今週初め中国重慶(長江上流)が集中豪雨で水浸しとなり、多数の被害が出ていることはテレビで報道されていたが、その下流にある三峡ダムが決壊するかもしれないということは、日本では全く報じられない。

しかし、ネットでは多くの情報が溢れ、YouTubeでもダム決壊の危険性が指摘されている。

 

中国・重慶では80年ぶりの大洪水だそうで、三峡ダムの上流の発電ダムが既に決壊して土砂が三峡ダムに流れ込んでいるそうだ。

 

以前三峡ダムの堤が歪んだのではと話題となったが、その時私もブログで記事を書いた。

中国・三峡ダムが崩壊しそう!ダム決壊で下流の南京・上海等大都市が大惨事に!」(201938)

 

最近、この記事へのアクセスが増えてきたので、ネットで三峡ダム決壊が話題になっていることを知ったのである。その記事には、三峡ダムの概要と問題点を書いておいた。

例えば、

「…著名な中国の水利専門家で黄万里清華大学教授が、昔から地質、環境、生態などの観点から三峡ダムの建設に反対し、中国政府に対して幾度となく意見書を提出したが一切無視されたにも関わらず、建設が強行され、竣工(2009)した時、「もしダムを強硬に建設したら、10年もたないだろう」と警告したときから、今年がちょうど10年目に当たるのであった。

(中略) 

 グーグルアースによる写真から三峡ダムの堤が歪んでいるからといって、事実がそうとは限らないから即決壊とはならないだろうが、中国当局のこの世界最大のダムの謳い文句がドンドントーンダウンしているのを見ると、「10年もたない」という教授の警告も無視できない。

 建設当初のうたい文句は1万年に一度の大洪水をも防ぎ止めることが可能な三峡ダム」だったものが、その後「1000年は持つ」となり、数年して「100年は持つ」とダウンしており、その後のダム調査で、地盤の変形などが合計5286カ所見つかり、大きなひずみが生じていることが判明。ダムの構造物や防水壁には約1万カ所の亀裂が見つかり、補修に奔走したとのこと。

今では「三峡ダムの“蓄洪能力(洪水防止のための貯水能力)”には限りがあり、希望の全てをダムに託すな」となってしまったそうな。当局すら現実をみて自信喪失の体である。

そうなると「10年もたない」という教授の警告も合わせ、ダム決壊も現実味を帯びてくる。

(中略)

そもそも三峡ダムは利権そのものだった。それは建設のみならずメンテにすら利権構造が付いてくる美味しい商売なのだった。

「建設中から数々の難題が生じた。まず「汚職の温床」と化した。総工費2000億元(約32000億円)のうち34億元が汚職や賄賂に消えた。」(譚璐美氏)

とのことだが、李鵬と江沢民の利権として発生し、今は習近平が横取りしようとしているとのこと。

そしてダムメンテ費用として毎年巨額の費用が注ぎ込まれているので、そこからも莫大な利益が生まれる。つまり中国人民にとっては一つもいいことがない三峡ダムも中国共産党幹部にとってはなくてはならない美味しい存在となっている。

巨大な災害に対する防止策は別の誰かがやればいいといったところだろうか。

(中略)

この巨大ダムが決壊するとどういう被害が想定されるのか。

「万一、ダムが決壊するようなことがあれば、長江流域の広大な土地が洪水に見舞われ、穀倉地帯は壊滅して、数千万人の犠牲者が出るだろう。長江の河口部にある上海では都市機能が完全に麻痺し、市民の飲み水すら枯渇してしまう。」(譚璐美氏

という想定被害すら中国的な未曾有のものになると想定されている。それは日本の九州にも津波として襲ってくるかもしれないという人すらあるようで他人事ではなさそうだ。」

(引用終り)

 

この中で私も、「グーグルアースによる写真から三峡ダムの堤が歪んでいるからといって、事実がそうとは限らないから即決壊とはならないだろうが」と書いており、本当に決壊するなどとは思っていなかった。

 

しかし、今回の重慶豪雨による三峡ダムへの流入量は半端なものではなく、「中国水利部当局も「ブラックスワン」(起こる可能性は確率的に非常に低いが、起これば極めて大きな衝撃を引き起こす事象)に例えて強い懸念を示して」(福島香織氏)いる通り、本当に決壊の危険性が迫っているようだ。

 

最近は起こりそうもないことが簡単に起こる。武漢テドロス肺炎によるパンデミックもそうだ。そういう目で見れば、三峡ダム決壊の可能性は高いといえるのである。

 

中国専門のジャーナリスト福島香織氏によると

「孫文の時代から三峡ダムプロジェクトの絵は描かれていた。だが毛沢東は「頭の上に水の入った盆を置いては熟睡できない」と感心を示さず1980年代も建設の賛否をめぐる議論は続いた。天安門事件後、当時の首相の李鵬が反対派を抑え込んで強引に実現にこぎつけたものの、プロジェクトは李鵬らを中心とする水利利権派の汚職の温床となり、当時から様々な問題が存在することは内部で判明していた。」

とのことである。

あのトンデモナイ独裁者毛沢東の「頭の上に水の入った盆を置いては熟睡できない」のほうが先見の明があったと言わざるをえない。毛沢東に従っていれば、今こんなことに悩まされなくて済んだものを。

その後の中国指導者の欲の皮が突っ張り過ぎて、後先考えずに強引に作ってしまったのだ。

 

三峡ダムは治水や発電という表面的には利点も挙げられるのだが、軍事的には弱点があると当初から言われていたようだ。

三峡ダムにミサイルをミサイルが撃ち込まれてダムが決壊すれば広大な下流域(武漢・南京・上海)が壊滅するからだ。

特にいまインドや台湾との軋轢が高まっており、インドや台湾と本格的な戦争に突入すれば、インド、台湾はミサイルで三峡ダムを破壊するというシナリオが検討されているそうだ。しかし、中国には今現在それらを迎撃する中国側のミサイル防衛システムは準備されていないという。

 

まあ、今はミサイルを撃ち込まれる心配より、今後の夏から秋にかけての豪雨によるダム決壊のほうが可能性が高いだろう。

未曾有の集中豪雨だけでなく、手抜き工事で有名だからダムの脆弱性はかなりなものになっているはずだ。

そして水利専門家王維洛氏は、三峡ダムが決壊して発生した洪水の衝撃力、破壊力は自然洪水の数十倍に達するだろうと警告する。

 

福島香織氏が指摘する。

(「JBpress 長江大洪水、流域住民が恐怖におののく三峡ダム決壊

建設時から問題点を指摘されていた

 実は、三峡ダムはもともと設計自体に欠陥があった、と指摘するのは「三峡工程三十六計」の著者でもあるドイツ在住の国土計画専門家、水利エンジニアの王維洛だ。台湾自由時報の取材を受けて、こう語っている。

「実際、三峡ダムに洪水防止機能などないのだ。すでに専門家の検証によって、そのことははっきりしていた。そもそも三峡プロジェクトは、設計から工程、仕上げの監査まで同じ人間がやっていて、審判とプレイヤーが同一人物みたいなものなのだ。

「ダム下流の湖北、湖南、江西ではすでに洪水が発生している。ダム上流の重慶も洪水警報がでている。ダム上流域の人々はダムを決壊させないために、放水させろといい、下流域はこれ以上放水させるな(すでに洪水がひどいのに)という。そういう矛盾があることは、ダム建設前から分かっていた。

「三峡ダムの設計エンジニアらは、当時の三峡ダム建設プロジェクト副主任の郭樹言に対して、三峡ダム工事のクオリティ、強度に問題があることを手紙で訴えていた。工事期間があまりにも短期であり、完成を急ぎすぎているから、欠陥があるのだ。

「(昨年、三峡ダムが変形していることが判明し、ネットでも話題になったが)ダムの変形よりも問題なのが、ダムの船閘(ロックゲート)周辺から水漏れがあることだ」」

(引用終り)

 

そして決壊したらどうなるのか。

「…三峡ダムの下流は中国の最も都市と人口が密集している地域。万が一にも、三峡ダムが決壊すれば被災者は少なくとも4億人以上に達し、およそ30億立方メートルの土砂が三峡ダム下流域を襲い、上海までが水浸しになる、と言われている。大規模停電が起き、しばらくは復旧できまい。また、長江流域は中国経済実力の40%が集中する。つまり中国経済も潰滅し、その回復には数年かかるだろう。農業だって潰滅だ。

 また三峡ダム下流域には解放軍のロジスティクス部隊の駐屯地が集中すると指摘されている。たとえば空挺部隊の9割も三峡ダム下流域に集中する。解放軍は大災害のとき最前線で救援作業を行うが、三峡ダム決壊の災害の場合、解放軍のロジスティクスも大打撃を受けて、救援作業に支障が出るのではないか、と言われている。

 確率的には非常に小さく、ほぼあり得ない、と当局も繰り返し否定しているが、起きたら、目も当てられない惨状を引き起こす。そして普通ならあり得ないけれど、絶対にないとは言えない。まさしく「ブラックスワン」。」

(引用終り)

 

ではどうすればいいのか。

ある研究者は、一刻も早く逃げろという。しかし、流域の46億人がどこに避難するというのか。あまりにも規模が巨大すぎる。

ドイツ在住の国土計画専門家の王維洛は、逃げる場所はない、三峡ダムの上流の方がもっと危険だから、上流へ逃げても無駄だという。

逃げるより唯一の解決策は、三峡ダムを解体することだと王維洛氏。

しかし、今ダムが満杯になって決壊しそうなときにはもう間に合わないし、解体したから洪水は防げるのだろうか。

解体は乾季に人為的に水を抜き爆破するしかないとのことだそうだが、それは要するにもう今となっては解決策はない、ということと同じなのだ。

あとは、天に祈ることしかないのだろう。

 

三峡ダム決壊は日本には関係ないのだろうか。

前のブログにも書いたが、巨大洪水の衝撃力は海に出てから、津波となって九州に押し寄せる可能性がある。長江河口上海の東の先には九州が位置しているからだ。

少し遠いから、それほど心配はいらないかもしれない。

 

しかし、当然難民が発生し、一番近い国日本に押し寄せてくることだろう。人道的に難民を拒否できないにしても、数が多すぎる。日本の受け入れキャパなどわずかなものだ。今度はインバウンドなどと言っていられない。日本社会をまたおかしくする方向に影響を及ぼすことだろう。まさに対岸なのだが、対岸の火事といって座視していられないのだ。ほんと、中国って国は。

 

中国共産党のやることは、中国人民にとって災厄ばかりをばら撒いている。そんな中国が好きなアンティファと米国民主党、そして日本の立憲民主党その他の左翼、また二階を筆頭とする親中派自民党議員たち。中国のことを本当に知ったら、まずは中国から離れることが幸せへの道であることを知るだろうに。