そのわかりやすい例が、「世紀の悪法」として知られる「優生保護法」だ。

 1948年に成立したこの法律はその名の通り「優生思想」を色濃く反映しており、「総則」にも「不良な子孫の出生防止」が掲げられていた。そのため、約1万6000人にも上る障害者が不妊手術を強制的に受けさせられた。

 終戦から3年、「基本的人権の尊重」を掲げた新憲法が制定された日本で、なぜこんな非人道的な法律がすんなりと認められたのかというと、多くの国民が納得したからだ。

 では、なぜ納得していたのかというと、権威的な肩書きを持つインテリたちが繰り返し繰り返し、「日本の未来のため」と主張をしてきたからだ。

知識人が全国で触れ回っていた「優生思想」

 実はこの法律ができる(1948)15年くらい前、日本では「優生思想」が空前の大ブームとなっていた。さまざまな知識人が「日本の未来のためには、障害者や犯罪者は子孫を残すべきではない」と主張をしていた。(中略)

「高齢者の集団自決」などあり得ないと笑う人もいるだろうが、我々は民主主義の社会になってから、「障害者への断種」を強いる悪法をつくった前科もあることを忘れてはいけない。

 気がついたら、高齢者を安楽死へ促すような法律ができていても、おかしくないのではないか。」

(引用終わり)

 

窪田順生氏は成田悠輔の言葉遣いに過去の「優生保護法」の亡霊を見たのである。

「優生思想」といえばナチスである。しかし、この「優生思想」はナチスの専売特許ではない。過去の先進国では普通に認められていたのである。それは今でも地下の伏流水となって流れているのではないか。

 

生物学者池田清彦氏は書く。

「(難病女性患者に薬物を投与して死亡させたとして医師二人が嘱託殺人の疑いで逮捕された。)医師二人の考えは、「役に立たない者」「生きている価値のない者」は死んだ方がいいと考える、明らかな優生思想です。優生思想が厄介なのは、それが浅薄な思考実験からのみ生み出されるというわけではなく、現在の国民の不満や不安をすくい取りながら、別の思惑や動機を巻き込んで巨大な怪物となって社会を覆いつくす点にあります。」

(「現代優生学の脅威」池田清彦)

 

「高齢者の集団自決」とは、まさに究極的なコスパと言えるだろう。

何故、高齢者が邪魔なのか、世代間交代の主張には少し納得できるところがある。しかし、年齢も一種の差別思想である。(とはいうものの高齢者が若者世代の活躍の場を邪魔するのはいただけません。席は譲るべき時は譲るがいいのです。)

しかし、社会保障費の増大に耐えられない、税金の無駄遣いになるから高齢者は邪魔、といった途端に財政についての無知さが露呈してしまう。少子化問題もしかり、防衛費もしかり、財源問題という財政に無知な者が無駄に思考を費やしているのである。

 

天才成田悠輔は経済学特にMMTなどは全く不勉強なので、この社会保障費の増大の解決を「高齢者の集団自決」という悪魔のような馬鹿げた思想で安易に解決しようとしたわけだ。

これが天才なんですか。天才ならMMTをちょっと齧ればその意味が分かるはずなんですがねえ。

 

結局、財政健全化、財政が破綻するという、もう陳腐というしかなくなった財政思想が世の中をダメにする根源であり、高齢者は集団自決せよ、というのもそういう考えが枷(かせ)になった結果の思考だと思われる。

といっても、成田悠輔の「優生思想」は経済問題ではない「役に立たない者は不要」という天才の思考が横たわっているかもしれないが。