ほらふき男とこどもの会話。

ほらふき「君、最近はお金が無くても買い物ができるようになったんだ。知ってるかい。」

こども「ホントに?お金がなくても買い物ができるなら、僕、ゲーム機がほしいな」

ほらふき「いまお金は持っているのかい。」

こども「持っていないよ」

ほらふき「お金を持っていなくても、クレジットカードさえあればゲーム機は買えるんだ。」

こども「わあ、すごい。でもクレジットカードは持ってないんだけど」

ほらふき「お父さんのクレジットカードを使えばいい」

こども「お父さんのクレジットカードを借りてきたよ。」

ほらふき「じゃあ、ゲーム機を買いに行こう。(ゲーム機を買って支払いに)支払いはクレジットカードを示すだけなんだ。現金は必要ないんだ。ほらゲーム機が現金なしで買えただろ。」

こども「すごい。お金がなくてもクレジットカードがあば何でも買えるんだ。お父さんに知らせてくるね」

 

父親「おい、パパのクレジットカードをどこに持っていった?」

こども「男の人がクレジットカードを示せば、現金なしでゲーム機が買えるっていったから、カードで買ったんだ。すごいよね。パパ、儲かったね。このクレジットカードって魔法の杖みたいで何でも買えちゃうんだね。」

父親「勝手にカードを持っていっちゃだめだよ。お前は騙されたんだよ。お金を払わずにモノが買えるわけないじゃないか。」

こども「ほんとうだよ。お金を払わずにゲーム機が買えたんだもの。ほら、ここに。」

父親「ばかだね。クレジットカードを使ってモノを買ったら、その時現金は不要だけど、後でクレジットカード会社からパパ宛に請求が来て、銀行口座から支払わなくちゃいけないんだ。ただ、ゲーム機を買う時お店で支払う現金が要らないと言うだけなんだよ。」

こども「なんだ、そういうことか。ただお店での支払いにお金が要らないということだけなんだ。結局代金は後で支払わないといけないんだね。まあ、考えてみれば当たり前だよね。世の中そんな甘くはないよね。

でも、あのおじさんは、クレジットカードを使えば、さも現金は不要でモノが買えるといっていた気がするなあ。みんな、あのおじさんの話を信じてしまっているのかなあ。」

父親「目先のことだけで判断しちゃいけないよ。常識というものを働かせば、世の中に甘い話はそうそうないってことさ。わかったかい。」

 

この話、特別なことは言っていません。ここではクレジットカードを例に取りましたが、スマホ決済のペイペイなども同じでしょう。

支払い時現金不要だからといって、支払い自体が不要なんて思うバカな人間は一人もいません。

 

でも、再生可能エネルギーや電気自動車EVCO2を排出しない、と言われると「そうなんだ、エコなんだ」と思ってしまいます。NHKですら、CO2削減の為にメガソーラーやEVを早く普及させよ、外国に後れを取るなと煽ります。

しかし、少し常識を働かせれば、「電気自動車EVCO2を排出しない」ということがクレジットカードやペイペイと同じことがわかるはずです。

 

クレジットカードは店頭支払い時に現金は不要である。でも後日支払いが必要である。

電気自動車EVは走行時CO2を排出しない。でもEV製造時大量の資源とエネルギーを必要とする。つまり、製造時に大量のCO2を排出する。それ以外に走行のための蓄えた電力を作る際にもCO2を大量に排出しているのです。

要は「電気自動車EVは走行時CO2を排出しない」とは、さも全体でもCO2を排出しないと思わせるほらふき男の説明と同じ欺瞞的なものといえるのです。

 

さて、EVとエコについてとても分かりやすい解説記事がありました。カー雑誌グーネット編集部による記事です。

「環境にやさしい」と言われるEV車。本当にエコなのかじっくり考えてみた

EV車が環境にやさしいと言われる理由

近年、一般的なガソリン車は環境に影響を与える存在として徐々に認知されています。その理由に、世界的に問題となっている地球温暖化の要因の1つである二酸化炭素があります。
ガソリン車から排出される二酸化炭素は、日本国内だけで年間約9850万トン排出されています。さらに、窒素酸化物や粒子状物質などが含まれている排気ガスによって、大気汚染も引き起こすことが挙げられます。
それに比べて、EV車の燃料は電気のみです。ガソリン車に搭載されているようなエンジンはなく、電気でモーターを稼働させることによって走行します。もちろん燃料を燃やすこともないので、二酸化炭素はもちろん排気ガスも排出されません。
つまり走行中の部分のみを見れば、EV車はガソリン車よりもはるかに環境にやさしいのです。

また、地球上の限りある資源の内の1つである石油を使用しないことも、環境にやさしいと言われている要因でしょう。

EV車の本体は環境にやさしい?

EV車はガソリン車よりもはるかに環境にやさしい」と上の項で述べましたが、これには「走行中の部分のみを見れば」という前提条件がつきます。

その理由は、EV車においての製造からメンテナンス、廃車に至るまでの流れを考えると、ガソリン車よりもエネルギーを使っている可能性があるからです。
まず、車を工場で生産するためには組み立てや塗装など、ラインを稼働させるエネルギーが必要になります。さらに原材料のところまで遡れば、必要になるエネルギーはさらに膨大なものになります。つまり、車が出来上がるまでに環境破壊を含めた可能性のある膨大なエネルギーが費やされているのです。
また、EV車には高性能なバッテリーが必要となります。このバッテリーの開発・製造においても膨大なエネルギーが使用されており、車本体のみで考えた場合、環境にやさしいのはむしろガソリン車の方と言えるかもしれません。

EV車を動かす電気の発電方法は?

また、もう1つ考えなければいけないのが電力です。EV車を動かす電気を作るためにも二酸化炭素は排出されています。こちらは発電方法によって異なるので、ここでは日本で導入されている代表的な3つの発電方法を二酸化炭素排出量と共にご紹介します。(後略)

 

もう少し詳しいEV批判の記事です。

最近脱炭素、再エネ・EV批判で頑張っているキヤノングローバル戦略研究所杉山大志氏のコラムです。

 

電気自動車は本命なのか、技術の歴史から考える後編

EU2035年にガソリン車の販売を禁止—というニュースが世界を駆け巡ったように、「ガソリン自動車やハイブリッド自動車はもう古い、これからは電気自動車(EV)だ、欧州はすでに先行していて、日本は遅れている」―こんな意見をよくメディアで見かける。しかし、電気自動車は本当に未来の本命技術だと断言できるのだろうか。

 

EVは本当に環境に優しいのか

EVは環境に優しいという触れ込みで推進されている。だがこれはどこまで本当だろうか。
EVICE(ガソリンおよびディーゼル自動車などの内燃機関自動車)に比べると、排気ガスを出さず、騒音も少ないのは本当だ。この点は間違いはない。ただしアスファルトの上をタイヤで走るので粉塵を出すとか、重量が重ければ振動があるといった点はICEと何ら変わらない。

★CO2排出面
EVCO2が少ないかどうかは電気を何で造るかによる。いま脱炭素ブームで、欧州や日本では将来は電気のCO2はゼロになるという前提のもと、EVの方がCO2が少ないとされている。
けれども、本当に電気のCO2がゼロになるかは、だいぶ疑わしい。原子力はどこの国も政治的に反対する人々がいて、一本調子で推進が進む訳ではない。
太陽光発電と風力発電はまだコストも高いし、太陽任せ、風任せで出力は不安定であるという根本的な問題が解決していないので、導入量には限界がある。
バイオエネルギーによる発電は、利用する土地の造成のために生態系が破壊されるなどの理由で、かなり批判されるようになってきた。
結局のところ、発電のかなりの割合は天然ガス火力や石炭火力で賄われ続けるのではないか。ならば、バッテリー製造時のエネルギー消費が多いEVICEHEVに対する優位性は揺らぐことになる。

中国のように石炭火力がまだ主力の国でバッテリーを生産するならば、EVの方がライフサイクルで見てCO2が多いということもありうる。

 

原料面
レアアースやレアメタルなどの希少金属の投入が多いという点ではEVの方がICEよりも環境負荷が大きい。
EVはモーターにネオジムなどのレアアースを使い、バッテリーにコバルトなどのレアメタルを使うものが多い。レアアース、レアメタルとも、中国企業によって採掘・精錬されているものが多く、水質汚染などの環境問題を世界各地で引き起こしている。

特にコバルトは世界の半分がコンゴで産出されて、児童労働との関係が疑われている(アムネスティ・インターナショナル報告)。 
今後、中国依存、環境影響、人権侵害などで何らかの問題のあるとされる原料は、他の原料で代替したり、国産化するなどの方法で調達方法が改善されてゆくは思うが、大きなモーターとバッテリーが必要だということ、そのために多くの原料投入が必要だというのは、ICEと比較したときのEVの宿命であり、覆りそうにない。

またEVのためには発電所や送電線も建設しなければならない。

EVICEに比べて「脱物質」などではない。むしろその逆で原料の投入は多い。この点はよく見過ごされている。

もしEVに投入する原料が重大な問題を抱えたとき、EVが環境に優しいという議論は崩壊してしまう。上述したように、希少金属の供給を中国に依存しているなど、くすぶっている火種は現に存在する。

 

かつてドイツが国を挙げて推進したクリーンディーゼルが、排ガス規制での不正問題の発覚であっけなく衰退に向かっているように、EVもあっさりブームの終焉を迎えてしまうかもしれない。

環境問題について特に注意が必要なのは、「何が環境に優しいか」ということはその時々の政治に翻弄されるために、毀誉褒貶が激しいことだ。

 

いまは脱炭素ブームでCO2が最も重要視されている。けれどもあと30年でCO2をゼロにするという極端な対策を正当化するほどの確たる科学的知見は実際のところ全く存在しない。

これに対して、希少金属の採掘や精錬による排水公害は現実に起きているし、中国企業に依存していることは、いつでも国際政治における重要問題に浮上するリスクがある。

(引用終り)

 

NHKで先日NHKスペシャル「EVシフトの衝撃」という番組を流していた。キチンと見てないがいつもの嘘で固めたエコ礼讃で日本も早くEVを開発して、海外勢に負けるなというバカげた作りだと想像できる。

グーネットや杉山大志氏のようなEVは全然エコじゃない、なんていう大事な視点は含まれないだろう。いや故意に無視しているはずだ。最初にあげたほらふき男のように。

 

まだ私も勉強不足なので、随時学んだことを取り上げていきたいと思っています。

小室圭・眞子問題よりこちらのほうがずっと身近で大事なことだから。