世界が左翼化する中で特に激しかったスウェーデンの極左政府に国民が「ノー」を突きつけたのだろう。

総選挙で右派政党スウェーデン民主党が議席を伸ばして第2党になる勢いだという。

移民政策にノーを突きつけた国民の意志が反映しているのだろうが、先般急にアンデション首相がNATOに加盟すると言いだして、国家の安全保障を毀損した責任も問われた可能性がある。

 

【ロンドン】北欧スウェーデンで11日、議会選(一院制、定数349)の投票が行われた。治安対策などが争点となり、スウェーデン公共放送によると、反移民を掲げる極右政党・スウェーデン民主党が議席を伸ばして第2党になる勢いだ。与野党の両陣営の獲得予測議席は伯仲しており、マグダレナ・アンデション首相が続投できるかどうかは見通せない。

 開票率94%時点で、アンデション氏率いる与党・社会民主労働党は108議席で第1党となる見通しだが、同党主導の中道左派4党の合計議席は過半数に届いていない。

(引用終り)

 

このニュース報道に限らず、欧州で保守右派が躍進すると必ずと言っていいほど、「極右」とレッテル貼りをする。フランスのマリーヌ・ルペン率いる「国民戦線」(現・国民連合)も極右の政策をかなり前に修正して国民が大統領に選んだ(マクロンは選挙不正-マクロンジャンプ-で大統領を盗んだ)にも関わらず、日本は未だにルペンを「極右」と呼ぶ。

日本の報道機関は左翼だから、右派の躍進が気に入らないから「極右」と貶めるのである。

 

今回もほとんどの新聞はスウェーデン民主党を極右政党と呼んでナチスのような印象操作をする。ウクライナのネオナチには全く寛容で、ウクライナのナチスなら礼賛して恥じないのに。

 

だから私は右派を極右というなら、左派は極左と呼んでもいいはずと考え、表題には「総選挙で極左与党が敗北」と付けてみた。

なお、不思議なことに、ネットの朝日新聞は、スウェーデン民主党やキリスト教民主党、自由党を右派陣営と極右でなくまともな呼び方をしている。

 

スウェーデンを日本人は福祉その他で理想の国のような幻想を持っているが、実態は大違いのようだ。

「世界のニュース・トトメス5世」というブログが以下のように書く。(2021.12.5)

 

『理想の国スウェーデン』の悔やみきれない移民政策失敗

2015年スウェーデンの難民歓迎集会、1年で人口の2%の移民を受け入れ、キリストかモーゼのように出迎えた。

北欧の大失敗

日本ではマスコミを中心に北欧を理想の国と見なす傾向があり、地上の楽園のように語られる。特に男女平等、死刑廃止、移民政策、自然エネルギー、福祉政策で理想化されることが多い。

だが当の北欧の人はそう思っておらず、特に移民政策では後悔している人が多い。

2015年頃にその手の記事を多く書いたので覚えているが、北欧では難民受け入れを聖書の出来事のように受け入れた。

聖書に『出エジプト記』というのがあり、エジプトで働かされていたユダヤ人を、モーゼが引き連れて脱出させる。スウェーデンなどは中東から到着した難民らを、モーゼに導かれた民のように熱狂的に大歓迎した。難民たちは聖人のように扱われ、政府は無条件で受け入れると表明した。

ここまでは良かったが、いざ一緒に暮らしてみると難民たちは控えめに言っても先進国の洗練された人達とは違った。

スウェーデンが直面している移民問題の一つが財政悪化で、ほとんどの移民が働いていないので、政府が生活費を出している。

そこで政府は「スウェーデン語を学び高校で勉強し働きなさい」と呼びかけたが、応じる人は少ない。

資本主義先進国は国民全員が勤労意欲と高い教養を持つのを前提にしているが、移民はどちらも持っていない。働かなくても政府が養ってくれるのなら、働こうと思わないし学校で勉強したいとも思わない。

悔やんでも悔やみきれないスウェーデン人

母国で生きるか死ぬかの体験をしてきた難民にとっては、北欧は地上の楽園のように見えている。

難民を受け入れた時北欧の人々は、自分たちがイエスキリストになったような気持ちで「私たちが地球を救うのだ」と言っていた。

移民のもう一つの問題は高い犯罪率で、北欧は欧州でもっとも治安が悪くなり、あらゆる犯罪発生率が日本の10倍だ。日本のマスコミはここの所は巧妙に隠しておいて、「移民で出生率が上がった」ような部分だけを褒める。

北欧のすべての国では子供を外で遊ばせることはできなくなり、女性の1人歩きもできなくなった。

スウェーデンの長期服役者の53%、失業者の58%が外国生まれで、福祉予算の65%を受給している。

さらにスウェーデンの子供の貧困の77%は移民系世帯、銃撃事件の容疑者の90%は移民系(経済学者のティノ・サナンダジ)

世論調査で以前は58%が移民を歓迎していたが今は40%に減少した。おそらく移民を歓迎している40%は移民系のスウェーデン人だと思われる。

移民や難民受け入れの深刻さは、一度受け入れると撤回や修正が不可能な点だ。

移民はすでに国内で生活基盤や資産を築いているので、どんなに排斥しても絶対に出ていかない。もう北欧は受け入れた移民をどうする事もできず、彼らは圧倒的に出生率が高いのでどんどん増えていくだろう。

(引用終り)

 

ちょっと古いコラムだが、鐙麻樹という北欧ジャーナリスト・写真家が次のように書いている。

ノルウェー移民大臣「スウェーデンは移民統合政策の失敗例」と強調しはじめる

鐙麻樹北欧ジャーナリスト・写真家・ノルウェー国際報道協会役員

2016/5/12(木)

スウェーデンの例をみれば、どれだけ狂気じみた事態になりかねないかが、十分にわかるでしょう。ノルウェーがスウェーデンのようにならないように、私は毎日の業務に励むことを約束します。」

4月末、ノルウェーで移民・難民政策に最も厳しいとされる進歩党(与党・右翼ポピュリスト政党)での全国集会で、シルヴィ・リストハウグ移民・社会統合大臣(同党)が壇上で語った言葉だ。進歩党の会場は、大きな拍手に包まれた。

過激な発言で物議を醸しやすい同大臣だが、彼女の正直な言葉は、メディアの見出しを連日大きく飾る。そのことを熟知してのことだろうか。同大臣は今、隣国スウェーデンを「移民政策の失敗例」として強調しはじめ、「気持ちと理想だけで、スウェーデンのように大量に難民申請者を受け入れてしまえば、ノルウェーも同じような結果を招く」というメッセージを発信しはじめた。

 

ノルウェーの記者がスウェーデンの移民地区で脅される

さらに、移民大臣の言説に新たなエネルギーを注ぐこととなったのが、ノルウェー国営放送局の記者たちを襲った事件だ。

5月6日、国内で高い視聴率を記録する夕方の報道番組ダーグスレヴィーエンの取材のために、敏腕記者マグヌス氏をはじめとするテレビ局一行が、スウェーデンを訪れた。現場は、移民統合政策が失敗した地域といわれているリンケビーとフースビーだ。

フースビーのカフェ内でインタビュー中、現場にいた一部の若者が「何を撮影しているんだ」、「フースビーで取材するな」と罵声を浴び始め、撮影クルーは避難。カメラマンは「ここで撮影するのは得策ではない」と話し、一行が店を出る際には、「パン、パン、パン!」と銃声を連想させる音を若者たちが叫んだ。現地の警察に同行中、若者たちから石を投げられる警官の様子などを番組はレポートした。

その内容は、平和な国「北欧」のイメージからは程遠く、紛争地のような危険を感じさせ、ノルウェー国内に大きな衝撃を与えた。

リストハウグ移民・社会統合大臣は、9日の国営放送局での放送で、「ニュースを見た人は、スウェーデンでの状況に、誰もがショックを覚えたことでしょう。ナイーブで優しすぎる移民政策が引き起こしてしまう末路、これがその証拠です」と話した。

 

優しすぎる理想的な移民政策はクレイジー

11日、ノルウェー政府と関係各所での集まりでは、同大臣が新たな移民統合政策案を発表。壇上で、同大臣はスウェーデンを移民政策統合の失敗例の代表として、あらためて強調。

「スウェーデンのように、移民や難民が労働市場に参加せずに、初期段階で受け入れ可能数の限界を超えてまでも受け入れてしまうことが、どれだけクレイジーなことか」を語った。

今回発表されたノルウェー政府の政策案資料でも、移民の社会統合に失敗したエリアは治安が悪くなるとし、犯罪率が増加、警察の仕事が困難になると記載されている。

欧州での事例として、スウェーデンのヨーテボリが挙げられている。同時に資料では、ノルウェーでも、「国の法律を破り、移民グループによる独自の文化が形成された別社会、パラレル(平行)社会が生まれかねない」と警報が鳴らされている。

 

「スウェーデンは失敗例」と大臣はなぜ強調しはじめたのか?

今、スウェーデンの社会統合の成功例は、報道・議論されていない。大臣が強調するのは失敗例だ。

ノルウェーの隣国であるスウェーデンは、文化や言語も近く、ノルウェー人にとっては最も身近に感じる外国となる。ドイツなどの欧州他国での出来事を例にするよりも、隣のスウェーデンでの現状のほうが、ノルウェー人にとっては現実味が帯びる。その心理状態が、現状に反映されているともとれる。

厳しすぎると批判を浴びがちな同大臣と進歩党だが、大臣のフェイスブックは、「素晴らしい」、「これからも頑張ってください」という支持者からのコメントで溢れかえっている。

(引用終り)

 

急激な移民増加による社会不安とそれに対処しようとしないスウェーデンの極左政府に、スウェーデン国民はノーを突きつけた。それにNATO加盟という安全保障を危機に晒す選択を国民に何ら相談せずに突き進んだマグダレナ・アンデション首相にノーを突きつけたのである。

 

昨日も書いたが、欧州のEUや新自由主義者のエリート政治家と左派らが政府を牛耳ってトンデモナイ方向に国を向かわせていることに、欧州各国の国民が気づいてノーを言い始めたのである。

選挙不正がない限り、欧州国民の意志は正しい方向に向かっている。しかし、それだけ切羽詰まっているということでもある。

日本はどうなのだろうか。

 

「茹でカエル」という言い方が流行ったが、今の日本は「冷えカエル」状態ではないか

カエルは、いきなり熱湯に入れると驚いて逃げ出すが、常温の水に入れて水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失い最後には死んでしまう(茹でガエル)。

つまり人間は、急激な変化には危機意識が働くが、緩慢な変化にはそれに慣れすぎて危機的な状態に対応するタイミングを逃してしまう。日本の経営はそんな状態なのではないか、と昔はいわれていた。

 

そんなことで大丈夫なのかという警鐘なのだが、今や不況で冷え切った経済社会、左翼的氷の状況の中では、徐々に熱くなっていく水温ではなく、ドンドン冷えていく水温で凍りついていくのに気がつかない「冷えカエル」日本人と言った方が相応しいのではないか、という思いが強い。

 

このままでは、どんなに切羽詰まった状況になっても欧州の国民のように「ノー」の声を上げないかもしれない。

今挙げている「国葬にノー」「統一教会にノー」は全く茶番だし、こんな下らないことにノーをいくら突きつけても暮らしも経済も文化も良くなっていくことはないだろう。