ウクライナとロシアの情報戦。ロシアを圧倒して連戦連勝のようだ。

表のメディアは、ウクライナは善、ロシアは極悪としてしか描かないが、送られる画像はなんとも胡散くさいものばかりで、信用できない。

前回も書いたし、誰もが言うことだが、ウクライナに侵攻したロシア・プーチンが悪いに決まっている。

しかし、それを言い募るだけでは、このロシア侵攻の本当の姿が見えてこない。

国際政治は相手があって動いている。侵略戦争ですら勝手に生起するものではない。

 

今回のウクライナ侵攻したロシア・プーチンについても、なぜこんなバカなことをしたのかと問わないといけない。

ウクライナは単純にロシアに侵略された訳ではない。ウクライナの後ろにはアメリカのネオコンや国際金融資本がついていることも事実だし、プーチンも単なる侵略者ではなく、西欧による経済・文化支配に抵抗するという思想的な事柄にも思いを致さなければなるまい。

 

この戦争についての保守派の分裂は痛ましい。

ロシアを責め、ウクライナを手放しで擁護する論者たちは、中国の日本侵略を念頭に置いている。ここでロシアに理解を示したら、中国による日本侵略に抵抗できなくなると。だから、ウクライナを日本になぞらえて、ロシアに抵抗せよ、日本も中国からの侵略には戦うぞ、と。そのためにウクライナの抱える問題については一言も言及しない。だから暗躍するネオコンもスルーだ。

 

しかし、一方の保守派は、アメリカの意図、静かなる侵略の意図、西欧的経済と政治の理念への最大の障害であるプーチンを徹底的に潰したいという意図をこの戦争に探ろうとする。

といっても、当然ロシアのウクライナ侵略を是とするわけではない。しかし、ウクライナを善、ロシアを悪と切って捨てて、それで終りとするわけにはいかないのだ。

 

ジャーナリストの山口敬之氏によるウクライナ侵略の解説が非常に的を射ていると思われる。

この問題発生から山口氏は初めて独自のYouTubeチャンネルを開設した。

【山口敬之のわかる!「ウクライナ」】

このなかで、現在はまだ2回だが、ウクライナ・ロシア戦争を独自な視点から解説している。

(チャネルの案内文)

「ジャーナリスト山口敬之が戦争から政局まで徹底解説。記念すべき第一弾は「大手メディアが伝えないウクライナ戦争の真実」の第一回目。

ウクライナ戦争解説第2弾は、バイデン大統領がプーチンの戦争突入を止めなかったばかりか、地上戦に突っ込むよう仕向けていた事を「2つの前提事実」と「3つの証拠」から徹底解説。

「地上戦」の先にあるものは「ウクライナの紛争地化」。この戦争の先行きを見通すために不可欠なアメリカの本音を分析します。」

 

詳しくはこのYouTubeを見てほしいが、山口氏は、バイデンがプーチンに対して、ウクライナ侵攻を仕掛けた結果だと。つまり、プーチンがウクライナに侵略しないように行動するのではなく、侵攻を誘うかのような示唆、シグナルばかり送っていた、つまりアメリカは戦争を望んでいたと解説する。

 

これはロシアが、太平洋戦争に突入した日本に似ているといえないか。日米開戦も日本は戦争せざるを得なくなるように仕組まれたのと同じ構図だ。

 

さて、ウクライナの英雄となったゼレンスキー大統領。

最近は欧米先進各国の議会をハイジャックして、滔滔とオンライン演説をして拍手喝采を浴びている。現代的といえるが、前代未聞のことだ。

しかし、これは胡散臭いパフォーマンスというしかない。ウクライナは侵略された被害国だから、演説の要求に拒否などできない。しかし、その演説内容は、結局軍事支援要求なのだが、下手をすれば戦争に参加して我々を助けよという要求となる。真面目に受け取れば、第三次世界大戦にしてくれということだ。ウクライナの為に世界大戦はまっぴら御免だが。

 

演説内容は当然スピーチライターが書いたものと思われるが、各国の歴史に合わせた印象深いものに作られているようだ。英国では、チャーチルの言葉を引用したようだ。

 

「…ゼレンスキー氏は、ロシアによる侵攻で日を追うごとに子どもを含む民間人の犠牲が増えている現状を訴える一方で、「われわれは降伏しないし、敗北もしない」と強調した。さらに「われわれは森で、平原で、海岸で、市街で戦い抜く」と決意を示した。
 この言葉は、第2次世界大戦時に英国を率いたチャーチル元首相が、ナチス・ドイツの攻勢を受け仏ダンケルクから撤退した直後の1940年6月に議会で演説した際の表現を想起させるものだった。」

 

アメリカ連邦議会では、

真珠湾攻撃を思い出してほしい。1941年12月7日、あの、おぞましい朝のことを。あなた方の国の空が、攻撃してくる戦闘機で、黒く染まった時のことを。9月11日(同時多発テロ)を思い出してほしい。2001年のあのおぞましい日のことを。悪があなた方の都市を、独立国の領土を、戦場にしようとした時のことを。私たちはこの3週間、毎日、毎晩、同じことを経験している」

 

ゼレンスキーはアメリカの議員に向かって、「真珠湾攻撃を思い出せ」と訴えたが、単純なアメリカ議員に対しては、効果的であったかもしれないが、日本人からすれば、もう多くの人々が、あの日米戦争はアメリカから仕掛けられたと思っている。

つまり、図らずもゼレンスキーはロシアによる侵略を真珠湾攻撃に例えることによって、ロシアもまたアメリカによってウクライナ侵攻を仕掛けられたということを認めてしまったことになるのではないか。

 

日本の国会もウクライナの要請によって、近々ゼレンスキー演説が国会で行われるだろう。

そこでは、どんな歴史的事実が使われて、ウクライナ支援を求めるのだろうか。

 

私が想像するに、一つは、日ソ中立条約を破って満洲に侵攻し、あわよくば北海道をも占領しようとしたソ連の非道に言及するかもしれない。

 

しかし、日本はどちらかというと近現代史的には侵略国として扱われている。

従って、支援を求めるに苦難を思い起こさせるのでなく、叱責することさえ考えられる。というのも、ドイツ議会でのゼレンスキーの演説は、ドイツを叱責しているのだ。ゼレンスキーも偉くなったものだ。

 

「ドイツはロシアとの経済関係を深めて戦費を稼がせた上、ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟などの要望をはぐらかし、ウクライナと欧州の間に「新たな壁」をつくることに加担してきたと批判した。

 ゼレンスキー氏は、ドイツが計画凍結を余儀なくされたロシアからの天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」について、以前からドイツに「戦争への準備だと警告してきたが、受け取った答えは経済的な計画だということだった。経済、経済、経済だ」と、ドイツが土壇場まで計画を維持したことを糾弾した。その上で「今、ベルリンの壁ではなく、欧州に自由と不自由を隔てる壁ができている。その壁は爆弾が落ちるたび、ウクライナを助ける決定が見送られるたびに高くなる」と述べ、ショルツ独首相に「壁を壊してほしい」と訴えた。」 

 

このドイツへのゼレンスキーの糾弾模様からすれば、日本が支那に侵略し、アジアに侵略し敗北し、手痛い被害を受けたことに言及し、その罪を悔い改めよと上から目線で要求してくるかもしれない。

あるいは、最後の本土決戦の決意、一億総特攻を称賛してくるかもしれない。

それよりもウクライナの市民が日々死んでいるとの訴えに、広島・長崎の原爆投下の悲惨さを例えて、そして無辜の民に原爆を投下したアメリカの悪魔の所業を糾弾してほしいものだ。アメリカの傀儡にできるわけないが。

 

私はこんなあからさまな情報戦、国会までハイジャックされた宣伝活動には反対である。

なんというか、直観的に変なのだから。

 

ロシアがなぜキエフ近郊まで迫っていても、なかなか一気に侵攻してこないのは何故なのか。

単にウクライナ軍の抵抗が思ったより強い、ということではあるまい。

ロシアは思ったより自制的な戦闘をしているのではないか、とも思えるからだ。つまり一般市民への被害を最小にと考えている可能性もある。

 

さて、国際政治評論家の田中宇氏のレポートが興味深い。

(これは全部フェイクだといってしまえばそれまでだ。フェイクと主張する側もフェイクを流しているのは明らかなのだから。)

「…ロシアはゼレンスキー大統領を留任させたまま、ウクライナを反露から親露(露傀儡)に転換させて、ウクライナ戦争を終わりにしたい。ロシアは、ウクライナをできるだけ手付かずのまま親露に転換させたいので、ウクライナの市民が死んだり難民になるのを望んでいない。ロシアはウクライナの諸都市を破壊して廃墟にしたいんだという見方は大間違いである。だが今後、米欧が不利になるほど、米欧日の報道は現実からの乖離がひどくなる。

ウクライナで現在、露軍を攻撃しているのは正規軍でなく、ウクライナ政府内務省(諜報機関)配下の極右民兵団だけだ。ウクライナ内務省は米諜報界の傀儡であり、極右民兵団は2014年のマイダン革命以後に強化された、ロシアとロシア系住民を敵視するための米傀儡組織だ。極右民兵団は、ウクライナ諸都市の住宅街に兵器を持ち込み、住民を「人間の盾」にする国際法違反・人道犯罪の戦法でロシア軍を攻撃してくる。

また、ウクライナ東部や北部の対露国境近くの諸都市にはロシア系住民が多く住み、極右民兵団はロシア系住民を狙って攻撃してくる。露軍は、これらの極右からの攻撃に対処せねばならない。

露軍はウクライナ政府と交渉し、極右民兵団が入り込んで「人間の盾」にされている住宅街の住民を住宅街の外に強制的に避難させるための「人道回廊」を作っている。

ウクライナ政府が住民を避難させた後、さらに極右が攻撃してきた場合は露軍が反撃する。市民は死なないが街区は破壊される。しかし、ウクライナ内務省傘下の極右が撃ってきたのだから露軍としては正当防衛だ。この手の展開の一つが、マリウポリで露軍が破壊した無人の(極右だけが立てこもっていた)小児科病院だった。

この件で非難されるべきはロシアでなく極右民兵団を擁するウクライナ政府だ。マリウポリは、すでにウクライナから分離独立したドネツク州にあるが、ウクライナ側が掌握してきた。

 

米欧日の報道では、露軍がウクライナ諸都市に作った人道回廊を通って強制的に避難民にさせられたウクライナ市民が、ポーランドなどに難民として逃げているかのような図式が描かれている。だが、人道回廊が設けられる諸都市の合計で避難民はおそらく10万人以下だ。キエフ郊外のホストメル国際空港を占拠した露軍を目がけて極右が攻撃してくるイルピン以外の人道回廊の指定地は、ウクライナの東部と北部にあり、東部や北部に多く住むロシア系住民が難民として移動するなら、行き先はポーランドでなくロシアだ。ウクライナのロシア系市民は、ロシア国籍をもらえるので難民にならない。

人道回廊の指定地以外のウクライナでは激しい戦闘が起きていない。首都キエフで戦闘になっているのは空港近くのイルピンだけだ。後述する動画も示しているように、他の市街地は無傷だ。ウクライナの極右民兵が人道犯罪の人間の盾戦法をとるので人道回廊が必要になっていることを、米欧日のマスコミは報じない。マスコミこそ人道犯罪組織だ。

 

…ロシアは、ウクライナを親露国(傀儡国家)に戻したい。2014年に米国がマイダン革命を起こしてウクライナを政権転覆してロシア敵視・米英傀儡の国に変えるまで、ウクライナはおおむね親露的だった。ロシアは開戦時にウクライナの空軍力をほぼ全滅させ、制空権を握っている。制空権を奪われているので米欧はウクライナに軍事支援できない。ウクライナ側は戦闘手段の多くを失ったので露軍と戦えない(極右の民兵団が住民を人間の盾にして露軍を攻撃してくるだけ)。ゼレンスキー大統領(米傀儡)のウクライナ政府はロシアに対して降参するしかないが、ゼレンスキーの親分である米国は降参を許さず、事態が膠着している。」

 

また、田中氏はウクライナの大量難民についても疑問を呈する。そう言われれば、そんな気がする。難民もポーランド国境沿いでの姿は見るが、100万も200万もの難民となれば、大きな町がいくつも出来てしまい、ポーランドだけで抱えることはできない。どこに難民キャンプがあるのか。みんなもうドイツやフランスへ出国したのか。そんな姿をみることもない。

 

「ウクライナ戦争で250万人のウクライナ市民が難民としてポーランドなど近隣諸国に流入していると喧伝されている。私は、250万という人数などウクライナ難民危機の全体像が、かなり誇張されているのでないかと思っている。250万人のうち170万人がポーランドに流入したことになっているが、ポーランドはロシア敵視の国だ。露軍侵攻で発生した難民数が多いほどロシアに汚名を着せられて好都合だ。スロバキア、ルーマニアなど、他の難民流入諸国もロシアと敵対している。敵の極悪さを誇張するプロパガンダは、戦争の当然の特徴の一つだ。ポーランドなどが難民数を誇張するのは当然だ。誇張されていないと思う方が間抜けだ。国連は各国が出してきた数字を合計しているだけだ。

開戦前からの1か月ほどの間に、ポーランドに170万人の難民が流入したとなると、大きな難民キャンプをいくつか作らねばならないが、そういったものは作られていない。代わりに難民たちは、ポーランド人の家に民泊したり、町の体育館を開放してもらっているそうだ。「ロシアの極悪と対照的なポーランド人の隣人愛」を、米欧マスコミが称賛している。

だが、民泊や体育館だけでは170万人のごく一部しか収容できない。実際は、民泊や体育館で事足りるぐらいの難民数なのでないか。ポーランドの対ウクライナ国境の町プシェミシルは人口が6万人だ。

 

ウクライナから難民の多くは鉄道で近隣諸国に越境していると報じられている。時刻表によると、ウクライナの首都キエフからポーランド国境近くのリヴィウまでは毎日20-30本の列車がある。これらのすべてに難民が満員に乗って逃げているとして、1日の総数は2-3万人だ。1か月で170万人になるには少なすぎる。後述するように、実際の列車は満員でもない。鉄道の話でいうと、ポーランド政府はドイツ行きの列車にウクライナ難民を乗せて送り出しており、ドイツ政府がポーランド政府に、やめてくれと要請した。ドイツのマスコミによると毎日1.5万人の難民がポーランドから押し寄せているという。この人数も、ドイツとポーランドの間の鉄道の旅客容量の多くを占めていると思われ、誇張が感じられる。

少し前、ウクライナ政府は露軍侵攻で2千人以上の市民が殺されたと発表したが、国連が発表した死者数はその8分の1の249人だった。ウクライナ政府は被害を8倍にするプロパガンダを発していた。ポーランドなどウクライナ周辺のロシア敵視諸国が発表している難民総数も8倍の誇張だとすると、難民総数は170万人でなく22万人になる。雑駁だが。

ロシアはウクライナで難民の発生をできるだけ抑える策をとっており、それはおおむね成功している。そのため、ウクライナの難民危機の話の方がロシア敵視の誇張だと思える。」

(引用終り)

 

これらの情報について、ナザレンコ・アンドリーなら、恐らく「全部ウソです」というに違いない。今では私はナザレンコ・アンドリーの言う多くのことのほうが「嘘」だと思っているが。工作員ナザレンコ・アンドリー。