昨日は英ジョンソン首相の率いる閣僚二人が辞任し、今日は更に一人が辞意を表明。かつ多数の政権幹部が抗議の辞任を発表して、ガラガラとジョンソン政権崩壊に至った。

先日の保守党内信任投票では、4割が首相に不信任を表明するなど、ジョンソンもバイデン同様かなり人気が急落していたようだ。世論調査では、支持率が21%にまで落ち込んでいたとのこと。

 

その理由として、新型コロナ流行下でのパーティー開催問題や性的スキャンダルで辞任した党幹部の任命を巡る不誠実な対応を挙げているが、日本の自民党攻撃に類似しているが、本当にそれだけだったのだろうか。

 

情報社会であっても、各国の抱える問題はよくわからない。アメリカや中国、カナダ等で起きていることは、最近は、張陽チャネル、カナダ人ニュース、Harano Times、及川幸久チャンネル、石平の中国週刊ニュース、妙弗DEEP MAX等のYouTubeを見れば、かなり詳しく分かり、地上波ジャーナリスト以上の情報を持つことができる。

 

しかし、英国やフランスその他の国については、余程積極的に調べにいかないとわからない。

英国の国内事情はあまりわからないから、ジョンソンが英国内でどんな評価を受けているか、もうひとつなので、今回のジョンソンの辞意理由もマスコミが伝えるパーティー開催問題がそんなに批判されていたのか、日本のモリカケサクラのようなものか、と思ってしまう。

 

しかし、常識を働かせれば、モリカケサクラのようなバカげた理由で、保守党内の多くがジョンソンに離反すると思うほうがおかしい、ということになるのではないか。

 

私の勝手な予想というか直感は、英国が、つまりジョンソンがウクライナに余りにのめり込んで、武器を送り、ウクライナ兵を訓練し、ゼレンスキーを戦争を止めさせまいと尻を叩く。米国バイデンよりも熱心にウクライナ戦争を仕掛けて、ロシアと対峙して、制裁を掛けるジョンソンに、今やっと英国保守党はそのジョンソンのやり過ぎときな臭さに疑問を持ち始めて、反旗を翻したのではないかと思うのである。

 

NHKの解説はウクライナに関連して次のようにQ&Aを書く。

Q ウクライナを含めて世界への影響はどうなる?
A ジョンソン首相は、アメリカのバイデン大統領などと歩調を合わせる形で軍事侵攻を続けるロシアへの圧力を強めてきました。ヨーロッパのなかではプーチン大統領に対する厳しい姿勢は際だっていました。また、ウクライナを訪問してゼレンスキー大統領と会談し、もっとも理解ある指導者の1人だとも評価されてきました。
 先月開かれたG7やNATOの首脳会議でも、ウクライナを軍事的にも積極的に支援する姿勢を示してきました。ロシアへの圧力で結束を目指してきたヨーロッパにおいて、ロシアに対してとりわけ厳しい姿勢を示してきたジョンソン首相が辞任を表明したことでどのような影響が出るか注目されます。

(引用終り)

 

NHKはウクライナ問題で「G7やNATOの首脳会議でも、ウクライナを軍事的にも積極的に支援する姿勢を示してきました。ロシアへの圧力で結束を目指してきたヨーロッパにおいて、ロシアに対してとりわけ厳しい姿勢を示してきたジョンソン首相」と伝えるだけで、英国民がジョンソンのウクライナへの強硬姿勢についてどう見ているかなど全く伝えようとしない。

 

しかし、これは当然ともいえる。いま西側はどこでもそうだが、ウクライナ支援は国是、となってしまっている。国連もしかりだ。ウクライナ支援疲れとか支援に疑問を持つとかしたら、「ロシアの回し者か!」と責められるというのが、世間相場なのである。

 

つまりロシアを利するような言動はご法度なのだ。それができたのは、先日のキッシンジャー講演ぐらいなものだ。

しかし、ロシアへの経済制裁がこれほどまでに自分の首を絞めるとは思わなかったと今西側の国民は思い始めている。それがウクライナ疲れだ。ウクライナの大義が薄れ始めているのだ。

 

恐らく、英国国民も薄々ウクライナに対するジョンソンののめり込みもおかしい、と気が付き始めた。

保守党の政治家もそう思い始めた。このままジョンソンにウクライナ強硬策を任せていたら、取り返しのつかないことになるかもしれない、と思い始めたのではないか。

そしてジョンソンを何とか引きずり降ろそうと。

 

しかし、ジョンソンのウクライナ政策を表から批判することは今のところ不可能だ。それなら、日本のように、というのは冗談だが、どうでもいい理由、下らない理由のパーティー開催問題や性的スキャンダル党幹部の任命等でジョンソンを打とうと保守党内のジョンソン批判派が一致したのではないだろうか。

 

私の直感が当たっているかどうかは、ジョンソン後の首相がウクライナにどういう態度を示すかで分かってくるはずだ。

しかし、それには少し時間がかかる。まだウクライナが善となっているからだ。

この傾向を崩すには、英国主導(MI6)のプロパガンダ、つまりロシアの虐殺その他について徐々に軌道修正することが必要だ。

虐殺がウクライナゼレンスキー政権の捏造だとわかれば、英国も堂々と軌道修正が可能となる。つまり、ウクライナ武器支援については抑制していくということになろう。

 

これが世界の流れになれば、後はアメリカののめり込みを抑えていく流れができる。ゼレンスキーも停戦交渉に真面目に参加するしかなくなるのである。

 

つまり、ジョンソンの退陣が、ウクライナ政策批判に起因する造反によるものなら、世界に少しの希望が見えてくると言えるのだが。