学術会議会員の任命拒否のことを書くつもりだったが、ダイヤモンドオンラインの出口治明のいつものバカ話を読んだので、こちらの方を書くことにした。

 

因みに、学術会議会員の任命拒否については、いつも菅首相を批判してきたが、これは評価する。この学術会議はいつの頃からか(最初からかもしれないが)変質し始めて、単に左翼のフロント団体に成り果て、最近その活動に目に余るものが出てきたので、政府も放って置けなくなったということだ。

学問の自由を侵すなんてバカ言ってるが、学術会議会員にならないと学問が出来なくなるわけじゃあるまいし、何を狂ったこと言ってんだか。

任命拒否を怒っているが、そもそも学術会議が推薦してきた候補自体が科学者88万人を代表していない。学術会議会員200人と(胡散臭い)連携会員2000人が勝手に推薦し、そこから委員会が密室で候補者を100人選ぶという、いかにも非民主的な密室作業で候補を選んでいる。その選出方法こそ問題にされねばならない。

まあ、この問題によって日本学術会議の膿が国民に知らされることになればこれほどいいことはない。むしろ彼らにとってはヤブヘビとなったのではないか。

 

さて、アホの出口治明立命館アジア太平洋大学学長のことである。

先般は読売新聞の人生相談にこと寄せて、出口のアホっぷりを暴き出したが、今日たまたまダイヤモンドオンラインの出口治明の連載記事「平成30年間で1%しか成長できなかった理由」を見つけた。

期待通りのアホであった。

 

この連載の編集部の前振りが凄い。

「世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”、稀代の読書家として知られる出口治明APU(立命館アジア太平洋大学)学長。歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。その出口学長が、3年をかけて書き上げた大著が、大手書店のベストセラーとなり、話題となっている。

(中略)今回もダイヤモンド経営者倶楽部「特別定例会」で行われた出口氏の講演「グローバル人材と日本の課題」の様子を特別にお送りしよう。」

 

以下に掲げるのは、出口治明が経営者に向けた講演の書き起こしである。

引用する前に言っておくと、こんな低レベルの出口の講演に、聴衆としての経営者は満足したのだろうか。もし、「なるほど」なんてバカづらして相づちなど打っていたら、日本は終りである。

 

出口治明立命館アジア太平洋大学学長

この30年でなぜ、日本は没落したのか?

前回、働き方を変え、社会全体を「メシ、風呂、寝る」から、「人、本、旅」の生活に切り替えていかなければいけない、という話をしました。

年間2000時間も働いているのに、平成の30年間の日本の成長率は1%しかない現実を直視すべきです。ドイツ、フランスは年間1400時間で2%以上成長している。

骨折り損のくたびれ儲けが実に30年も続いたから、閉塞感が日本中に蔓延しているわけです。

この30年間でGDPの世界シェアは半減以下になり、IMD(国際経営開発研究所)の国際競争力は、世界のトップから30位に落ちた。1989(平成元)年には、世界のトップ企業20社(時価総額ランキング)の中に日本企業が14社いたのに、今はゼロになった。

この根本原因は、男女差別とダイバーシティと社会の低学歴構造にあったと僕は思います。

ファクトベース、エビデンスベースで、今すぐ行動を

ただ、コロナによって間違いなく日本人のITリテラシーが上がり、生産性が上がり、働き方改革はできると思います。

平成の30年間で日本のGDPの世界シェアは9.0%から4.1%と半減以下に落ち込んだわけですが、ここからみんなでITリテラシーを上げ、生産性を上げ、男女差別をなくし、ダイバーシティを大事にし、「人、本、旅」で勉強して、もう1回、9%のシェアを取り戻そうとすれば、楽しい社会が実現できると考えています。

大事なことは、ファクトベースで、エビデンスベースで議論することです。

いまだに強欲な欧米の資本主義に比べ三方よしの日本的経営はすぐれているなどという学者も多いのですが、もし日本的経営がすぐれていたら、年間2000時間も働いたら普通は5%くらい成長して当たり前だとみなさん思いませんか。

そうですよね。

結果は日本が2000時間で1%成長で、ドイツ・フランスが1400時間で2%成長ですから、その答えは一つしかありません。

日本的経営は、エビデンスベースできちんとした経営がなされていない、マネジメントがなっていない以外の解はないと思います。

ビジネスの世界は数字やエビデンスで語るべきで、根拠なき精神論や思い込みを排することがこれからの日本を元気にする根本だということをお話しして、これで僕のプレゼンは終わります。」

(引用終り)

 

どうですか皆さん、出口治明という「1万冊超を読破した“現代の知の巨人”」のご託宣ですよ。椅子から転げ落ちた人もいるんじゃないでしょうか。冗談が過ぎるよ、とかギャグだけはうまいね、と思った人はまともな神経の持ち主です。

ヤフーでこの記事のコメントが載っています。

「驚くほど中身のない記事。こんな記事掲載してて大丈夫なのかダイヤモンドは。」

このコメントがこの記事の全てを表しています。ほんと「大丈夫なのかダイヤモンド社は」です。

 

出口のおっさん、「年間2000時間も働いているのに、平成の30年間の日本の成長率は1%しかない現実を直視すべき」といってますが、そこまではいいんです。しかし、その原因を「この根本原因は、男女差別とダイバーシティと社会の低学歴構造にあったと僕は思います。」なんて中学生のような回答をしちゃったらズッコケるしかないでしょう。

生産性とか成長率とか経済のこと分かってるんでしょうか。

このバカ出口のダメなところは、世界史を勉強していると自慢しながら、世界経済のことは全く勉強していない、見ようともしない、考えようともしていないことです。これを聞いている経営者も出口と同じレベルなんでしょうかねえ。

 

私もここで説明するのは面倒なんで、さきのヤフーのコメント欄のコメントを載せておきます。

・金の回転こそが経済であり、男女差別とダイバーシティと社会の低学歴構造なんて些細な問題です。ファクトベースだとかいうのなら、最低限の因果関係ぐらいは抑えるべきでしょう。

 

・消費税増税、納付する保険料の増額、グローバル化を進め世界と賃下げ競争、企業収益を給料に還元せずに株の配当に回し(配当率は2000年比で6倍に)、派遣会社数は世界でぶっちぎりで一位、公務員数はOECD加盟国内で最小。……こんなんで、成長するわけないでしょう、と。

 

・日本が何故30年近くも経済成長できなかったのかと言えば、間違った経済学の理論に基づく緊縮財政のために、政府の財政支出を伸ばさなかったばかりか、デフレ脱却を目指している最中に、何度も最強のデフレ化政策である消費増税を行ったためだ。
その最大の原因は「日本は国の借金で破綻する」というウソが根幹にある。
自国通貨建ての負債しかない日本には財政問題など存在せず、インフレ率が健全ならば必要なだけ財政支出を増やすことができるし消費税そのものが必要ない。
アメリカを除く他の多くの先進国は外貨建ての負債があるにもかかわらず、この20数年で財政支出を2~3倍に伸ばしており、その伸び率に比例してGDPも伸びている。
日本は財政支出が1倍なので、GDPも1倍と言うだけの話だ。
日本が経済成長するためには、先ずは消費税を廃止して、インフレ率が2~3%を維持できるように、どんどん財政出動を行って行くだけで良い。

(引用終り)

 

出口から出てくる言葉には、このコメントにあるような世界経済の構造連関のような視点がゼロなのである。

単に1企業内で終始するような「経営」ということを改善すれば、あるいは社員がひとりひとり読書して教養を身に付けて頑張れば、日本はハッピーになるんだという能天気なというかバカ丸出しの論を平気でしゃべっているのである。

そして偉そうに、「日本的経営は、エビデンスベースできちんとした経営がなされていない、マネジメントがなっていない以外の解はないと思います。」と言うのです。恥ずかしくないのでしょうかねえ。

お前が一番エビデンスベースで語ってねえじゃないか。

 

この連載の前の方で、「これからの日本の課題」と題してバカ言ってます。

「日本の課題は何か。いくつかありますが、一番大きいのは、人口減少に歯止めをかけることです。これまでの世界の歴史で、人口が減って栄えた国や地域は皆無です。…日本の出生率の現状は1.36。しかも4年連続下がっている。この原因は簡単で、男女差別です

男性も女性も働くようになっているのに、いまだに日本では家事や育児や介護を手伝う男性が素晴らしい男性と思われている。」

 

人口減少に歯止めをかけることは大事だが、一番大きい日本の課題では全くない。「人口が減って栄えた国や地域は皆無です。」というのも大嘘だ。三橋貴明氏が人口減少している国でも経済成長している国はいくつもあると言っているし、出生率の低下の原因が男女差別だなんてバカも休み休み言ってくれ。

日本の課題で一番大きいのは人口減少だというのは、働き手が少なくなるから、移民を大量に入れよという主張につながるのだ。

移民を何故入れたいか。労働者の賃金を低く、半永久的に低く抑えたいからである。だから、本音は出生率の低下を抑えて上昇させたいなんていうのも嘘である。

だから、全くデタラメなことを原因として挙げるのだ。男女差別があるから出生率が低いんだと。これも全く現実を見ていないエビデンスベースで語っていないのである。

 

私の考える出生率低下の原因は、婚姻率の大幅低下であると思っている。つまり結婚家庭の出生率は思ったほど低下をしていない。結婚すればそこそこ子供を産んでいるのである。しかし、未婚者が増大しているから、平均的な出生率は低くなるのである。なぜ未婚者が多いのか、個々に事情はあるだろうし、仕事を生きがいにしたいという女性も増えてきただろう。しかし、根本的には結婚して生活するだけの収入が得られないという経済面の制約が一番多いと思われるのである。

だから、出生率を上昇させるには、既婚者優遇でなく、未婚者の経済的支援を強くしないといけない。そのためには、単に国の補助とか支援とかではなく、日本の経済自体が成長するようにしないといけない。そのために一番やるべきことは、緊縮財政からの脱却、これ一本である。

 

出口はこういう経済の仕組みに一切触れずに、下らないことでお茶を濁し、誤魔化している。そういうバカを世にのさばらしているのは、ダイヤモンド社のようなところであり、出口の本や講演をありがたがるバカ聴衆である。

「「メシ、風呂、寝る」の代わりに何を持ってくるのかといえば、僕の言葉でいえば「人、本、旅」です。少しでも早く帰宅して、いろいろな人に会い、興味のある本を読み、流行っている場所があったら出かけて刺激を受ける。これが旅で、すなわち現場を見に行くことです。

人、本、旅で勉強しなくて、毎日職場で遅くまで働き、上司の歌や説教を聞いていているだけでは、新しいアイデアなんか出てくるはずがありません。日本の根本的な課題は以上に尽きると思います。」

 

なんて出口がバカ言っているのを聞いた時、出口に向かって「出口さん、もう少し真剣に日本のことを考えないんですか。そんなバカなことを言っても私たちは騙されませんよ。」というべきなのです。

そして最後に「出口さん。貴方の出口はあちらですよ!」と。