官僚の劣化とはこれを言うのかもしれない。これは小学生でもわかる「ミス」ではないのか。経産省のエリート官僚のやることか。(官僚の言うことか、じゃないよ。)
酒も女もないところで「しらふ」の発言だから、脇が甘いというか、オフレコということを無邪気に信じてしまった愚か役人というか、よく首相秘書官という重責を今までやっていけたもんだと呆れてしまう。相手をよく見ろよ。
「性的少数者傷つける発言」を「政策立案に関わる首相秘書官がこうした人権意識を持っていることは重大な問題だと判断した」からオフレコ破りをしたと毎日新聞は言うが、大臣とか有力政治家の発言ならいざ知らず、一介の役人の軽率発言にこうまで騒ぐのはかなりの「意図」を感じざるを得ない。
まず、首相秘書官は政策立案に関わる役職なんだろうか。よく知らないが、内閣官房の役人なら政策立案に関わる役職だろうが、首相秘書官はいわゆる「リエゾン・オフィサー」ではないのか。日本語に訳せば連絡将校。つまり組織間の連絡・調整を担って、組織をつなぐ役割を果たす者。だから政策立案になんか関わっていないと思うよ。補佐官じゃないよ、秘書官。
問題の秘書官は事務担当秘書官で、ウィキには「主な業務は首相のスケジュールの最終的な調整を担当することであるが、それ以外にも首相の命を受けて政権の重要政策や政府各部門の調整をしたり、首相と与党、時によっては野党との密かな連絡調整役となったりするなど、多岐に亘る。また、与党政治家との会合や週末の遊説など首相の政治案件にも同行する。」と書かれている。つまり、「政策立案に関わる」なんてことはない。毎日新聞がオフレコ破りを正当化するために、この秘書官の仕事を過大に盛ったに過ぎないんじゃないか。そこが毎日新聞のいやらしいところだ。
だから、普通の役人の発言が仮に人権意識が低くてもオフレコの場であり、特段大上段に記事に書かれ、糾弾されるものではありえない、と思うが。これも問題にされる発言かな。
しかし、毎日新聞は、「重大な問題だと判断した」というのは、別の意図つまりこの秘書官が普通の大臣秘書官でなく、「首相」秘書官だということから、これなら政権批判に使えるとして「重大な問題だ」にしようと判断したのではないか。
そもそもこのオフレコ取材が怪しいもので、それに対する秘書官の警戒感が無さすぎるのである。
オフレコとは、本音を話してほしい、ということだ。そして、それは「ここだけの話」つまり記録はしないと。そういう場としての取材が、平日はほぼ定例化しているという。つまり、表向きは本音を聞き出して事の背景や裏の動きを詳しく知ったり、言葉のニュアンスから本音の本音を嗅ぎ出すために行われていると思われるが、実は、ひっかけとして、問題発言を手ぐすねを引いて待っていたのではないか。
オフレコは両者の信頼関係に成り立っているのだが、記者のほうは最初から信頼関係を守る気などさらさらない。今回の「性的少数者傷つける発言は「重大な問題」だ」と判断してオフレコ破りをしたわけだが、「重大な問題」という判断は、常に記者側に委ねられているのだから、いつでもオフレコ破りをするという本音を今回ばらしてしまったわけだ。
まあ、そんなことは優秀な官僚であれば、説明しなくてもそのくらい分かりそうなものだが、海千山千の記者連中につい騙されてしまった。
それは投資詐欺やギャンブル詐欺の手口と同様な手口に引っかかってしまったのだと思われる。
投資詐欺やギャンブル詐欺の手口というのは、最初は必ず儲けさせてくれて安心させるのである。そしておもむろに大金をつぎ込ませてあとはいいようにされて大金がパーとなる。これが常套手段だ。
つまり、この記者連中の手口もこの投資詐欺やギャンブル詐欺の手口と同じだと思われる。
彼らもこの秘書官に最初は安心させて油断させたのである。
というのは、おそらくこれまでこの秘書官相当きわどい発言を記者連の前でしてきたのではないかと想像をたくましくする。だから、このオフレコ取材は何を言っても大丈夫だと安心した。投資詐欺で言えば、最初は儲けさせてくれたわけだ。
そして、それがエスカレートして、記事にして政権批判ができる話題、謝罪しても済まない話題の失言を捉えて、記者(毎日新聞)は牙を剥(む)いた。
網にかかった虫というか蟻地獄に落ちた虫というかもう逃げられない秘書官はようやく騙されたと気づいたに違いない。まさに愚かな役人というしかないだろう。
しかし、これで毎日行われる定例のオフレコ取材はどうなるか。
役人がアホ発言をしたのだから、役人からオフレコ取材を拒否するわけにはいくまい。しかし、もうオフレコ取材の意味は無くなる。本音を語る取材など不可能になる。当たり前だ。オフレコといっても、ことによってはオフレコ破りをしますと宣言されて、それでも本音を語るバカ役人なんているだろうか。いるわけがない。
つまり、毎日新聞によるオフレコ破りにより、記者連は大事な本音の取材機会を失ったのである。
今回のオフレコ破りはすべての記者が示し合せてやったわけではなく、毎日新聞のみがスクープとしてオフレコ破りをした。だから、毎日の記者は鼻が高いが、他の新聞記者からすれば、勝手なことをしやがって、これからの取材がしにくくなっちまったじゃねえか。どう落とし前を付けてくれるんだ、と恨みに思ったに違いない。
この毎日のオフレコ破りを聞いて、第二次世界大戦中のイギリスの「コベントリーの悲劇」を思い浮かべる。
コベントリーの悲劇は、イギリスの情報機関が暗号機「エニグマ」を解読して、ドイツがコベントリーを爆撃することをチャーチルに知らせたが、暗号を解読できていることをドイツに知らせないためにコベントリーを見捨てたという話である。
1940年11月14日の夜、約500機のドイツ軍の爆撃機が爆弾と焼夷弾を使用した絨毯爆撃を行い、死傷者約1,200名を出すこととなった。
この爆撃について、当時のイギリス首相ウィンストン・チャーチルはその回顧録において爆撃を事前に知っていたと述べており、イギリスがドイツ軍の暗号を解読したことを秘匿するため敢えて避難指示を行わず、多くの市民を犠牲にしたという、戦時の指導者の非情さを物語るエピソードとして語られた。
(とはいっても、実際は攻撃があるということは解読できていたが、場所は特定できていなかったようであるが。)
つまり、オフレコの話とは、暗号機を通じてのやり取りと同じことだ。本音は暗号の中に隠されている。オフレコ破りとは、暗号を解読したよ、とドイツ軍に知らせたのと同じであり、その後はエニグマ暗号を改良して暗号解読を不可能にしてしまっただろう。
つまり、解読していないということが大事なのと同様に、オフレコだから外部に漏らすことはしませんよ、ということが本音取材をするうえで一番重要なのである。
毎日新聞はオフレコ破りをすること、つまりコベントリーにドイツ軍が空襲してくるということを市民に伝えたわけだ。市民の多くは避難できたかもしれないが、その後ドイツ軍からの情報取得は困難になり、多くの兵士が犠牲になったかもしれない。そして今後官僚からの取材はかなり制限されることになるだろう。
もちろん、市民の命は重要ではあるが、毎日のオフレコ破りはそれに匹敵するものなんだろうか。
私は毎日新聞が「性的少数者傷つける発言は重大な問題」だから記事にした、とは到底思えない。
「性的少数者傷つける発言は重大な問題」とは、手段でしかなく、目的は岸田政権非難の材料とすることだ。毎日に殊勝な考えがあるわけがない。
といっても、岸田政権などどうでもいい、というよりトンデモ政権なんだから、いやらしい手段を弄さずにもっと正攻法で政策で岸田を問い詰めてほしいものだ、ねえ、毎日新聞さん。