中国江蘇省蘇州でのこと。

中国女性が浴衣姿で写真を取っていたら、警官に咎められ、連行されたという。

 

フジテレビ、昨日(8.17)夕方の「イット!」より。

「中国江蘇省蘇州市で、日本の人気漫画の主人公をまねた浴衣姿で撮影をしていた中国人女性を警察当局が公共秩序騒乱の疑いで連行したとする動画が出回り、物議を醸している。

警察「中国人としてどうなんだ! 君は中国人なんだぞ!

中国・蘇州市の日本の飲食店などが多く並んでいる繁華街で、ピンクの浴衣を着た中国人の女性が警察に詰め寄られた。

女性「写真を撮りに来ただけです」
警察「中国の服を着ていれば何も言わない。君が着ているのは日本の浴衣じゃないか!」

「浴衣を着ている」という理由で怒鳴りつけられた女性。このあと、警察に連行された。どんな罪を犯したというのだろうか。

女性「理由は何ですか?」
警察「騒動挑発罪だ! わかったか!」

浴衣を着ていただけで、「騒ぎを起こし、秩序を乱した」という。

女性は警察に5時間拘束され、浴衣も没収された。」

(引用終り)

新聞記事より。

「…女性の投稿にネットユーザーからは「なぜ中国人が中国で和服を着なければならないのか」などの声があるものの少数で、

「動画と説明を見たけど、あなたは民族感情を傷つけることは何もしていない。自分を責めないでほしい」

「どういう服を着るかは個人の自由だ」

「職権乱用では?」

「これが2022年に起こることか?外国人が漢服を着たら現地の警察に捕まるってのか?」

「怒鳴り声を聞いたら、警察官の方が挑発しているように感じるのだが」

「それなら警察はすべての日本料理店を閉店させればいいだろう」

など、多くは警察の取り締まりを批判する声だった。」

(引用終り)

 

この警官は中国の愛国者なんだと思う。愛国心の発露とは、いい悪いは別にして、感情面から発せられるからこういうことになるのかもしれない。

日本なら正論爺さんが出てきて咎めるだけだが、中国では警官が出てきてしまう。

警官による愛国心の発露はやり過ぎになる。公共秩序騒乱容疑は無理やりの取って付けたような罪状だろう。

 

しかし、中国のネットは韓国と違って常識があっていい。警察権力をキチンと批判するなど健全なものを感じさせる。

「それなら警察はすべての日本料理店を閉店させればいいだろう」なんて、警官はグーの音も出ないだろう。

昔日本製品ボイコット騒ぎが中国であったが、あれはどうなったのか。浴衣姿を咎めるのはその名残なのかもしれない。

 

日本で同様なことを想像したらどうなるだろう。

例えばインド人がターバンを巻いたり、女性がサリーを着て渋谷を歩いても何の問題にはならない。

中国人が人民服を着て街を歩く、しかも集団でならどうだろう。

もちろん誰にも咎められないが、恐らく日本人は見ていていい気持ちはしないだろう。

チャイナドレスの女性ならみんな喜んで見るかもしれないがね。

 

私が学生のころ、つまり50年以上も前のことだが、まだ文化大革命や毛沢東が崇拝されていたころ、同じ大学の学生が人民服を着て、毛沢東語録を持って歩いていたら、私服警官に尋問されたと聞いたことがあった。この学生、もちろん冗談というか刑事を挑発するためにやっただけなんだが。当時は公安警察も真面目だったんだ。

 

さて、インド人と中国人の違いは、それぞれの国との関係如何がある種の感情を催したりしなかったりするんだろう。浴衣姿の中国人女性を咎めた警官に、日本を見る目や思いが険しいことが察せられる。

 

警官に「中国の服を着ていれば何も言わない。君が着ているのは日本の浴衣じゃないか!」

と言われた浴衣女性はどのように反論すればよかったのか。

 

浴衣女性「貴方の服は中国の服なんですか。それは西洋由来のシャツじゃないですか」

警官「うるさい、お前の浴衣を問題にしているんだ。日本の浴衣を!」

浴衣女性「日本の浴衣、浴衣というけど、これってメイド・イン・チャイナよ!」

 

そう日本製の着物や服なんてもうどこにもないんだ。警官に「メイド・イン・チャイナ」のタグを見せれば、ニンマリして許してくれたかも、ね。

 

それはそうと、「女性は警察に5時間拘束され、浴衣も没収された」とあるけど、浴衣を没収して、女性を裸にひんむいたら、今度は警官の方が逮捕されるんじゃないのかね。