もう次の首相は菅官房長官で決まったようなものですね。菅氏はどういう考え方をする政治家なのかもう一つわからないのですが、ネットにアイヌ・ウポポイやカジノ、沖縄等で裏があるように書かれていました。アイヌと沖縄にひどく肩入れしているところが怪しいし、IR・カジノではまたモリカケ騒動に近いものが起きる可能性があるかもしれません。

 

「農と島のありんくりん」ブログは中身も的確で素晴らしブログでいつも読んで勉強していますが、この中で菅官房長官について、次のように書いていました。

「大勢は決しています。菅さんで動かないでしょう。安倍後継内閣としては妥当な選択です。

菅さんの政権統治能力は証明されていますから、いまさらなんの心配もありません。外交路線をひっくり返す可能性はゼロですし(顔がなくなったのは痛いですが)財政・金融政策も継続されるはずです。

安倍政権が成し遂げた功績のひとつは、いままで日本で試みられなかった金融緩和政策をおこなったことでしたが、劇的な効果が上がりデフレ脱却への強い後押しとなりました。

この金融緩和政策については、岸田は鈍感、石破に至ってはハイパーインフレになる、などと素人のようなことを言っていましたから、菅さんならアベノミクスの継続性が確保されることでしょう。

 

もう一つ私がいつも引用してお世話になっているのが、「パチンコ屋の倒産を応援するブログ」ですが、ここでも菅氏のことを評価して書いています。

「さて、自民党総裁選に菅官房長官が出馬するとのことです。麻生派と安倍総理の所属する細田派が支持に回りそうです。
菅官房長官なら・・・絶対に公明に引きずられますけど、少なくとも経済政策においては安倍総理と考え方が同じなので、財政健全化、緊縮路線を取る可能性は低くなるでしょう。

 

両ブログともに、「菅さんならアベノミクスの継続性が確保される」と述べ、役人も経済界もひいては国民も安心せよ、と言っているようです。国民も、というのは私が勝手に付け加えたのですが。

 

さて、いつもならこの二つのブログに諸手を挙げて賛意を示すところなんですが、先般私のブログで「安倍首相辞任!病気辞任は悔いが残るだろう。いい所も多々あったが、経済政策では大きく裏切られた」と書いたように、私は安倍政権の経済・財政政策を全く評価しません。

 

しかし、農と島のありんくりんブログは

経済は金融緩和と財政出動によって劇的に回復し、永きに渡ったデフレトンネルの出口に差しかかろうとしていました。それは失業率の低下や有効求人倍率によってよくわかります。
二度目の消費増税は手痛い失敗ですが、それでもデフレからの脱却に道筋をつけたのは確かです。この経済に強い安倍氏
は、今回の新型コロナの中でも、中小企業への緊急助成などにいかされています。」

と安倍の経済・財政政策を高く評価し、パチンコ屋の倒産を応援するブログも同様に、

民主党政権と安倍政権との違いは経済でも明らかです。

民主党政権末期と安倍内閣の比較2012年と2019年比較)

・日経平均株価 8,500円→24,000

・自殺者数 27,858人→20,169

・完全失業率 4.3%2.4%

・有効求人倍率 0.81.6

ただし、2020年の今年は武漢肺炎で世界中の経済が凹みますから数字は変わってくるのは間違いないでしょう。それでも、国内産業の空洞化による雇用破壊、いかにして中国と韓国と北朝鮮に利益を得させるかということを基本方針にしていた民主党政権ではさらに悪化こそすれ良くなることは絶対に無かったでしょう。」

と民主党政権と比較し如何に安倍政権により経済が上向いたか、誇らしげに書いています。

 

このことは素人ブログ(失礼!)だけが安倍政権の経済・財政政策を高く評価しているわけではありません。読売新聞の記事を見てみましょう。

「総括・安倍政権」という囲み記事(8.30)で、

「…アベノミクスは、平成不況に対し、日本銀行による異次元の金融緩和や大規模な財政出動、米国抜きでまとめた環太平洋経済連携協定(TPP)など、当時からすると異例といえる政策で立ち向かった。

 安倍首相の強い決意で始まった政策は、様々な批判を一蹴し、株価を2倍以上に引き上げ、雇用情勢を改善させた。失業率は2%台まで下がった。円高や高い法人税率など、民主党時代の「六重苦」から企業を解放。日本企業の利益は2期連続で過去最高を更新した。デフレの雰囲気を一変させたことをみれば、決断力は歴代政権と比べても胸を張れるものだ。

 ただ、伸び悩む賃金や格差拡大もあり、景気回復の恩恵を感じられないとも言われ続けた。企業でいえば、好決算を記録しているのに、消費者、従業員、取引先などの満足度が広がらないといった具合だろう。(後略)」

 

辞任直後のことであり、褒め言葉に終始したのは止むを得ないにしても、余りに高い安倍政権の経済・財政政策評価については、ほんとかよ、とツッコミを入れたくなります。

 

これまで、安倍やめろ、とか言っていたのは野党・マスコミのみでそのマスコミも経済については評価していたのでしょうか。

ここで、経済評論家三橋貴明氏の安倍政権の経済・財政政策評価について見てみます。

三橋氏は前から安倍政権の経済・財政政策を強く批判し続けており、辞任した安倍首相を次のように非難しています。

 

安倍総理大臣。あなたは、
「日本の憲政史上、最も実質賃金を引き下げた総理大臣」
「日本の憲政史上、最も実質消費を引き下げた総理大臣」
「日本の憲政史上、最も少子化を進め、人口を減らした総理大臣」

に加え、「あの」民主党政権期をも上回る、経済の低迷をもたらした総理大臣として、永遠に日本の歴史に刻まれることになりますね。」

 

パチンコ屋の倒産を応援するブログと同様、三橋氏も民主党政権時と比較してデータを示しています。

「民主党政権期の2010年度から2012年度の経済成長率の平均は、1.5%でした。対する安倍政権、2013年度から2019年度までの平均が、何と0.94%。
安倍政権の経済成長率の「レガシー(業績)は、2019年度までで、すでにして民主党政権期を下回っているのです。

ちなみに、安倍政権下で最も経済成長率が高かったのは、真面目に財政拡大をした2013年度(2.6%)でした。その後、消費税を増税した2014年度に▲0.4%に落ち込み、二度目の消費税増税を強行した2019年度は0%。しかも、2020年度は、4-6月期の結果を含むため、現在の推定値は▲10%前後。

となると、2013年度から2020年度の経済成長率の年平均は、▲0.34%とマイナスに沈み込むことになります。素晴らしき、レガシー(業績)!

安倍政権は民主党政権以上の「緊縮政権」だったのです。デフレの国が緊縮財政を継続し、経済成長するはずがないでしょう。安倍政権が2013年度の財政拡大(大したことは無かったですが)を継続し、消費税増税を凍結していたならば、平均成長率は2.5%を上回っていたでしょう。2013年度以降の日本は、経済成長することができた。それを、安倍政権が潰した。具体的には、14年4月以降の緊縮財政によって。ただ、それだけの話です。
 緊縮財政が続けられた結果、防災インフラは劣化し、災害で国民が死に、科学技術力は見るも無残なまでに凋落し、地方の衰退は加速し、教育は劣化し、医療サービスや介護サービスまで予算を抑制され、現場はブラック化。特に、介護分野で信じがたいような凄惨な事件が繰り返し発生。実質賃金の低下と、総雇用者数の増加は、日本国民が「より劣悪な仕事であっても、働かざるをえなくなった」ことを意味しています。」

 

要は、読売新聞や農と島のありんくりんブログの評価と真逆の評価なのです。もう少し三橋氏の安倍政権評価を引用します。

 

本日は、安倍政権の緊縮財政がテーマです。これは、極めて重要な問題で、何しろ未だに「安倍政権は放漫財政だった」と、嘘のイメージをすり込まれたままの国民が少なくありません。となると、次の政権は、「我々は放漫だった安倍政権とは違う。ムダを切り詰め、国の借金を返済する」とか何とか言った方が「支持率が上がる」ことになりかねないわけです。つまりは、日本国民は自分の首を締め上げるロープを引っ張る政権を「欲する」という話です。

 実際には、安倍政権が大々的な財政拡大をしたのは、2020年度だけです(2013年度も、大したことがないといえば、大したことがない。それ以降よりマシなだけ)。

 というわけで、緊縮関連の安倍総理のレガシーをまとめておきます。 まずは、中長期的なマクロなデータから。」


データを添付するのが面倒なので、コメント解説だけ引用します。データは三橋氏のブログに当たって下さい。

 

「① 日本は二十一世紀に入り主要国の中で唯一政府支出を全く増やさず、「結果的」にGDPも増えなかったという(当たり前)愚かな国です。第二次安倍政権発足以降も、この傾向が変わったわけではありません。何と、日本は「あの」ガチガチの狂信的な緊縮国であるドイツよりも、政府支出を増やしていないのです。ドイツ人もびっくり!という感じです。

 つまりは、少なくとも日本は「世界の主要国と比べれば、緊縮的」です。これを否定することは、誰にもできないでしょう。その上で、安倍政権を過去の政権と比べてみましょう。

 

② 安倍政権は、少なくとも2019年度までは、新規国債発行額を絞り込んでいきました。プライマリーバランス黒字化目標を掲げている以上、当然ですが。

2020年度の「実績」は、ご存じの通り、補正予算により新規国債発行額が拡大していますが、少なくとも2019年度までは「緊縮」だったのは明らかです。
  プライマリーバランスとは、「国債関連費(償還、借り換え、利払い)を除く、政府の財政支出」という定義になります。というわけで、プライマリーバランスが赤字であることは、「政府が新たに国債という「貨幣」を発行した」ことを意味します。

 貨幣とは、誰かが借り入れをしない限り増えません。皆さんの銀行預金は、政府、企業、家計などの経済主体が、過去に銀行から借り入れをしたからこそ、皆さんの手元にある貨幣なのです。

 政府の国債発行は、政府支出を経由して、国民(企業、家計)の手元に銀行預金という貨幣をもたらします。特別定額給付金、持続化給付金を受け取った国民は、理解したはずです。政府が国債を新たに発行すると、皆さんの銀行預金が増えるのです。

 というわけで、安倍政権が2013年6月以降に掲げ続けたプライマリーバランス黒字化目標は「国民赤字化目標」そのものなのです。プライマリーバランスの赤字は、政府の貨幣発行、皆さんの預金増加。ということは、プライマリーバランスの黒字化は、政府の貨幣回収、皆さんの純資産収奪になります(本当に、そうなります)。
 安倍政権は、未だにプライマリーバランスの黒字化目標を破棄していません。現時点では、2029年度達成という「予定」になっています。2013年度以降のプライマリーバランスを見ると、19年度にかけ、猛烈な勢いで縮小していったことが分かるでしょ? まさに、安倍政権は戦後最大の、あるいは「最悪」の緊縮政権だったのです(2020年度に崩れましたが)。

 この事実を、早期に国民が共有しなければなりません。さもなければ、2020年度のPB赤字拡大もあるため、「安倍政権は放漫財政だった! 我々は安倍政権とは違う。ムダを削り、政府の予算を切り詰める!」といった「次なる政権」が誕生すること確実な情勢なのでございます。


③ 第二次安倍内閣発足以降、就業者数が増えたのは確かです。とはいえ、実質賃金は下がり続けた。今回より前に「就業者数増加」と「実質賃金下落」が同時に起きたのは、小泉政権後期のみです。

普通は、就業者数増加と「実質賃金上昇」が同時に起きます。景気が良く、市場、需要が拡大し、人手不足になれば、普通は企業の生産性向上努力や労働分配率引き上げにより、実質賃金は上昇します。結果的に、労働市場から離れていた人たちが参入し、就業者数と実質賃金が同時に上昇するのです。これが、普通の「経済成長」ですね。
 ところが、小泉政権後期及び第二次(以降の)安倍政権期には、就業者数増加と実質賃金下落が同時に起きた。つまりは、企業は生産性向上の投資をせず、労働分配率は引き下げられ、メインの就業者である生産年齢人口の男性の賃金が押さえつけられ、あるいは引き下げられ、結果的に労働市場から抜けていた女性が「働かざるを得ない」状況となり、加えて社会保障費の圧縮により、高齢者も「働かざるを得ない」状況となったのです。(中略)

 

結論ですが、「扇の要」である緊縮財政を転換しなかった以上、安倍政権がまともなレガシーを残せるはずがなかった。「緊縮財政を継続し、経済成長率を民主党以下に落とし込み、国民の貧困化を進め、国民を減らした」。これが、現実のデータが示す安倍総理大臣のレガシーなのです。」

(引用終り)

 

三橋氏の引用が長くなって済みません。

要は三橋氏は民主党政権を褒めているのではなく、あの悪夢の民主党政権より安倍政権はもっと国民を貧困化したではないか、実態をよく見ろよ、といいたいのです。

 

農と島のありんくりん氏もパチンコ屋の倒産を応援するブログ氏も読売新聞もみんな安倍首相を評価したいばっかりに、経済政策や国民生活については、全く実情を知ろうとせず、まさにイメージだけで、しかも民主党政権を貶めるのに急で安倍政権の経済結果についてデータを少し見ることすらしようとしないのです。

 

これは日本の経済・財政政策を牛耳っている財務省の思う壺です。これだけ緊縮をし、日本を貧困化してもその責めが財務省に向かないのですから。

 

なんでこうなってしまったのでしょうか。このままでは首相が菅になろうが岸田になろうが、日本が経済的に浮上することは永遠にあり得ません。

事なことは、何でこうなってしまったのか、の思想(経済・財政思想)を追及しなければ光が見えてこないでしょう。

光はもうあるのですか。MMTという光が。しかし、主流派経済学つまり定説経済学ではこの困難を克服できないのです。例えば大鑑巨砲主義から航空戦の時代に変わらなければ勝てないんだという如く。

しかし、MMTは余りに常識を否定する考えなので、簡単に理解することは困難なのです。人はどうしても分かりやすい理屈に引っ張られる。それがいくら間違いでも。

 

その辺のことはまた次の機会に。