先日の「俺コロナ」営業妨害で懲役10カ月の実刑と同様に社会を騒がせたというのが原因での重刑判決のようだ。最近の裁判官の頭はどうかしているんじゃないか。

 

大阪・富田林署逃走の樋田被告に懲役17年の実刑判決 加重逃走罪など地裁堺支部

 大阪府警富田林署から逃げ、各地で盗みを繰り返したとして、加重逃走や窃盗などの罪に問われた樋田淳也被告(32)に対し、大阪地裁堺支部は3日、懲役17年(求刑・懲役18年)の実刑判決を言い渡した。安永武央裁判長は「警察署の設備を壊して逃走し、約1カ月半にわたって逃亡生活を続けたことで社会に不安を与えた」と指摘した。

 樋田被告は、逃走前の事件を含め、計21件で起訴された。堺支部はこのうち18件を裁判官だけで審理し、5月に逃走を含む17件を有罪と判断。強盗致傷罪など3件は裁判員裁判で審理し、この日は全体の量刑を含めた判決を出した。弁護側は控訴を検討する。

 判決などによると、樋田被告は2018年8月12日夜、勾留されていた富田林署で弁護士と接見後、面会室の仕切り板を壊して逃走。盗んだ自転車で日本一周の旅行者を装い、四国や中国地方を転々とした後、9月29日に山口県内で現行犯逮捕された。

(中略)

 安永裁判長は、樋田被告の主張について、「合理的な理由なく供述を変遷させている」などと信用性を否定し、ひったくり1件を除く20件を有罪と認定。逃走前に起こした強盗致傷や強制性交等などの事件については、「女性を標的にしながら金銭欲と性欲の赴くまま犯罪に及んでおり、厳しい非難が妥当する」と批判した。その上で、「服役を繰り返して出所後短期間で再犯に及んでいる。不合理な弁解に終始し、自分の犯行に向き合って反省しているとは言えない」と量刑理由を述べた。」

 

確かにこの男は犯罪を繰り返して、挙句は警察署を脱走し、長期に逃げまくるなど大胆ではあり、悪人ではあるが、殺人を犯したわけでもないのに、懲役17年の実刑とは重すぎるのではないか。

検察の求刑が18年だから普通は23割掛けになるから、1314年が妥当(これでも殺人と比べ重すぎるが)なのに、17年の実刑判決だ。

おそらく、「合理的な理由なく供述を変遷させている」と報じられているから、裁判官の心証が余程悪く、裁判官も人の子、へそを曲げて「このやろう、許さんぞ」と17年もの実刑を課したのではないか。

 

私が重刑なのかどうかの判断は、殺人罪における判決と比較をする。殺人は罪としては最も重いものだからこれへの刑が他の刑の重さの評価基準となる。

 

1216日、東京地方裁判所で、子を殺害した元事務次官の被告人に、殺人罪で懲役6年の実刑判決が言い渡されました。

SNSで知り合った初対面の女性を本人の依頼で殺したとして、嘱託殺人罪に問われた北島瑞樹被告(22)に対し、東京地裁は6日、懲役5年(求刑懲役7年)の実刑判決を言い渡した。

2017年8月に東京都にて、被告人が被害者に対して、凶器を用いて殺害したとして、殺人容疑で逮捕された事件です。裁判所は、「殺意は強固とはいえず、衝動的な犯行ではあるものの、犯行内容は危険かつ悪質」として、被告人に対して懲役12年との実刑判決を下しました。

・被告人は,浮気をしていたことが交際相手に発覚し,そのことで一方的に責められ続けたことに立腹し,同人の頸部を,殺意をもって締め付け,同人を窒息死させた事案。
 話し合いという平和な解決方法があるにもかかわらず,自己の職場での立場を守るため,殺人という最悪の選択をした自己中心的かつ短絡的犯行であり,自衛隊勤務経験のあることと被告人の犯行態様を考えるとその殺意はかなり強固なものであったといえる。その上,被告人は,被害者の遺体を遺棄した上,同人の家族に対し,生存を装っており,悪質である。突発的犯行であり計画性がないこと,被告人に前科がないこと,反省の姿勢を示していることなど,責任を軽減する事情を考慮しても,被告人の犯行は重大であるとして,懲役14年の実刑判決を下した事例。

・被告人が,妊娠中の妻を殺害し,心中を装った事案。
 被告人は同意殺人の成立を主張したが,被告人の供述において,被告人が心中を決意した経緯や妻の同意を得た時刻,妻の反応や言動,薬物使用による幻覚や幻聴の有無の部分が大きく変遷していること,それに加え被告人において思い詰めた事実が見られなかったことから,被告人と妻との間に心中に関するやり取りはなかったと認められるとし,同意殺人の成立を否定し,被告人を殺人罪で懲役16に処した事例。

 

その他 殺人罪でどの程度の懲役刑が科されているか調べてみると、

平成12年(ちょっと古いが、自分で数えてみた)の1年間の殺人罪(強盗殺人等は除く)で問われた151件のうち、懲役15年以下の実刑判決は86件(57%)もある。

要は殺人を犯しても、6割近くは懲役15年以下が普通なのである。中には35年の軽いものまで数多くある。

それに比べると、富田林署逃走の樋田被告に懲役17年の実刑は如何に常軌を逸した刑であることがわかる。

 

アメリカではよく複数の罪を加算して懲役100年とか150年とかいう笑い話のような刑もあるが、日本はそういうものではないだろう。

逃走で社会を騒がせたとはいっても、凶悪殺人を犯して逃げ回っていた訳ではない。かなり裁判官の心証を害したことが重刑に繋がったのではないかと思えて仕方がない。最近の裁判官は信用できないからだ。

日本の裁判官は、重罰を加えるべき犯罪を蔑ろにし、社会的に注目を浴びている犯罪を見せしめに重罪を科しているような気がする。

 

被告側は控訴したと言うが、当然のことだろう。