菅義偉首相が6人を含む105人の推薦者名簿を「見ていない」と発言したとき、慎重な菅氏が少し軽率な発言をしたなあと思った。「見ました」と言えばいいのに、正直者だなと。

 

しかし、考えてみれば二つの意味でこれは正解なのです。

105人の推薦者名簿を見もせずに決裁したのか、首相としての責任を果たしていないじゃないか、と左翼と学者、マスコミは批判するのですが、テレビで橋下徹氏も指摘していたように、そういう文句の付け方は、組織の仕事がどうなされているのか全く知らないのではないかと。大阪府知事として任命権者として多くの資格取得者等の任命をしてきたが、一々知事が見て判断するわけがないだろう、と。

 

いつものパチンコ屋の倒産を応援するブログ氏が簡潔に説明しています。

「…今度はマスゴミが「総理は名簿をみていないと言った!めくら判をおしたのか!それだったらやはり問題だ!」ということをはじめているわけですが、あたりまえですがどこの会社だってある程度の規模以上のところは「作業は社長が全部やる」なんてことはありません。

学術会議側が示した推薦名簿を基に担当職員が一定条件でチェックを行ってこのチェックではじかれなかったメンバーだけにして任命承認予定リストとして総理に提示するというのは当たり前のことだろうと思います。

長妻昭とかいう中野区を地盤にしている(民主党)国会議員が大臣の時に自分で電卓を打ったりする姿をテレビに撮らせてましたが、大臣が平の一職員の仕事をやってる時点で論外です。まぁ、ハローワークを視察に行ったときに、どのポスターの貼る位置が悪いから直せとかそういう細かい指示をドヤ顔で出してた長妻昭さんですからその程度なのかもしれませんけど。」

 

つまり、組織での意思決定は独裁国家出ない限り、普通はボトムアップなのです。最終結論まで事務方で作成して決裁権者に上げるのです。サラリーマンをやったことがある人間なら誰でも知っていることでしょう。

もし、最終判断を曖昧にして持って言ったら、必ず叱られます。お前はどうしたいんだ、と。別にトップは責任逃れをするつもりでいっている訳ではない。組織とはそういうものであり、中間管理職もトップの立場で判断して、経験していくのです。

 

だから、加藤官房長官もそういう組織上の意思決定を踏まえているので、記者会見でも堂々と首相が105人の推薦リストを「見ていない」という発言を特別困ったことだと問題にすることがないのです。

問題にするのは、そういう組織の仕事の仕方を知らない学術会議の世間知らずのバカ教授だけなのです。

 

そのため、もうそこを追及しても無駄だと悟った斎藤蓮舫氏は「とてもシンプル。誰が6人を削ったのか?です」とツイートし、攻める矛先を変えたのです。

その矛先が杉田和博官房副長官に向けられています。

 

「日本学術会議が推薦した会員候補105人のうち6人が任命されなかった問題で、菅義偉首相がこの6人の名前と選考から漏れた事実を事前に把握していたことが分かった。除外の判断に杉田和博官房副長官が関与していたことも判明した。関係者が12日、明らかにした。首相は9日のインタビューで、会議側が提出した105人の推薦リストを「見ていない」と発言。99人のリストを見ただけだとして6人の排除に具体的に関与しなかったかのような説明をしたため、一連の経緯や理由、誰が判断したのかが焦点となっていた。首相が6人の除外を前もって知っていたプロセスが明らかになったことで、さらなる説明責任が求められる。」

 

しかし、これも無理筋です。杉田和博官房副長官を悪者にしたいようですが、杉田氏はこの決裁の調整責任者というだけであり、あくまで任命拒否は政府という組織が行ったということしかいえないのです。

といっても、部下が勝手にやったことではなく、官房長官も「決裁までに任命の考え方は説明している」「(手続きは)適法に行われている」と述べています。

「さらなる説明責任が求められる」と勝手にマスコミは言いますが、人事案件である任命拒否判断プロセスを一々説明する必要は無いでしょう。

 

推薦者名簿を「見ていない」と発言した首相が正解だと思った理由のもう一つは、安易にその場を糊塗するために、「見た」と言ってしまえば、なぜ拒否したのかとかどういう判断基準をもってしたのかとか、という要らぬ横道に入ってしまうでしょう。だから、正直に「見ていない」ということで、首相がそういう陥穽にはまることから避けられたのです。また嘘をつけばいつかばれてしまいそれがまた問題になってしまう。それも避けることができた。

 

先日このブログで学術会議任命拒否問題は、毛沢東の百家争鳴と同じで、図らずも左翼をあぶりだすのに効果があったと書きました。つまり学術会議任命拒否するのは左翼ばかりという左翼発見器。しかし、その後の各界の発言を見ていると、これは左翼発見器だけでなく、バカ発見器でもあるなという思いを強くしました。

二つ。

ひとつは、桜田経済同友会代表幹事の会社の経営者とは思えないバカ発言。

「会員候補6人を任命しなかった問題に関し、「説明責任はまだ果たしているとは言えない」と述べ、首相は十分な説明をする必要があるとの認識を示した。」

全く、マスコミや学者に媚びる発言をしていい子ぶろうとしていますが、バカ丸出しです。恐らく朝日や毎日新聞しか読まずに発言したのでしょう。自分の頭で考えた形跡がありません。よくこの程度で経済同友会代表幹事をやっていられるものです。少しは考えて政府を支援したらどうなんでしょう。

ああそう、経団連の中西とかいう会長もコロナ感染したトランプ大統領に向かって「典型的な自業自得だ」というバカ発言をして顰蹙(ひんしゅく)を買っていましたので、日本の経済団体のトップになるには、バカであることが条件なんでしょう。

 

もう一つ。

リニア新幹線を徹底妨害する赤い知事の川勝静岡知事のひどい発言です。

(私は経済政策で日本を亡国に導こうとする菅総理には大反対ですが、理不尽な菅氏非難にも反対します。)

「静岡県の川勝平太知事は7日の記者会見で、日本学術会議が推薦した会員候補の任命を菅義偉首相が拒否した問題に関し「学問立国である日本に泥を塗った。汚点だ」と批判した。

 「(人選に)権力が介入したら、御用学者ばかりになる」と指摘し、政府は任命を拒否した理由をはっきり説明すべきだと強調した。

首相に対しては「教養のレベルが図らずも露見した。学問をしてきた人ではない」と語気を強めた。

 川勝知事は比較経済史を専門とする経済学者。知事就任以前は、京都市の国際日本文化研究センター教授や静岡文化芸術大学長を務めた。」(産経新聞)

 

この川勝知事はリニア新幹線建設妨害だけでなく、過去にも学力テストで静岡が、小学校の国語Aの成績が全国最下位だった結果にことに怒り狂い、成績が悪かった100校の校長名を公表するというような「教養に欠ける」振る舞いをするような学問をしてきた人とは思えない知事であり、リニア新幹線工事では、中国のためにリニアを妨害しているのではないかと噂される人物である。

これもいつもの「農と島のありんくりん」ブログ氏が川勝知事を的確に批判しているので引用したい。

「…学術会議の本音は、元早大教授の川勝平太静岡県知事がいみじくも言ってしまったように、田舎から出てきて高校を卒業して、東京で働きながら大学に通ったていどの奴は単位が目的で行っただけのことで、そんな奴は「教養のレベルが低い」ということのようです。
スガは秋田の田舎から出てきたような奴で、働きながらじゃろくに大学でも勉強してなかったんだろう、けっ、なんでこんな無学な奴にエリートのおれたちが指図されなきゃならないんだ、大方そんなことです本音は。

まぁ、これが学者エリートの本音でしょうね。川勝氏は研究者として尊敬していた部分があるので、やれやれあんたもか、という気分です。この人の言う「学問」とは、労働をしながら身につけようという者を拒絶し、学者仲間だけの世界でやるものだということのようです。
川勝さん、そうなんですかね、私は自分の生業である農業も、日々「学問」だと思っているのですがね。
そういう言語化されない営みの中にも「学問」はあるし、活字で残らない常民の歴史や営みを知ることが学問の目的のひとつではなかったのでしょうか。
こういう言い方をすれば、間違いなく学歴差別、地方差別、肉体労働差別と言われてしまうでしょうね。
私もあなたの本を書棚から捨てたくなりました。」

(引用終り)

 

正にこれはバカ発見器の成果であろう。キジも鳴かずば撃たれまい、である。

何度もいうが、日本学術会議任命拒否に反対する人々に、全く正当性がないのである。だから反対者は手続き問題に限定して政府を追及しようとするのだが、もうこの日本学術会議は共産党に乗っ取られた赤い教授たちの巣窟に成り下がっているのが天下にばれてしまったのであり、多くの日本人がそれを知ってしまったのである。

だから、手続きと学問の自由を脅かす、だけでは誰も納得しないのだ。

日本の軍事研究には反対するくせに中国の軍事研究には反対しないという赤い日本学術会議の性格が日本国民にばれたのである。

 

もう一度「農と島のありんくりん」ブログを引用する。

「…学術会議の失敗は、こんな「学問の自由」といった拳を大げさに振り挙げてしまったことです。
こういう問題の立て方をすれば、ならば「学問の自由」なんぞ爪の垢ほどもない中国になぜ協力するんだ、ということになってしまいます。
そこで第3の中国への協力問題です。

ここまで学術会議が強い批判を浴びているのは、日本国の自衛隊に対する研究協力を拒みながら、中国に対する研究協力については積極的であった点です
政府はこのことについて加藤官房長官会見のように、「承知していない」とかわすことでしょう。なぜならこのことは政府が情報として持っていればよいことで、政府が公言することによって、学術会議問題が外交問題にまで発展してしまうからです。
政府が絶対に任命拒否の理由をいわないのは、一般的に人事は語らずという社会常識があるだけではなく、この外交問題化させないという意図があるからです。たから歯切れが悪く聞えます。
でも、政府としてはこうは言えないでしょう。学術会議は中国の技術スパイ機関だなんて。

政府がそうと言わないからといって、学術会議の中国協力はあまりに目に余ります。
実際に学術会議が、2015年には中国科学技術協会と覚書を交わしていたのは事実ですし、同会議の会員には中国の千人計画への参加者もかなりの数、存在すると言われています。
ならば、学術会議は、自国の安全保障については妨害をしつつ、仮想敵国への軍事技術協力は惜しまなかったことになります。
取りようによっては、学術会議は刑法の「外患誘致罪」の適用対象となりえます。

 

ところで2015年年97日、中国科学技術協会は北京において、大西隆日本学術会議会長と韓啓徳中国科学技術協会会長との間で、両機関における協力の促進を図ることを目的とした覚書が締結しました。この2015年という年に注目して下さい。この年は実は習近平が中国のハイテク国家戦略である「中国製造2025」を登場させた年なのです。(中略)重点分野を見れば、5G、デジタル制御、新素材などすべての分野は軍事転用が可能なデュアルユースの技術ばかりです。

これを中国は3つのステップで、製造技術を世界最高水準に持ち上げることで、世界を支配すると宣言しました。(中略)

ここで見落としてはならないのは、中国における政府と軍事研究との関係です。
中国が自由主義国と本質的に異なるのは、単に共産党が政治権力を独占していることではありません。
中国では権力だけでなく、富の双方も独占しているのです。
中国の企業は表向きは私企業のようにみえますが、その多くは国有企業と人民解放軍系の企業が占めています。5Gのファーウェイなども、人民解放軍にいた技術者が作ったもので、国の資本が注入された国策企業です。(中略)

ですから、中国においてはここまでが民間技術、ここからが軍事技術という境目がなく、中国企業と技術協力するということはすなわち人民解放軍に技術を流出させることに等しいわけです。

学術会議の「その他の二国間交流」の中には「中国科学技術協会との協力覚書署名式」とあり、このようなことを取り交わしています。

「両機関は、本覚書の範囲内で推薦された研究者を、通常の慣行に従って受入れ、研究プログラムの調整や、現地サポートの対応を行う」(日本学術会議中国科学技術協会との協力覚書)

これが意味することは、中国科学院との技術交流、留学生、招聘研究者などの人材育成の受け皿を作るということです。

「日本学術会議が中国科学技術協会と連携しているなら、それは中国工程院と連携していることになり、最終的には軍事科学院・国防工程研究院と提携していることにつながるということである」(遠藤誉)

学術会議はあくまでも民間の技術会議と提携しているのだと言い張っていますが、その相手は工程院を通じて軍事科学院と密接な関係を持ち、更に中央軍事委員会、人民解放軍の傘下にあるのです。

このようなことをやりながら、「学問の自由」ですか。冗談もほどほどに。」

(引用終り)

 

政府は学術会議と中国とのつながりを直接問題には上げてこないが、今回の任命拒否はその問題への警告なのです。だから、反対運動が盛り上がり過ぎれば、政府はもっと強気でこの中国との癒着を問題にしてくるはずです。

赤い日本学術会議も政府を甘く見てはいけない。立憲民主党ほか野党もモリカケ・桜とは違うのだと早く理解して、だから、早く矛を収めないといけないのです。