昨日に引き続き、6年半前の旧記事で活断層理論の地震学者批判です。熊本地震による誘発地震を推定する地震学者を揶揄しています。

それをヴォルテールの「寛容論」で扱われているジャン・カラス異端迫害冤罪事件と比べて論じてみました。

 

暇な地震学者の、馬鹿げた誘発地震推定 カラス事件と活断層理論

2016-05-12

 先ほどNHK7時のニュースで、熊本地震が800キロも離れた神奈川県箱根町で小規模な誘発地震を引き起こしたと京都大学防災研究所の宮澤准教授が解析したと報道した。何とも呆れたというかバカバカしい解析であることよ。

 

ニュース内容は以下の通り。

M7.3の地震 関東でも地震を誘発(今日(5.12)のNHK7時のニュース)

 先月、熊本県で起きたマグニチュード7.3の大地震では、震源から800キロ余り離れた神奈川県西部でも規模の小さな別の地震が誘発されていたことが分かりました。

 京都大学防災研究所の宮澤理稔准教授は、全国に設置されたおよそ1000か所の地震計のデータをもとに、先月16日のマグニチュード7.3の大地震直後の各地の地震活動を解析しました。

 その結果、震源から800キロ余り離れた神奈川県西部の箱根町では、マグニチュード7.3の地震の地震波が到達した2分余りあとから、少なくとも4回の地震が起きていたことが分かり、ごく小さな規模で、その後周辺の地震活動や火山活動に変化は見られないということです。

 宮澤准教授によりますと、箱根町の地震のほかにも長野県や秋田県などでも、体に揺れを感じないごく小規模な揺れとみられる波形が確認されていて、これらも誘発された地震の可能性があるということです。

 規模の大きな地震によって遠く離れた場所で小規模の地震が誘発されたケースは、5年前の東北沖の巨大地震でも確認されていて、宮澤准教授は「火山地帯など、もともと地震が起きやすいところでは大地震の影響で離れた場所でも地震が誘発されうる。今回の地震の規模が大きかったことを改めて示している」と話しています。」

 

 おバカな地震学者によると地震原因は「歪みの開放」だから、この誘発地震も当然「歪みの開放」だろう。800キロも離れたところまで地震を引き起こしたとは、熊本地震のエネルギーは凄かったとでも言いたいんだろうが、ちょっとおかしくねえか。

 

 日本列島は最近地震が頻繁に起きてるし、地震の巣だとかなんとかいってるよね。ということは、日本列島のそこいらじゅうに「歪み」が溜まっているところがあって、ある一定の刺激でその「歪みの開放」され、大きな地震か小さな地震が起きる可能性があるわけだ。

 

 そこで素人の疑問が出てくる。日本列島のそこいらじゅうに「歪み」が溜まっているなら、なんで箱根だけで誘発地震が起きたんだい?もっと全国至る所で誘発地震が起きてもよさそうに思うけどねえ。

 大分での地震は誘発地震かもしれない。なら、四国や関西等の中央構造線上の歪みが沢山溜まっていそうなところで地震が誘発されないのはどういう訳なんだろうね。

 ここまで考えてくると、普通に考えるのは箱根の地震は独立した地震、たまたま熊本地震直後に偶然起きたと考えるのが普通じゃないのかねえ。

 体に感じないような微かな地震は日本全国いたるところ、いつでも起きているのじゃないのか。だから地震学者なら、まずは偶然のつまり独立した地震と考えるべきじゃないのか。

 

 そういう説明をしないで、新発見のように800キロ先で誘発地震が起きたなんて得意げに、しかもNHKニュースで発表するなんて、手柄を立てたと思って舞い上がってしまった小保方さんを彷彿させるよ。

でも、小保方さんと違うのは、宮澤さんに賛成する地震学者しかいないからボロが出ないということだね。だから、適当なことをいっても平気でいられるんだ。

 誘発地震というわけのわからない地震理論を信じ込んでしまっているから、枯れ尾花も幽霊に見えてしまうんだ。

 

 今ヴォルテールの「寛容論」という本を読んでいるけど、最近の地震学者ってのは、「寛容論」で描かれたカラス事件という冤罪を作りだした裁判官のようなものとしきりに感じている。

 

カラス事件というのは、以下のような事件だ。

「1761年南フランス,ツールーズの新教徒商人ジャン・カラスをめぐる異端迫害の冤罪裁判事件。旧教に改宗した長男の息子マルク=アントワーヌが自殺体で発見されたとき、父親カラスが殺したものと疑われツールーズ高等法院の判決により車裂きの刑を受けた。」

もう少し詳しく事件を見てみる。

 

「(前略)その日、カラス家の遠縁でゴベール・ラヴェスという20歳の青年がカラス家を訪れていた。彼はボルドーで航海術を学んでトゥールーズに帰ったのでカラス家に夕食に招かれていた。

住居兼店舗のカラス家は一階が店舗で二階が住居にあたる。カラス夫妻、長男マルク=アントワーヌ、次男ピエール、ゴベール・ラヴェスが食卓を囲み、ジャンヌ・ヴィギエールが給仕をする。食事が済むとマルクは中座して一階へと降りていった。

夜九時半ごろ、夜も深まりゴベールがそろそろ帰宅しようと席を立ち、次男ピエールと階段を下りると、店へのドアが半開きになっている。

不思議に思った二人はドアを開けて店を覗きこみ、思わず大声を上げた。長男マルク=アントワーヌが店から倉庫に通じる扉に紐をくくりつけて、首を吊っていたのである。

 何事かとカラス夫妻も階下に降りてきて、急ぎ医者を呼びに行かせるが、マルクはすでに息絶えていた。見るからに自殺であったが、当時、自殺は大罪である。自殺者は財産が没収され遺体は市中引き回しの上で埋葬も許されない。

どうやら後の証言によると、このときジャン・カラスは動転して深く考えないまま、息子の名誉を重んじて他殺を装おうと紐をほどいたらしい。

 

 カラス家での夜半の大騒ぎに周囲はすぐに人だかりができ、市参事ダヴィッド・ド・ボードリグが判事を伴って現場に到着、よく調べもせずにカラス家にいた五人を逮捕する。

トゥールーズ市参事は領主から裁判権を委任され警察と裁判の両方の責任者を兼ねた八人の役人で構成される役職である。ボードリグ市参事は一報を受けたときから新教徒による他殺という固定観念があったらしく、カラス家の人びとによる殺人という思い込みを前提とした恣意的な捜査・取調べが繰り返されることになる。(中略)

 

 はなから自殺の可能性は排除され、改宗しようと悩む青年が狂信的な新教徒一家の共謀によって殺害された、という思い込みだけで構成されたストーリーである。

…取調べ過程で自供を促すためジャン・カラスに対する拷問が繰り返されたが、彼が殺害を認めることはなかったし、また、カラス一家がマルク=アントワーヌを殺害した証拠も見つからなかった。

 …最期の瞬間まで無実を訴え続けたジャン・カラスの姿に神父は「われわれの殉教者たちも、こうして死んだのだ」と語ったという。

また、聴衆の一人はその処刑の様子をこう書きとめた。「カラスはその最後の瞬間まで絶えず自己の無実を主張し、神をその証人とした」

 そして同時に死刑判決を下した裁判官やボードリグを初めとする捜査関係者たちを大いに動揺させることになった。ただの老人であり、拷問に堪え切れるものではなく、すぐに自白すると思っていたのに、最後まで無実を訴え続けたのだ。その痛ましい姿は一気にトゥールーズの世論をカラス一家無実へと大きく転換させて、恣意的な取調をおこなった市役所や有罪判決を下した法院への批判となって向かいそうな雰囲気ですらある。

 

 3月18日、法院は次男ピエールを終身追放刑、他の被告を全員釈放するという判決を下した。しかし、そうなるとこの判決はジャン・カラス氏を有罪とした前の判決と大いに矛盾する。老人のジャン・カラス氏が一人で29歳の青年を絞殺できないであろうことは衆目の一致するところだったからである。

有罪判決は共犯者の存在が前提となっていたのに、共犯者がいなければ、そもそもの判決が揺らぐ。これらの批判を封殺するために彼らは策をめぐらした。(後略)」

 

 長々と引用したが、定説地震学が次々と地震メカニズムを作り出すのと構図がそっくりだからだ

 裁判官はまずジャン・カラス氏が息子殺しの犯人と決めつけた。街全体がそういう雰囲気を作り出していたからだ。

しかし、「老人のジャン・カラス氏が一人で29歳の青年を絞殺できないであろうことは衆目の一致するところだったからである。有罪判決は共犯者の存在が前提となっていた。」

 つまり、カラス氏を犯人とするためには、論理必然的に共犯者がいなければならなかった。だから、証拠もなにもなくても、共犯者がいたと論理的に証明したのだ。そしてそれがほころびはじめると「これらの批判を封殺するために彼らは策をめぐらした。」

 まず犯人を決めてかかる。これは近代の犯罪捜査にはありえないことだが、カラス事件は不幸なことにそこから全てが始まった。

 

 地震学も同じだ。ここでのカラス氏に該当するのは、活断層理論、プレートテクトニクス理論、そして溜まった歪みの解放というものだ。定説地震学は全てここから出発し、あとは論理と想像力しかない。その二つで共犯者を探していく。

 

 800キロ離れた誘発地震も共犯者なんだ。犯人ありきでは、そこから出てくるお話は、彼らのなかでは十分筋が通っているのだが、社会的にはなんら説得力は持たず、次から次へとほころびが出てくる。ほころびが出てくれば「繕う」しかない。

つまりは新たなストーリーの創造(想像)だ。いつまでたっても真実には到達しない。犯人だという断定自体を疑わなくては埒が開かないというところまできているのだ。

 

 800キロ離れたところでも誘発地震が起きたと主張する京都大学防災研究所の宮澤准教授に伺いたい。

 先月16日に熊本県で発生した深夜の地震の直後に私は突然くしゃみをしたのだけれど、これは熊本地震が誘発したくしゃみですよね、きっと。

もしそれが本当なら、凄い発見じゃないですか。熊本地震は誘発地震だけでなく、800キロ以上も先で(私は東京西部在住)誘発くしゃみも引き起こしたのですから。

冗談ですよ。でも、800キロ先での誘発地震もこれと同じようなものでしょ?